【泣いてみろ、乞うてもいい】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【泣いてみろ、乞うてもいい】第9話をネタバレありで解説する
第8話のラスト、親友カイルからの突然の告白フラグに、読者の心もときめいたことでしょう。第9話では、その告白の行方と、15歳になったレイラが抱える心の傷、そして再び動き出す運命の歯車が描かれます。
告白の行方と、カイルの優しい決意
物語は、カイルがレイラに「君が好きだって」と告白しようとする、まさにその瞬間から始まります。 しかし、彼のただならぬ様子に気づいたレイラが「どうかした?」と不思議そうに首を傾げたため、カイルは寸前でその言葉を飲み込みました。
彼は、レイラの気持ちも確かめずに今の心地よい友人関係を壊したくない、と考え直したのです。 もちろん、日に日に美しくなっていくレイラを見て焦る気持ちはあるものの、「この笑顔を長く見守り続けるための我慢だと思おう」と、彼は誠実な決意を固めます。
一方で、彼の頭の中では「いっそこのまま夫婦に…?」「レイラ・エトマン…すっごくいい!!!!!」と、一人で幸せな妄想を繰り広げて大爆笑。 そんなカイルに、レイラは自分のテストの成績を笑われたと勘違いして拗ねてしまうなど、二人の微笑ましいやり取りが続きます。
明かされる、公爵への根深いトラウマ
和やかな帰り道、カイルはヘルハルト公爵がもうすぐ帰還するという噂を口にします。 すると、レイラの表情は一瞬で曇り、「彼に会いたくないから」と静かに呟きました。
彼女の心には、4年前に受けた屈辱が、今もなお深い傷として残っていたのです。レイラのモノローグで、当時の出来事が語られます。直接的に彼女を侮辱したのはクロディーヌお嬢様でした。しかし、レイラを「果てしなく惨めな気持ちにさせたのはむしろ公爵様のほうだった」のです。 あの時の無言の侮蔑に満ちた視線は、忘れようとしても忘れられないトラウマとなり、彼女は以来、できる限り公爵を避けて生きてきました。
「人を助ける手」であってほしい
レイラは、公爵に憧れて「将校になりたい」と夢を語るカイルに、静かに釘を刺します。 「忘れたの?あなたは鶏一匹すら殺せないでしょ」。 過去に、ビルから夕食の鶏を捕まえるよう命じられ、散々な結果に終わったカイルの「穀潰し」エピソードが、コミカルに回想されます。
そしてレイラは、カイルに自身の願いを伝えます。「私はカイルの手が人を助けるための手だったら嬉しい。銃を撃つための手じゃなくてね」。 その言葉は、命を弄ぶ公爵とは対極にある、カイルの優しさへの信頼の証でした。カイルはレイラの言葉に心を打たれ、「俺は医者になるんだから当然!」と、力強く宣言するのでした。
運命の再接近?車を降りた公爵
二人がそんな話をしていると、一台の車が通り過ぎていきます。 そして物語のラスト、その車の中から、軍服に身を包んだマティアス公爵本人が姿を現します。彼は運転手に車を止めさせると、「少し歩きます」と言い残し、一人車を降りました。 その視線の先にいるのは、まさにカイルと別れ、自転車で家路につくレイラの姿でした。トラウマの元凶である公爵が、再び彼女に接近しようとしている。不穏な空気が漂う中、物語は次話へと続きます。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】9話を読んだ感想
第9話は、カイルとレイラの甘酸っぱい青春模様に心が温かくなる一方で、レイラが抱えるトラウマの根深さが明らかになり、胸が締め付けられる回でした。光と影のコントラストが、物語に一層の深みを与えています。
カイルの「レイラ・エトマン」妄想は、可愛すぎて思わず笑ってしまいました。しかし、その裏には彼女との関係を壊したくないという誠実な想いがあり、彼のキャラクターがますます好きになります。こんなにも一途に想ってくれる親友がいることは、レイラにとって大きな救いでしょう。
その一方で、レイラの心の傷には改めて考えさせられました。直接的な暴力や暴言よりも、無言の侮蔑や冷たい視線の方が、人の心を深くえぐることもあるのだと。彼女が公爵を避ける理由は、恐怖以上に、自分の尊厳を傷つけられたことへの抵抗なのかもしれません。
そして、ラストの公爵の行動には、思わず息をのみました。彼は一体何を考えているのでしょうか。ただの気まぐれか、それとも明確な意図があるのか。レイラに平穏な日々を過ごしてほしいと願いつつも、この二人が再び対峙する瞬間に、物語が大きく動くことは間違いないでしょう。今後の展開から目が離せません。
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