【関係の終末】8話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【関係の終末】前話(第7話)のあらすじ
悪夢にうなされ目覚めたマサルは、その不気味な内容をユイに打ち明けますが、表面上は平静を装います。旅行二日目、マサルはユイへのプロポーズのタイミングを計りかねている様子。気分転換に訪れた川で水遊びを楽しんでいた二人でしたが、ユイが水中でガラスのようなものを踏んで足を怪我してしまい、楽しい時間は突如として中断されるのでした。ユイは、マサルの最近の言動からプロポーズの意図を薄々感じ取っている様子でした。
【関係の終末】第8話をネタバレありで解説する
ユイの足から流れ落ちる鮮血。それは、この忌まわしい土地で二人が遭遇する、さらなる異様さへの不吉な序章に過ぎませんでした。ユイ一人が目の当たりにする川の上流での衝撃的な出来事。そして、彼女の危機を知ったマサルが薬を求めて戻った民宿で垣間見る不可解な光景は、彼らの心を底知れぬ恐怖と拭いきれない疑念で深く染め上げていくことになります。
川上でユイが目撃したおぞましい光景と、地元住民の冷たい視線
ユイの足の怪我に気づいたマサルは心配し、すぐさま手当ての準備をしようとします。「ここで待っていて。すぐに戻るから」とユイに声をかけ、民宿へと戻ります。一人、川辺に残されたユイでしたが、ふと川の流れに目をやると、上流からどす黒い血の塊のようなものが断続的に流れてきていることに気づきました。「血…?」ユイが不安げに呟き、その異様な光景に息をのみます。確かめずにはいられなかったのか、ユイは痛む足を引きずりながらも、一人で恐る恐る血の流れを辿って川上へと進んでいきました。
そこで彼女が目の当たりにしたのは、言葉を失うほどおぞましい光景でした。一人の男が、鉈のような刃物で動物(アナグマ)を荒々しく解体していたのです。そのあまりに生々しく暴力的な作業の様に、ユイは声にならない悲鳴をあげ、思わずその場で口元を強く押さえました。
ユイの存在に気づいた男は、明らかに迷惑そうな表情で顔をしかめ、「何してんだ?」とぶっきらぼうに尋ねます。ユイが恐怖で声も出せずにいると、男は「アナグマをさばいてるんだよ」と吐き捨てるように言い、「これはもともと食用として飼ってたんだ!」と一方的に事情をまくし立てました。そして、「余計なことは言わずにさっさと行ってくれ!」と、まるで汚いものでも見るかのように、彼女を追い払おうとします。さらに、「都会から来たようだが夜に騒がないでくれよ」「民宿から出てほっつき歩くな!よそから来た人にかき回されたくないんだ!」と、強い警戒心とあからさまな敵意を込めた言葉を浴びせかけるのでした。
ユイが恐怖に震えながらその場を後にすると、この男は近くにいた仲間らしき男と何事か言葉を交わし始めます。その会話の端々からは、この辺りの閉鎖的な土地柄や、ユイたちが宿泊している民宿の元々の主人が亡くなり、その甥である現在のオーナーが後を継いで民宿を営んでいるものの、そのオーナーもまた一癖も二癖もある人物で村の人間からは敬遠されている、といった不穏な情報が漏れ聞こえてきました。彼らは去っていくユイの後ろ姿に、「まったく…礼儀も知らないやつだ」「都会の人間はあんなもんさ」と、冷たい嘲笑を浮かべながら悪態をつくのでした。
民宿での新たな謎、そしてマサルの必死の薬探し
民宿まで戻ったマサルは、「オーナーさん!いませんか?」と声を張り上げますが、人の気配は全くありません。ユイの苦痛を少しでも和らげたい一心で、一刻も早く薬を見つけたいマサルは、逡巡の末、やむを得ずオーナーの部屋と思われる場所に足を踏み入れました。薄暗い部屋、テーブルの上には巨乳の女の人のグラビア雑誌が目に入ります。「昼間からこんなもの見てんのかよ…」と内心で毒づきながらも、マサルはユイのために必死に薬を探し続けました。
その時、背後から物音がし、振り返るとあの従業員の男が立っていました。マサルは咄嗟に「あ…すみません 彼女が川でケガしちゃって…」「誰もいなかったんで薬を探してたんです」と、やや焦りながらも事情を説明します。すると意外にも、従業員の男は何も言わずに黙って消毒液と絆創膏を差し出し、マサルは「ありがとう…ございます!」と深く頭を下げ、それを受け取るのでした。
拭えない過去の記憶と、悪夢の再来
薬を手に、ユイが待つ場所へと急ぐ最中、マサルの脳裏に、数時間前にサービスエリアで遭遇した、いじめっ子たちの姿が、まるで悪夢のように突如として蘇ります。
「最後のカウンセリングで全部忘れたと思ってたのに…なぜあの時は激しく動揺したんだろう」。彼は、自分がいまだ過去のトラウマから完全に解放されていないという厳しい現実を痛感し、言いようのない無力感と自己嫌悪に襲われます。そして、「いや本当はわかっていた あの時なぜ萎縮したのか」「悪縁は簡単には切れない そして俺はあの日を絶対に忘れることができない」と、心の奥底で何度も繰り返すのでした。
過去の忌まわしい出来事と、それが現在の自分を深く、そして確実に縛り付けているという紛れもない事実を、改めて強く自覚したのも束の間、その彼の絶対的な思いを裏付けるかのように、ふと顔を上げた彼の目の前に、タバコをふかしながら道を尋ねてきた男が立っていました。それは紛れもなく、かつてマサルを心身ともにズタズタになるまでいじめ抜いた同級生の一人だったのです。悪夢は、現実となってマサルのすぐそこまで迫っていました。
まとめ【関係の終末】8話を読んだ感想
第8話は、ユイが単独で直面する恐怖と、その後合流したマサルが抱える心の闇がより深く描かれ、物語の不穏な緊張感が一段と増したように感じました。川上でのアナグマ解体のシーンは、ユイ一人がそれを目撃するという状況になったことで、彼女の感じる恐怖と孤立感がより際立ち、読んでいるこちらも息をのむような緊迫感を覚えました。地元住民の排他的な態度は、外部から来た者へのあからさまな拒絶を感じさせ、この土地の持つ閉鎖的で異様な雰囲気を強烈に印象づけています。
マサルが登場し、ユイのために薬を探す場面で偶然見てしまった寝ている女性の謎は、新たなサスペンス要素として非常に興味を引かれます。彼女はいったい誰なのか、なぜあのような状態でいたのか、そして依然として姿を見せないオーナーの行方。これらの謎が今後の物語にどのように絡んでくるのか、目が離せません。
そして、物語の後半でマサルが過去のトラウマと再び向き合い、苦悩する場面は、彼の心の傷の深さを改めて浮き彫りにしました。「悪縁は簡単には切れない」という彼の独白は非常に重く響き、ラストでその悪縁の象徴であるいじめっ子と再会してしまうシーンは、絶望的な状況へと一気に突き落とされるような衝撃がありました。ユイの足の怪我の手当てはできたものの、マサルの心の傷は今まさに抉られようとしています。次話でマサルがこの絶望的な状況にどう立ち向かうのか、そして二人の運命がどう展開していくのか、固唾をのんで見守りたいと思います。
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