【関係の終末】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【関係の終末】前話(第11話)のあらすじ
マサルの決死のプロポーズの後、幸せな雰囲気も束の間、かつてマサルをいじめていた同級生たちが川辺で騒ぎ始め、彼らの水しぶきがマサルたちにかかります。注意すると、いじめっ子グループの一人の男がマサルに近づき、民宿の場所を尋ねてきました。マサルは気づかれていないことに安堵し、やり過ごそうとしますが、その男は「どっかで会ったことないですか?」とマサルの顔を覗き込みます。悪夢は終わっていなかったのです。マサルは絶望的な表情を浮かべ、再び過去のトラウマと直面せざるを得ない状況に追い込まれるのでした。
【関係の終末】第12話をネタバレありで解説する
「どっかで会ったことないですか?」――かつてのいじめっ子グループの一人であった男のその一言は、マサルを再び絶望の淵へと突き落としました。終わったはずの悪夢、断ち切ったはずの悪縁。しかし、それらは執拗にマサルを追い詰め、そして、彼の最も隠したい過去が、ユイの前で無慈悲にも晒されることになるのでした。
悪夢の確信、そして晒される過去
マサルに声をかけてきた男の言葉に、彼は「…会ったことないと 思いますけど」と、かろうじて否定の言葉を絞り出します。他の仲間が「何やってんだよ 早く行こうぜ!」と促すものの、この男は「ちょっと待てよ!この人どっかで見たことあるんだ」と、マサルへの執着を見せ、さらに「もしかしてXX高の出身でXX町に住んでませんでした?」と、具体的な地名や学校名を挙げて核心に迫ります。その言葉に、マサルはもはや否定することができず、「そうですが 僕を知ってるんですか?」と認めてしまうのでした。
次の瞬間、男の顔が驚愕と下卑た興奮で見開かれます。「こいつ サルだよ!」。その甲高い叫び声に、他の仲間たちも「あ?サル?」「そうだよな!サル!お前だろ?」と次々にマサルを取り囲み、興奮した様子で彼を指さします。ユイは、目の前で展開される異常な事態と、「サル」という屈辱的としか言いようのないあだ名で呼ばれるマサルの姿に、ただ茫然と立ち尽くすしかありませんでした。男たちは、「すげぇ 変わったな!全然わかんなかったぜ!」「本当にあのサルか?」「体鍛えたのか?ムキムキじゃん!」と口々に騒ぎ立て、過去のいじめの対象であった「サル」との思わぬ再会に、悪趣味な喜びを隠そうともしないのでした。
思い出したくもない記憶、そして偽りの友情
最初にマサルに気づいた男が「見覚えがあるって言っただろ!」と得意げに言い、他の仲間が「お前よく気付いたな」と称賛します。そしてその男は、「サル 俺たちのこと覚えてるか?」とマサルに問いかけます。マサルの心臓は恐怖で激しく鼓動し、忌まわしい記憶が鮮明に蘇りますが、彼は「ああ 思い出したよ」と、努めて平静を装って答えるしかありませんでした。そして、記憶の糸を手繰り寄せるように、「タツヤとその取り巻きだろ」「シン、ヨウジ、タカ…お前たち今もつるんでんのかよ」と、彼らの名前を呼び、動揺を悟られまいと冷静に対応しようとします。
「太ったな お前めっちゃタツヤだろ?」とまるで旧交を温めるかのような芝居がかった、しかしマサルにとっては耐え難い屈辱的なやり取りを続けるのでした。
グループのメンバーであるシンは馴れ馴れしくマサルに話しかけ、「こんな所で会うとはな 卒業して以来じゃねぇか?」と続けます。そして、隣にいるユイに卑屈な笑みを向け、「隣にいるのは奥さん?結婚したのか?はじめまして俺たちサルの友達です」と、何の悪びれる様子もなく、自分たちをマサルの「友達」だと紹介するのでした。その言葉の一つ一つが、鋭い刃のようにマサルの心を切り刻んでいきました。
厚顔無恥な提案と、マサルの苦渋の選択
仲間の一人が予約をしくじったせいで今夜泊まる宿がないことを明かすと、マサルが「お前たち泊まる所がないのか?」「この近くに俺たちが泊まってる民宿があるんだ」と、信じられないほどあっさりと自分達の泊まっている民宿の場所をいじめっ子たちにします。そして、「さっき会った所を右にまっすぐ行って丘を登れば古い民宿がある」「客は少ないから泊まれるはずだ」と、まるで親切心からであるかのように教えるのでした。さっき嘘をついた理由を、「ただのヤンキーかと思ってさ」と悪びれもせずに言い放ち、ユイに誤解されないよう取り繕う始末です。
さらに、「よかった!バーベキューもできるか?」と畳みかけるいじめっ子たちに、マサルは「庭でできるよ」と答えます。男たちは「マジかよ やったぜ!ありがとな!」と大喜びし、「おいサル!あとで彼女さんと一緒に飲もうぜ!肉もたっぷりあるし」と、マサルたちの状況など全く意に介せず、自分たちの都合を一方的に押し付けます。マサルは「そうだな じゃあまたあとで」と、この場を収めるためだけに、そう答えることしかできないのでした。悪夢は、まだ始まったばかりなのかもしれません。彼らにとっては単なる昔の「遊び相手」との再会でも、マサルにとっては、再び地獄の蓋が開かれた瞬間だったのです。
まとめ【関係の終末】12話を読んだ感想
第12話は、マサルの最も触れられたくない過去が、最悪の形で白日の下に晒されるという、読んでいて非常に胸が苦しくなる展開でした。いじめっ子たちがマサルを「サル」と呼び、過去の出来事をまるで武勇伝のように語る姿は、彼らの人間性の欠如を改めて浮き彫りにし、強い憤りを感じずにはいられません。特に、ユイの前で平然と「サルの友達」と名乗るシーンは、マサルの屈辱を思うと、言葉にならないほどの怒りがこみ上げてきました。
そんな絶望的な状況下で、マサルが平静を装い、彼らに宿を紹介してしまう場面は、彼の無力さと、この状況から一刻も早く逃れたいという切実な思いが伝わってきて、非常に痛々しかったです。彼がどれほどの恐怖と屈辱を押し殺してその言葉を口にしたのかを考えると、胸が締め付けられます。
いじめっ子たちの厚顔無恥な振る舞いは、どこまでもマサルを追い詰めていきます。「あとで一緒に飲もうぜ!」という言葉は、マサルにとって悪夢の続きを宣告されたようなものでしょう。この後、マサルとユイはどうなってしまうのか、そしてマサルは本当にこの悪縁を断ち切ることができるのか。物語は一層深刻さを増し、次なる展開から目が離せない、非常に重苦しくも引き込まれるエピソードでした。
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