【関係の終末】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【関係の終末】前話(第8話)のあらすじ

川で足を怪我したユイ。彼女が一人で川上から流れる血の源を辿ると、そこでは男がアナグマを解体しており、ユイはその男と仲間の男たちから威圧的な態度を取られ、恐怖を感じます。時同じくして、薬を持ってユイの元へ戻る途中、マサルは自身のトラウマと悪縁から逃れられないことを痛感。そしてその直後、かつて自分を心身ともにズタズタになるまでいじめ抜いた同級生の一人と、十数年ぶりに再会してしまうのでした。

【関係の終末】第9話をネタバレありで解説する

第8話のラストで、マサルはかつてのいじめっ子と衝撃的な再会を果たしました。第9話は、その悪夢のような状況から始まります。それは単なる再会ではなく、マサルの心の奥底に刻まれた、決して消えることのないおぞましい記憶の再現でした。

悪夢は再び…繰り返される屈辱と暴力の記憶

物語は、マサルがかつてのいじめっ子たちに囲まれ、理不尽な尋問と暴行を受けている過去の回想シーンから幕を開けます。リーダー格の男は「おいサル 返事くらいしろよ このバカ」とマサルを嘲り、「わかるか? なんで殴られてんのか」と問い詰めます 。マサルは恐怖に震え、声も出せずにいると、男は「答えるまでに2秒以上かかったらまたビンタするぞ」と脅しを重ねます 。そして、「お前はこんな深夜になんで殴られてるんでしょうか?」という問いに対し、マサルはかつて強要された屈辱的な言葉を繰り返すしかありませんでした。「お…俺は…殴られるのが好きな変態だから…」

男は「悪くねぇけど80点だな サルやり直しだ」とせせら笑い、「なんで殴られてると思う?」「100点になるまで続けるぞ」と、さらにマサルを精神的に追い詰めていきます 。マサルの「うう…お願いだから…ごめん…俺が悪かったよ…何でもするから…殴らないで…」という悲痛な叫びも、彼らの歪んだ嗜虐心を満たすだけで、暴力が終わる気配はありません 。いじめっ子の一人が「こいつダメだな 遅くなるって母さんに電話しろ」と投げやりに言い放ち、別の仲間が「あ 母さんいないんだったな」と追い打ちをかける言葉は、マサルの孤独と絶望をさらに深めます 。この一連の回想は、第8話のラストで再会したいじめっ子との遭遇が、マサルにとってどれほど根深いトラウマを呼び覚ますものだったかを鮮烈に示しています。

打ち捨てられた絶望と、内なる葛藤

場面は現在に戻ります。いじめっ子たちは、どうやら道に迷っているらしく、仲間内で「全然着かないじゃねえか」「うるせぇな 俺が合ってんだよ」などと無意味な言い争いをしながら 、マサルのことなど既に忘れたかのように、彼をその場に打ち捨てて去っていきました

残されたマサルは、激しく嘔吐し、「う…おええっ! やっぱり…あいつらだった…」と、再会した男たちが間違いなく自分の人生を狂わせた過去のトラウマの元凶であることを改めて確信します 。そして、「10年以上会ってなかったのになんでここで…」と、このありえない再会に対する戦慄と深い絶望に襲われるのでした 。あまりの恐怖と心身の苦痛に、「逃げないと…ここから離れないと…早くユイと一緒に…」と、マサルはまずこの場から逃げ出すことだけを考えます

しかし、彼の心の中で、もう一人の自分が力強く問いかけていました。「でも逃げてどうする?」「結局俺は乗り越えられなかった」「逃げたらあの記憶から抜け出せるのか?」「ここで逃げたら俺は一生あの地獄の中で生きるんだ」と 。その内なる声は、マサルの心にこれまでとは異なる感情を呼び覚まします。「あの時は子供だったけど もう30歳を過ぎた大人だ…なんで俺がまた逃げなきゃいけない?」 。そして、長年抑圧し続けてきた怒りが、マグマのように湧き上がり、ある決意へと彼を突き動かすのでした。「クソ…やるならかかってこいよ お前たちを殺す気で鍛えてきたんだ」 。それは、過去のトラウマにただ怯えるだけの弱い自分との決別であり、長年抱え続けてきた恐怖と屈辱に対する、決死の宣戦布告とも言える心の叫びでした。

ユイに迫る新たな脅威、そして変貌を遂げたマサルの登場

一方その頃、ユイはマサルの帰りが遅いのを、「遅いな…」と一人案じていました 。そこへ、先ほど川でアナグマを解体していた、あの地元住民の男たちがユイに近づき、「何が怖いってんだ!食べるために育ててたんだよ!」「観光客なら静かに遊んで帰れ」などと、威圧的な言葉を執拗に浴びせかけます 。ユイは恐怖を感じながらも、「だって…やり方ってものがあるでしょ!怖いから来ないでください」と、勇気を振り絞って毅然と反論します 。しかし、男たちは「あんたたち何なんだ」と、さらに高圧的に詰め寄ろうとしました

ユイが絶体絶命の危機に瀕したその瞬間、男たちの背後から、血相を変えたマサルが現れます 。その眼光は鋭く、もはや以前の怯え切ったマサルのものではありませんでした。愛するユイを守るため、そして自らの忌まわしい過去に断固として決着をつけるため、マサルはついに、トラウマという名の怪物に立ち向かう覚悟を決めたのです。

まとめ【関係の終末】9話を読んだ感想

第9話は、冒頭のマサルの壮絶な回想シーンから始まり、読者の心を強く揺さぶりました。彼が過去に受けた理不尽な暴力と屈辱は、現在の彼の人格形成にどれほど大きな影響を与えたのかを痛感させられます。10数年の時を経てもなお鮮明に蘇る記憶の描写は、トラウマの根深さを物語っていました。

しかし、打ち捨てられた絶望の中から、マサルが内なる声に耳を傾け、「逃げる」のではなく「戦う」ことを決意するまでの心理描写は、この物語の大きな転換点であり、非常に力強いメッセージを感じました。「お前たちを殺す気で鍛えてきたんだ」という彼の決意は、単なる怒りだけではなく、失われた自尊心を取り戻し、愛する人を守りたいという切実な願いの表れでもあるように思えます。

そしてラスト、ユイが新たな危機に直面する中、変貌を遂げたマサルが登場するシーンは、まさに手に汗握る展開でした。これまでの彼の弱さや脆さを知っているからこそ、その変貌ぶりはより一層際立ち、今後の彼の行動から目が離せなくなるほどの期待感を抱かせます。トラウマを乗り越えようとする人間の強さと、愛する者を守るために立ち上がる勇気。それらが凝縮された、非常に見応えのあるエピソードだったと感じました。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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