【泣いてみろ、乞うてもいい】23話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

漫画「泣いてみろ、乞うてもいい」第23話をネタバレありで解説する
第22話で、公爵の離れでの息詰まる対決の末、ついに眼鏡を取り戻したレイラ。しかし、彼女の心に残ったのは、深い屈辱と恐怖でした。第23話では、公爵を必死に避けようとするレイラの日常と、そんな彼女を執拗に追い詰める、公爵の恐ろしい執着が描かれます。
決別と執着―公爵の揺れる心―
物語は、公爵マティアスの視点から始まります。あの夜、レイラを解放した後、彼は自分の感情を分析していました。彼女への欲望は、自分がコントロールできる範囲の一時的な感情であり、完璧な自分の人生に汚点を残す価値はない。そう結論付け、「レイラを放してやった」のです。
しかし、彼の心には、彼女をこのまま遠くに逃がしてしまって良いのかという、わずかな未練が残っていました。その考えは、狩りの準備が整ったという側近の声によって中断されます。
徹底的な回避―レイラの10日間―
一方のレイラは、あの夜以来、公爵を徹底的に避ける生活を送っていました。友人であるカイルから、かつてお気に入りだった川辺への散歩に誘われても、家事を理由に断ります。彼女は、公爵と遭遇する可能性のある場所に、一切近寄らないようにしていたのです。心配するカイルに、彼女は「また失くすのが怖いから」と嘘をつき、眼鏡も読書の時しかかけなくなっていました。
狩りの日の決意と、満たされない狩人
そんなある日、公爵一行が狩りに出かける、けたたましい犬の鳴き声と馬の蹄の音が響き渡ります。その音に怯えながらも、レイラは「この夏さえ乗り切れば…」と、自分に言い聞かせます。夏が過ぎ、彼が婚約者のクロディーヌと首都へ発てば、この悪夢も終わるはずだと信じていました。
しかし、狩りを終えた公爵の心は満たされていませんでした。彼は、何かが物足りないと感じていました。そして、その正体が、獲物である鳥ではなく、森の中を必死に逃げ回っていた、あの金色の髪の「鳥」、つまりレイラの姿であることに気づいてしまうのです。
死の道しるべ―罠の終着点―
その日の夕方、レイラは一人、森の中へ入っていきます。公爵が殺した鳥たちの亡骸を、埋葬してあげるためでした。しかし、森の様子はいつもと違いました。鳥の死骸が、まるで意図的に置かれたかのように、一定の間隔で道端に転がっているのです。
嫌な予感を覚えながら、レイラが最後の鳥を埋めようと足を止めた、その瞬間。彼女は背後に人の気配を感じます。恐る恐る振り返った彼女の目に映ったのは、狩りを終えたはずの、マティアス公爵その人でした。彼は、まるでレイラが来ることを知っていたかのように、そこに佇んでいたのです。そして、彼女に冷たく言い放ちます。「続けろ、レイラ・ルウェリン」。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】23話を読んだ感想
第23話は、物語が新たなステージに進んだことを明確に示す、恐ろしくも重要な回でした。公爵のレイラへの感情が、単なる「気まぐれな興味」から、明確な「執着」へと変わったことがはっきりと描かれています。
特に、狩りを終えた彼が「物足りない」と感じ、その理由がレイラだと自覚するシーンは、彼の歪んだ本質が表れていて、読んでいて鳥肌が立ちました。彼はもはや、偶然の出会いを待つのではなく、自ら獲物(レイラ)を誘い出すための罠を仕掛ける、積極的な捕食者へと変貌したのです。
そして、その罠が「死んだ鳥の道しるべ」という、あまりにも悪趣味で残酷なものだったことに、言葉を失いました。レイラが鳥を愛し、その死を悼む心優しい少女であることを知った上で、その優しさすらも、彼女を誘い出すための道具として利用する。彼の所業は、まさに悪魔のようです。
最後の「続けろ」という命令は、レイラに選択の余地を与えない、絶対的な支配の宣言です。この美しくも残酷な狩人の手から、レイラは逃れることができるのでしょうか。恐怖と緊張感が最高潮に達した、見事なクリフハンガーでした。
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