【軍神と偽りの花嫁】34話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【軍神と偽りの花嫁】第34話をネタバレありで解説する
皇帝の魔の手から辛くも逃れ、夫・汪煌明(おう こうめい)の元へ戻った明凛(めいりん)。第34話では、夫を救うため、第三国の使者・霧芳(きりか)に隠された秘密に迫ります。仮面を被った男との静かなる心理戦と、それを乗り越えた先で交わされる、夫婦の熱い誓い。今回は、サスペンスと愛情が巧みに交差する、見応えのある物語を詳しくご紹介いたします。
妻の願い、夫のために学ぶということ
物語は、明凛が古傷に苦しむ霧芳に、薬効のあるお茶を振る舞う場面から始まります 。彼女は、仙女の祖先が高名な医者であったことを明かしつつも、自らの知識など宮廷の医師には到底及ばないと謙遜します 。そして、この出会いを好機と捉え、夫の力になるため、霧芳に医学を学びたいと願い出ました 。
その真っ直ぐな想いに、霧芳は二人の間にある深い絆を感じ取ります 。しかし、彼は皇帝との古い間柄をちらつかせ、明凛を試すような言葉を投げかけました 。それに対し、彼女はきっぱりと「私は煌明様の妻です」と答え、皇帝との関係性を一蹴する、揺るぎない忠誠心を見せるのでした 。
落とされた毒の羽、仮面を被った使者の本性
明凛は、霧芳を治療するため、傷跡を薄める軟膏を届けに彼の元を訪れます 。しかしその時、霧芳が持っていた小箱が手から滑り落ち、中から一本の美しい羽根が転がり出ました 。それは、まぎれもなく、皇帝の宝物庫で見た猛毒の鳥「鴆」の羽根だったのです 。
その正体に気づき、愕然とする明凛。しかし、霧芳は少しも悪びれる様子を見せません。彼は、なぜ夫以外の男の入浴場にいるのかと明凛を問い詰めると、「羽色が美しく御守りに」と、あくまでシラを切り通します 。さらには、「まさかそのような危険な物だとは」と、自分の無知を装いながら、煌明を討てば褒賞があるという噂と結びつける、巧妙な心理戦を仕掛けてくるのでした 。
「泳がせておこう」―夫が下した、苦渋の決断
霧芳は、嫌疑をかけられるのはご尤もな失態です、と自らの罪を認め、煌明に事の次第を話して処分を受けると申し出ます 。しかし、駆けつけた煌明が下したのは、意外な決断でした。彼は「泳がせておこう」と、今はまだ霧芳を罰する時ではないと判断したのです 。
もっと多くの情報を引き出すため。その苦渋の決断に、明凛は「ですが」と食い下がります 。しかし煌明は、これ以上妻を危険な目に遭わせるわけにはいかないと、その訴えを退けるのでした 。
「触れられたいのは明凛様だけです」―雨上がりの夜に誓う、夫の愛
危険な駆け引きが終わり、二人きりになった寝所。煌明は、妻を危険な場所に置き去りにしたこと、そして雨に濡らしてしまったことを、心から謝罪します 。宮殿に一人残された明凛を想い、自分も怖かったのだと、初めてその弱さを吐露しました 。
そんな夫の想いを受け、明凛は改めて「煌明様を護ります」と、あの夜の誓いを口にします 。しかし、煌明は優しく、そして力強く彼女を抱きしめ、こう告げるのでした。
「私が触れられたいのは明凛様だけです」
自分の身を差し置いて「それより」などと言ってほしくない。ただ、あなたにだけ触れられたい。その言葉は、どんな策略や危険よりも、妻の存在が大切だという、彼の魂からの叫びでした。
まとめ【軍神と偽りの花嫁】34話を読んだ感想
前回のラストから続く、霧芳との心理戦には、終始ハラハラさせられました。彼がただの敵役ではなく、知性と策略を併せ持った、非常に厄介で魅力的なキャラクターであることがよく分かります。特に、毒の羽根の件で、無知を装いながら明凛を追い詰めていく場面は、彼の狡猾さが見事に表現されており、読んでいて背筋が寒くなりました。
そんな強敵を前に、一歩も引かずに立ち向かった明凛の成長ぶりにも、目を見張るものがあります。彼女の聡明さと勇気が、ついに決定的な証拠を掴んだのです。彼女はもう、物語のヒロインというだけでなく、煌明と共に謎を解き明かす、最高のパートナーなのだと実感しました。
そして、何よりも心を打たれたのが、ラストの煌明の愛の告白です。「私が触れられたいのは明凛様だけです」というセリフには、彼の不器用ながらも、どこまでも深く、そして一途な愛情が凝縮されていました。サスペンスフルな展開からの、この甘く、そして熱い誓いの言葉。その緩急の見事さに、改めてこの作品の奥深さを感じました。次なる展開への期待が高まる、素晴らしい一話でした。
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