【泣いてみろ、乞うてもいい】22話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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漫画「泣いてみろ、乞うてもいい」第22話をネタバレありで解説する

自らの手で眼鏡を取り戻すため、公爵の私室である「離れ」への深夜の潜入を決意したレイラ。第22話では、彼女のその大胆な行動が、待ち構えていた公爵の罠を起動させ、二人の関係を決定的に変える、息をのむほど濃密な一夜が描かれます。

罠と知らずに…月夜の潜入

物語は、レイラが月の光を頼りに、離れの窓から忍び込む場面から始まります。玄関の鍵を開けておいたにもかかわらず、予想の斜め上を行く彼女の「型破りな」侵入方法に、暗闇で待ち構えていたマティアス公爵は思わず笑みをこぼします。

何も知らないレイラは、暗い部屋の中で必死に眼鏡を捜し始めます。引き出しを一つひとつ改める彼女の姿を、公爵は椅子に腰かけたまま、静かに、そして愉しげに観察しているのでした。

「この女が欲しい」―公爵の本心―

レイラの姿を見つめながら、公爵の心に変化が訪れます。彼は、彼女を弄ぶための「情けない罠」を仕掛けた理由を、ついに自覚するのです。それは、かつてのみすぼらしい少女が、いつの間にか自分の世界で美しい「女」へと成長していたことへの、抗いがたい渇望でした。「この女が、レイラ・ルウェリンが欲しい」。彼の心に芽生えたのは、まぎれもない欲望でした。

言葉の刃、追い詰められるレイラ

レイラが捜索に疲れ果てたその時、公爵は「これを捜しているのか?」と、彼女の眼鏡を手に、その姿を現します。驚きと恐怖に震えるレイラは、不法侵入を謝罪しながらも、「公爵様が隠された、私の眼鏡を…」と、勇気を振り絞って彼を非難しました。

しかし、公爵は彼女の言葉を一笑に付し、再び帽子を川に投げ込むかのような素振りを見せ、彼女を精神的に追い詰めます。さらに、先日川で裸を見られたことを持ち出し、「私の体を隅々まで見たお前が、たかが寝衣くらいで大騒ぎするのは滑稽だと思わないか?」と、歪んだ論理で彼女の羞恥心を弄ぶのでした。

魂を売る取引と、束の間の勝利

完全に逃げ場を失ったレイラ。しかし、彼女はただでは屈しませんでした。公爵が「紳士」であるという言葉尻を捉え、「私がなんであれ、公爵様は紳士でいらっしゃいますから」と、皮肉とも本心ともつかない笑顔で反撃します。そして、彼が「カルスバルで最高の紳士」であるとおだて上げ、必死の思いで眼鏡を返してくれるように懇願するのでした。

その姿に満足したのか、公爵は「顔を上げろ」と命じると、自らの手で、そっと彼女の顔に眼鏡をかけます。その指先が頬に触れた瞬間、二人を緊張と官能が入り混じった空気が包みました。そして彼は、目的を果たしたかのように「もう行け」と、レイラを解放するのでした。

まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】22話を読んだ感想

第22話は、これまでの物語の中でも特に濃密で、息が詰まるような心理戦が繰り広げられた、まさに神回と呼ぶにふさわしい内容でした。暗い離れでの二人きりのやり取りは、危険な香りに満ちていて、ページをめくる手が止まりませんでした。

今回、初めてマティアス公爵が自らの欲望をはっきりと自覚するシーンが描かれたことは、非常に大きな転換点です。彼はレイラを「欲しい」と認めながらも、それを「一時の感情」と断じ、自分の完璧な人生に汚点を残す価値があるか天秤にかけています。この理性と本能の狭間で揺れる彼の姿は、キャラクターにさらなる深みを与えていました。

一方のレイラも、ただの可哀想なヒロインではありません。絶体絶命の状況で、機転を利かせて公爵をおだて上げ、自分の目的を達成しようとする姿は、非常に賢く、そして気高いと感じました。彼女の強さがあったからこそ、この緊張感あふれるやり取りが、より一層面白くなったのだと思います。

彼が眼鏡をかけてあげるシーンは、本作屈指の名場面ではないでしょうか。それは、単に眼鏡を返すという行為ではなく、彼女に触れ、自分の存在を深く刻みつける、極めて官能的で支配的な行為でした。この一夜を経て、二人の関係はもう元には戻れない。そう確信させる、強烈な余韻を残す終わり方でした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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