【泣いてみろ、乞うてもいい】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【泣いてみろ、乞うてもいい】第3話をネタバレありで解説する
第2話でついに姿を現した若き領主、マティアス・フォン・ヘルハルト公爵。第3話では、彼の帰還が屋敷にもたらす緊張感と、主人公レイラとの運命的かつ最悪な出会いが、息をのむ展開で描かれます。
緊張に包まれるヘルハルト家
物語は、公爵を乗せた馬車の中のシーンから始まります。執事から社交会の日程や貿易船の保険問題など、矢継ぎ早に報告を受けるマティアス 。その姿からは、17歳という若さで多くの重責を担う、領主としての厳しい日常がうかがえます。
一方、彼を迎えるヘルハルト家の屋敷は、張り詰めた空気に包まれていました。「今日だけは失敗は許されないぞ」と執事が使用人たちに釘を刺す様子からも、公爵が厳格な人物であることが伝わってきます 。
その出迎えの列には、ビルが買ってくれた新しい服をまとったレイラの姿もありました 。公爵様に会えるという期待と、屋敷の緊張感が入り混じった不思議な気持ちで、彼女はその時を待ちます。
挨拶の機会を逃し、知る公爵の「趣味」
馬車が到着し、ついにマティアス公爵が姿を現します 。彼は祖母や母と穏やかに挨拶を交わし、その立ち居振る舞いは気品に満ちあふれていました 。しかし、その威厳ある雰囲気に気圧されたのか、レイラは挨拶をするタイミングを逃してしまいます 。
がっかりするレイラに、ビルは「ヘルハルト公爵なら森でよく会うことになるだろうからその時に許可を得ればいいさ」と優しく声をかけます 。ですが、この会話の中で、レイラにとって聞き捨てならない事実が明かされるのです。それは、公爵の趣味が「
狩り」であり、特に「鳥を捕まえるのが一番好き」だということでした 。鳥を心から愛するレイラにとって、それはあまりにも残酷な情報でした。
森でのささやかな幸せと、突然の訪問者
公爵が帰ってきてから1週間後、レイラはいつものように森のお気に入りの場所で過ごしていました 。そこで彼女は、ずっと見守ってきたシジュウカラの巣で、ついに雛が孵化したことを発見します 。小さな命の誕生に、レイラは心からの喜びを感じます 。この幸せな光景は、かつて自分を置いて去っていった母親との悲しい記憶を、少しだけ癒してくれるかのようでした 。
この嬉しい知らせをビルにも伝えようと、レイラが木から下りようとしたその時です。静かな森に、馬の蹄の音が響き渡りました 。咄嗟に木の陰に身を隠したレイラの目の前で、狩りの装いをした一人の男性が馬を止め、休息を始めます 。
最悪の出会いと、悲劇の銃声
息を殺すレイラでしたが、不意に物音を立ててしまい、男性に見つかってしまいます 。その人物こそ、マティアス公爵その人でした。彼は冷静に「お前、なんだ」と問いかけます 。
目の前にいるのが公爵様だとは夢にも思わないレイラは、極度の緊張からまともに声が出せません。そして、恐怖のあまり、自分の名前を「レイラ・ルウェリン!!!!!」と、森じゅうに響き渡る大声で絶叫してしまったのです 。
パニック状態で森から逃げ帰ったレイラは、ビルに泣きつきながら事の経緯を話します 。その特徴から、ビルはレイラが出会ったのが公爵本人だと気づき大笑いしますが、レイラは血の気が引く思いでした 。
そして、まさにその瞬間、森の奥から乾いた銃声が「タァン」と響き渡ります 。レイラの頭の中に、ビルの言葉がこだましました。「公爵は鳥を捕まえるのが一番好きだと思うぞ」 。あの銃声は、彼女が愛した小さな命が奪われた音なのかもしれない。レイラはただ、声もなく立ち尽くすしかありませんでした 。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】3話を読んだ感想
第3話は、感情が大きく揺さぶられる、まさにジェットコースターのような回でした。前半、シジュウカラの雛の誕生に心から喜び、目を輝かせるレイラの姿に、読んでいるこちらも幸せな気持ちになりました。彼女がこのまま穏やかな日々を過ごしてほしいと、心から願った瞬間でした。
だからこそ、後半の展開はあまりにも衝撃的です。まさかあんな形で公爵と出会ってしまうなんて、想像もしていませんでした。恐怖のあまり自分の名前を絶叫してしまうシーンは、可哀想でありながらも少しコミカルで、緊張感の中に不思議な緩急を生み出していました。
しかし、最後の銃声が全てを塗り替えてしまいます。レイラのささやかな幸せと、公爵の冷徹な趣味が「銃声」という形で交差する演出は、本当に見事だと感じました。鳥を愛する少女と、鳥を狩る青年。この二人は、あまりにも決定的に相容れない存在として出会ってしまったのです。
若き公爵マティアスも、ただの冷酷な人物ではなく、多くの重責を背負っていることが示唆されており、彼の背景にも興味が湧きます。この最悪な出会いから、二人の関係はどのように変化していくのでしょうか。絶望に沈むレイラの姿に胸を痛めつつも、今後の展開から目が離せません。
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