【泣いてみろ、乞うてもいい】17話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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漫画「泣いてみろ、乞うてもいい」第17話をネタバレありで解説する

第16話のラスト、公爵マティアスはレイラに「私の言葉がお願いに聞こえるか?」と、有無を言わせぬ脅迫の言葉を投げかけました。第17話では、この絶体絶命の状況でレイラが見せた一筋の抵抗と、それによって引き起こされる、さらに残酷な悲劇が描かれます。

屈辱のサンドイッチと、公爵の視線

公爵の脅迫的な命令に、レイラは抵抗が無意味であることを悟ります。ここで拒絶すれば、状況はさらに悪化するかもしれない。彼女は、差し出されたサンドイッチを早く食べて、この場から立ち去ることが最善の策だと判断しました。しかし、度重なる嫌がらせと夏の暑さで、食欲は全くありません。そもそも、このサンドイッチは単なる気まぐれな好意なのか、それとも下手な生け花への意地悪な罰なのか。レイラが混乱する間も、公爵は彼女をじっと見つめ続けていました。

最後の砦―ビルおじさんの帽子―

レイラが食べようとしないことに苛立ったのか、公爵は次なる攻撃を仕掛けます。それは、彼女が大切にかぶっている、ビルからの贈り物の帽子でした。「淑女なら室内でこんな帽子は脱ぐべきだろう」。彼は、レイラにとって何よりも大切な、ビルの愛情の象徴にまで、その支配の指を伸ばしてきたのです。

これまでの理不尽な命令や、からかうような行動は我慢できました。しかし、自分を救ってくれた恩人であるビルが、心を込めて選んでくれたプレゼントまで、この男のおもちゃにされることだけは、レイラにはどうしても許せなかったのです。

「嫌です」―初めての反逆

ついに、レイラの我慢は限界に達します。「もう家に帰ります。ですから帽子を返してください、公爵様」。彼女は初めて、はっきりと公爵に反逆の意思を示しました。面白がるように「じゃあ食べろ。食べて、帽子を受け取って帰れ」と条件を突きつける公爵に対し、レイラは震える声で、しかし、きっぱりとこう言い放ちます。「いいえ、嫌です。食べたくありません」。

川に投げ捨てられた愛と、絶望的な決意

レイラからの明確な拒絶に、公爵の表情がわずかに変わります。後には引けないレイラは、必死に帽子に手を伸ばしました。しかし、その手は無情にも振り払われ、もみ合いになった末、ビルからの大切な贈り物は、あっけなくバルコニーから投げ捨てられ、川へと落ちていきました。

レイラは声もなく、ただ川に浮かぶ帽子を見つめます。幼い頃、親戚に水の中に突き落とされたトラウマが蘇り、恐怖で足がすくみました。しかし、ビルの愛情の証を失うわけにはいきません。彼女は、震える足で靴を脱ぎ、ためらうことなく自ら川へと入っていくのでした。その様子を、公爵はバルコニーから冷たい目で見下ろしながら、「もう少し行けばあいつの背より深くなるはずだ」と、静かに呟いていたのです。

まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】17話を読んだ感想

第17話は、これまでの心理的な駆け引きから一線を越え、直接的な暴力と残酷さが描かれた、非常に心が痛む回でした。読んでいるこちらも、レイラと共に息が詰まるような思いでした。

マティアス公爵の非道さは、もはや人間の域を超えています。レイラにとって帽子がどれだけ大切なものかを知りながら、それを川に投げ捨てる行為は、彼女の心を完全に破壊しようとする、悪魔の所業としか思えません。そして、彼女が溺れるかもしれない状況を、まるで実験でも観察するかのように見下ろす姿には、底知れない恐怖を感じました。

しかし、そんな絶望的な状況だからこそ、レイラの気高さが一層際立って見えました。恐怖に震えながらも、ビルへの愛と感謝の象徴である帽子を守るため、自らトラウマに立ち向かっていく姿には、胸を打たれずにはいられません。彼女の「嫌です」という言葉は、無力な少女が放った、魂の叫びだったと思います。

たった一つの帽子を巡る、あまりにも悲しい攻防。この出来事が、レイラと公爵の関係にどのような決定的な変化をもたらすのか。レイラの安否が気になり、次回の展開を祈るような気持ちで待つしかありません。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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