【泣いてみろ、乞うてもいい】16話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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漫画「泣いてみろ、乞うてもいい」第16話をネタバレありで解説する

第15話のラスト、公爵マティアスはレイラに「派手じゃない色で、もう一度」と、薔薇の活け直しを命じました。第16話では、公爵の私室である「離れ」を舞台に、彼の歪んだ支配欲と、それに屈しないレイラの尊厳をかけた、息詰まる心理戦が繰り広げられます。

理不尽な命令と、レイラの静かな怒り

「派手じゃない色で、もう一度?」 、公爵の理不尽な言葉に、レイラの心は怒りで満たされます。彼がおそらく婚約者であるクロディーヌ嬢のために花を求めているのだろうと考え、彼女の好みに合わせてわざわざ華やかな色を選んだのに、この仕打ちです 。レイラは、真夏の炎天下にこんな意地悪をする公爵が、世間で言われるような「いい人」のはずがないと、彼への嫌悪感を一層強くするのでした

眠れる公爵と、仕掛けられた罠

レイラが意を決して再び離れを訪れると、意外にもそこには公爵が一人で眠っていました。いつもきっちりとした姿とは違う、無防備でどこか気怠げな様子は、まるで別人のようです 。どうすべきか迷うレイラでしたが、その視線に気づいたかのように、公爵はゆっくりと目を開けます。彼が眠っていなかったことは明らかでした。

彼は「そうだと(私のミスだと)言ったらやり直すのか?」と、からかうようにレイラを試します 。レイラは毅然と「今度は先にお望みの色をおっしゃってください」と返しますが、公爵は「もういいから座れ」と、さらに理不尽な命令を重ねるのでした

支配者の思考―カナリアとレイラ―

公爵の本当の目的は、花ではありませんでした。彼は、レイラが苦手な活け花をわざとやらせ、その不器用な手つきを満足げに眺めます 。そして彼の頭には、寝室で飼い始めたカナリアの姿が浮かんでいました。最初は激しく暴れたあの金色の鳥が、今では自ら手に乗り、美しい声で歌う 。彼は、目の前で戸惑うこの美しい少女を、あのカナリアと同じように手なずけられるだろうかと考えていたのです。「お前はどうだろうか、レイラ・ルウェリン」

拒絶された「施し」と、最後の脅迫

レイラがようやく活け終えた薔薇を、公爵は「下手だな」と一蹴します 。そして、まるで駄賃を与えるかのように、サンドイッチの皿を彼女の前に差し出し、「食べろ」と命じました 。それは、カイルといる時に見せた彼女の太陽のような笑顔を、自分も引き出そうとするかのような、歪んだ試みでした

しかし、レイラはその施しを毅然と拒否します。「ありがとうございます、公爵様。ですがお気遣いは結構です」 。そして、その場を去ろうとした彼女の背中に、マティアスの冷たい声が突き刺さるのでした。

「レイラ。私の言葉がお願いに聞こえるか?」

それは、もはや単なる意地悪ではありません。彼女の自由意志を完全に否定する、絶対的な支配者からの脅迫でした。

まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】16話を読んだ感想

第16話は、公爵マティアスの歪んだ本質がこれでもかと描かれた、恐ろしくも魅力的な回でした。彼の行動は、単なるSっ気や意地悪という言葉では片付けられません。相手を自分の思い通りに支配し、その反応を見て楽しむという、極めて計画的でサディスティックな本性が垣間見えました。

特に、レイラを寝室のカナリアに重ね合わせるモノローグには、背筋が凍る思いでした。彼にとってレイラは、対等な人間ではなく、手に入れて手なずけるべき「美しい鳥」なのです。彼のこの認識が、今後の二人の関係にどれほど暗い影を落とすのかと思うと、息が詰まりそうになります。

そんな絶望的な状況下でも、レイラの気高さは失われていませんでした。理不尽な命令に内心で憤りつつも、自分のやるべき仕事をこなし、最後の施しはきっぱりと断る。その姿には、彼女の持つ芯の強さが表れています。

そして、最後の「私の言葉がお願いに聞こえるか?」というセリフ。これは、この物語全体の方向性を決定づけるような、強烈な一言でした。純粋な恋心を寄せるカイルとは対極の、歪んだ執着と支配欲を持つマティアス。レイラを巡る光と闇の対立構造が、この一言によって完全に確立されたように思います。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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