【泣いてみろ、乞うてもいい】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【泣いてみろ、乞うてもいい】第4話をネタバレありで解説する
第3話で若き公爵マティアスと最悪の出会いを果たし、彼の趣味がもたらす悲劇を目の当たりにしたレイラ。第4話では、公爵への静かな憎しみを募らせる彼女の前に、一筋の光となる新たな出会いが訪れます。
「鳥たちの虐殺者」への憎しみ
世間では「ヘルハルト家の傑作」と称賛され、誰もが慕うマティアス公爵 。しかし、彼の領地に住むたった一人の少女、レイラ・ルウェリンの考えは全く違いました 。なぜなら、彼が森に足を踏み入れる日は、たくさんの鳥たちが命を失う日だったからです 。
彼にとって鳥は、ただの「生きる的」でした 。小さければ小さいほど狙うのが難しく、興味をそそられる対象でしかなかったのです 。そして、彼は命中させた獲物には目もくれず、血まみれで死んでいこうとも、ただ背を向けるだけでした 。
先日、レイラが大切に見守っていたシジュウカラの母鳥も、彼の狩りの犠牲になりました 。その結果、残された雛たちは、一度も空を飛ぶことなく巣の中で冷たくなっていたのです 。レイラは小さな亡骸を埋めながら、心の中で公爵をこう名付けました。
美しき鳥たちの虐殺者、と 。
柳の木の下での、新たな出会い
公爵への憎しみが募るある夏の暑い日、ビルはレイラに仕事を手伝わせず、柳の木陰で休んでいるように言いつけます 。ぶっきらぼうな口調の中にも、彼女を気遣う優しさが垣間見えました 。
レイラが一人で休んでいると、そこに「こんにちは」と快活な声が響きます 。現れたのは、日に焼けた快活な少年でした。彼はカイル・エトマンと名乗り、公爵家の主治医である父親について屋敷を訪れたと明かします 。
子供らしい口論と、芽生える友情
カイルは人懐っこく、すぐにレイラの隣に腰を下ろします。そして、二人はお互いが11歳だと知り、驚きました 。カイルが「
その割にはすっごい小さいよな!」とからかうと、レイラも「あなたも小さいじゃない」とむきになって反論 。子供らしい微笑ましい口論は、今まで心を閉ざしがちだったレイラにとって、同年代の子供との初めての対等なやり取りだったのかもしれません。
気まずい雰囲気の中、レイラが差し出した桃をきっかけに、二人の距離はさらに縮まります 。そして、レイラは思い切って、公爵たちの狩りによって鳥が殺されてしまう悲しみを打ち明けました 。
共有された想いと、再会の約束
レイラの悲しい告白に、カイルは最初「狩りってそういうものじゃないのか?」と尋ねます 。しかし、レイラの真剣な眼差しを受け、彼は力強くこう言い放ちました。
「俺はやらないよ!だって可哀想だろ」
その言葉は、レイラの凍てついた心を温かく溶かす、初めての共感でした 。自分と同じように、命の尊さを理解してくれる存在がいた。この瞬間、二人の間には確かな友情が芽生えたのです。
やがて、カイルは母親に呼ばれて帰る時間になります 。彼は「会えて嬉しかったよレイラ」「また会おうな」と爽やかな笑顔で手を振り、さらに「今度は俺がおいしい物持ってくるから!」と再会を約束してくれました 。その姿を見送りながら、レイラは嬉しい気持ちと、自分はいつかここを去らなければならないという、一抹の寂しさを感じるのでした 。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】4話を読んだ感想
第4話は、レイラの深い悲しみと、そこへ差し込む希望の光との対比が胸を打つ、非常に印象的な回でした。冒頭の、公爵を「鳥たちの虐殺者」と断じるレイラのモノローグは、彼女の純粋さと、それゆえの深い絶望を物語っており、心が痛みました。
そんなレイラの前に現れたカイルの存在は、まさに砂漠の中のオアシスのようです。彼の太陽のような明るさと、何よりもレイラの痛みに寄り添える優しさは、読んでいるこちらの心まで温かくしてくれました。特に「だって可哀想だろ」というセリフは、この物語における大きな救いの一つだと感じます。レイラにとって、初めて自分の気持ちを分かってくれる「友達」ができた瞬間でした。
子供らしい背の高さの比べ合いから、命に対する真剣な話まで、二人の会話はどれも自然で魅力的です。この出会いが、レイラの固く閉ざされた世界を広げてくれることを期待せずにはいられません。
しかし、物語の最後、カイルの母親がレイラに向ける意味深な視線が、新たな波乱を予感させます。この温かい出会いが、今後どのような展開に繋がっていくのか。レイラの未来に幸多かれと願いながらも、一抹の不安が残る、見事な締めくくりでした。
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