【泣いてみろ、乞うてもいい】6話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【泣いてみろ、乞うてもいい】第6話をネタバレありで解説する
第5話のラストで、貴族令嬢クロディーヌの気まぐれな「遊び相手」として、その部屋の前に立たされたレイラ。第6話では、身分という見えない壁が彼女の心を深く傷つけ、さらに追い打ちをかけるように、公爵マティアスとの再会が彼女を絶望の淵へと追い込みます。
無邪気な残酷さ、クロディーヌの尋問
クロディーヌの豪華な部屋に通されたレイラは、さっそく品定めするかのような視線に晒されます。クロディーヌはレイラの年齢が11歳だと聞くと、悪びれもせずに「本当?もっと下かと思った すごく小さいから」と言い放ちます 。
その後も、ピアノ、歌、造花作り、カードゲームといった貴族の令嬢にとっては当たり前の教養や遊びについて次々と尋ねますが、レイラは「いいえ」「したことありません」と答えることしかできません 。貧しいながらも父の愛情を受けて育ったレイラにとって、それらは縁のない世界のものだったのです。
「犬に勝るものもない」という侮辱
レイラが何も知らないことにすっかり失望したクロディーヌは、心底可哀想だといった表情で「あなたって本当に何も知らない子なのね」と侮蔑の言葉を浴びせます 。そして、期待外れだとばかりに大きなため息をつくと、「犬に勝るものもないじゃない」という最も辛辣な一言を残し、部屋から出て行ってしまいました 。
一人残されたレイラは、屈辱に耐えながらその場で待ち続けます。しばらくして戻ってきたメイドは、レイラが着ている美しいドレスと金貨を一枚、まるで施しのように差し出し、「目上の方がくださったものをありがたく受け取るのも礼儀よ」と冷たく言い渡すのでした 。
惨めさの頂点で、公爵との再会
屈辱感でいっぱいのまま屋敷を後にしたレイラ。一刻も早くビルの元へ帰ろうと急ぐあまり、不慣れな靴のせいで派手に転んでしまいます 。泥だらけになった手から、施された金貨が虚しく転がり落ちました 。
そして、彼女が顔を上げたその先には、最悪のタイミングで、あのマティアス公爵が立っていたのです 。彼は何も言いません。しかし、その「人を果てしなく惨めな気持ちにさせる目つき」は、レイラに自分がこの場所でいかに取るに足らない、場違いな存在であるかを痛感させるには十分でした 。レイラは、彼の唇の端が嘲笑うかのように、わずかに上がったのを見逃しませんでした 。
込み上げる感情の正体
不思議なことに、公爵の侮蔑に満ちた視線を浴びた瞬間、転んだ膝の痛みはどこかへ消えていきました 。しかし、それと引き換えに、心にずっしりとのしかかる重い感情がありました。
レイラは公爵に一礼すると、彼の前から逃げるように走り出します 。喉元まで込み上げてくる、言葉にならない何かを必死にこらえながら、ただひたすらにビルの待つ家を目指しました 。そして、森を抜け、家から漏れる温かい光が見えた時、彼女はようやくその感情の正体に気づくのです。それは、どうしようもないほどの、深い「悲しみ」でした 。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】6話を読んだ感想
今回の第6話は、読んでいて胸が苦しくなるほど、レイラにとって過酷な試練の連続でした。クロディーヌの無邪気ゆえの残酷さと、マティアス公爵の研ぎ澄まされた冷酷さ。この二種類の「貴族の傲慢」が、レイラの心を徹底的に踏みにじっていく様に、強い憤りを感じずにはいられませんでした。
特に、クロディーヌの「犬に勝るものもない」というセリフと、その後の施しのような金貨は、人の尊厳を深く傷つける行為であり、非常にショックを受けました。今までどんな理不尽な目にあっても気丈に振る舞ってきたレイラが、この時ばかりは心を折られてしまったのが伝わってきて、本当につらかったです。
そして、最も印象的だったのは、公爵の視線を浴びたことで体の痛みが消え、心の痛みが浮き彫りになるという演出です。これは、物理的な苦痛よりも、精神的な屈辱がいかに彼女を深く傷つけたかを物語っています。
最後に、自分の感情が「悲しみ」だと自覚するレイラの姿には、涙が出そうになりました。温かい家に帰れる安堵感と、今日受けた屈辱が入り混じった、複雑な涙だったのでしょう。この深い悲しみを、彼女がどう乗り越えていくのか。ビルおじさんやカイルが、彼女の心の支えとなってくれることを切に願います。
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