【泣いてみろ、乞うてもいい】21話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

漫画「泣いてみろ、乞うてもいい」第21話をネタバレありで解説する
「そんなのひどすぎるじゃありませんか」―。第20話で、レイラは魂の叫びを公爵マティアスにぶつけました。第21話では、その問いに対する公爵の答えともいえる、彼の残酷な本性が友人たちの前で明かされます。そして、追い詰められたレイラは、自ら危険な罠の中へと足を踏み入れてしまいます。
愚かで哀れな「鳥」―公爵の残酷な遊戯―
物語は、公爵の私室で開かれている、華やかなパーティーの場面から始まります。友人たちに囲まれ、婚約者であるクロディーヌとの関係をからかわれるマティアス。その時、友人の一人が部屋の隅に置かれた豪華な鳥かごに気づきます。鳥狩りを趣味とする公爵がペットを飼うという意外な事実に、友人たちは驚きと興味を隠せません。
マティアスは「一度飼ってみようと思って」とこともなげに答えますが、友人たちは「まさか今度は自分で育てて撃つつもりか?」と、彼の本性を見抜いたような冗談を飛ばします。そして、彼にすり寄るカナリアを見て、「愚かで哀れな鳥」だと嘲笑します。名前もつけてくれない狩人を、無邪気に愛する鳥。その会話は、その場にいないレイラのことを暗に指しているのは明らかでした。
犯人は公爵様―レイラの確信と決意―
場面は、公爵の離れでのレイラとの対決に戻ります。彼女の問いに対し、公爵は「隠したような気もするな」と、からかうような態度を崩しません。その時、側近が急な電報を持って現れたことで、レイラはそれ以上何も聞けずに、その場を去るしかありませんでした。
しかし、このやり取りでレイラは確信します。眼鏡を盗んだ犯人はカラスなどではなく、公爵様なのだと。「いったいどうして私の眼鏡を!?」と怒りに震える彼女でしたが、ただ待っているだけでは何も解決しないと悟ります。そして、彼女は一つの大胆な計画を思いつくのでした。
仕掛けられた罠―獲物を待つ狩人―
その夜、レイラは行動を開始します。屋敷では親族一同が集まる晩餐会が開かれており、公爵も当然出席しているはず。彼がわざわざ離れから眼鏡を移動させるとは考えにくく、今なら誰もいない離れに忍び込み、眼鏡を取り戻せるかもしれない。彼女は、最近夢中になっている探偵小説さながらの推理を働かせ、月明かりを頼りに離れへと向かいます。
しかし、それは全て、公爵が仕掛けた罠でした。彼はパーティーを抜け出し、一人離れでレイラが来るのを待っていたのです。「眼鏡ひとつのために何日も森中のカラスの巣を捜し回る性格だ。今回も簡単には諦めないだろう。だから、掛かるはずだ」。彼の思考は、獲物の習性を知り尽くした、冷酷な狩人そのものでした。
月明かりの侵入者と、静かなる捕食者
何も知らないレイラは、静まり返った離れに足を踏み入れます。彼女が探す眼鏡は、暗闇の中で静かに待つ公爵の手にありました。彼にとって、眼鏡はレイラという名の鳥をおびき寄せるための、甘い餌に過ぎなかったのです。
「捕まえてみれば分かるはずだから」。一体、何を分かろうというのでしょうか。扉が開き、罠が作動したその時、彼は何を思ったのか。獲物を前にした捕食者の、静かで不気味な視線が、侵入者であるレイラに注がれます。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】21話を読んだ感想
第21話は、マティアス公爵の恐ろしさが、静かに、しかし深く染み渡るような回でした。友人たちとのパーティーでのカナリアを巡る会話は、彼の残酷さと支配欲を見事に描き出しています。「鳥はただの鳥にすぎませんから」というセリフは、彼がレイラをどう見ているかを端的に表しており、彼の行動原理を理解する上で非常に重要なシーンだと感じました。
一方、レイラの行動力には感心させられます。ただ泣き寝入りするのではなく、自分で考え、危険を冒してでも大切なものを取り戻そうとする姿は、応援せずにはいられません。しかし、読者としては、それが全て公爵の仕掛けた罠だと知っているだけに、ハラハラし通しでした。
そして、なんといってもラストシーンの緊張感は圧巻です。暗闇の中で待ち構える公爵と、何も知らずに彼の領域に足を踏み入れてしまうレイラ。これから何が起こってしまうのか、恐怖と好奇心でページをめくる手が止まらなくなります。彼の言う「捕まえてみれば分かる」こととは一体何なのか。物語は、最も危険で、最も目が離せない局面へと突入しました。
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