【関係の終末】35話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【関係の終末】第35話をネタバレありで解説する

前話、マサルの個人的な復讐は完遂され、一方で怪物へと変貌したタツヤは「悪魔」たちに反撃を開始しました。第35話では、完全に力関係が逆転した惨劇の森で、生き残った者たちの最後の対話が繰り広げられます。そこでは、もはや誰が「鬼」で誰が「人間」なのか、その境界線すら曖昧になっていました。

立場逆転、命乞いする「悪魔」

物語は、タツヤによって一方的に蹂躙される「悪魔」の姿から始まります 。かつて人々を弄び、狩る側であった彼は、今や「タイム!」と叫び、みっともなく命乞いをするしかありません 。タツヤは、もう一人の「悪魔」(ハシラ)を問い詰めます。「お前ら何者だ?」

するとその「悪魔」は、自分はただの従業員だと嘘をつき、「この民宿に鬼が…悪魔がいるんです」「そ…そいつが皆殺しにしろと言ったんです」と、全ての罪をマサルになすりつけようとしました 。さらに、タツヤの連れ(ユイ)や民宿のオーナーも殺されたと明かし、一緒に逃げようと提案します 。しかし、タツヤはその言葉を信じることなく、彼の腕を容赦なくへし折るのでした

壊れた虚勢、そして自己憐憫

腕を折られた「悪魔」は、痛みのあまり錯乱し、「お前なんて殺してやるからな!」「我慢して生きるのはもう嫌だ!」と、壊れた虚勢を張り始めます 。その無様な姿を、タツヤは「バカ野郎 どうかしてるぜ」と冷ややかに見下すだけでした

一段落したタツヤは、静かに自身の状況を整理し始めます。「クソッ…ただ遊びに来ただけなのに…」 。彼は、このトラブルが自分の会社に知られることを憂い、大破した愛車を見て舌打ちしました 。そして、仲間の亡骸に目をやり、「情けねえ奴だな…」「ババアとバカにやられるなんて…」と、仲間を悼むよりも先に、自身のプライドが傷つけられたことへの自己憐憫を口にするのでした

新たな目的、そして最後の対峙

感傷に浸るのも束の間、タツヤは「歩いては帰れねぇし…」と現実的な問題に直面します 。そして、彼は新たな目的を定めました。「サルの車に乗って途中で捨てて帰るか」「キーだけ持ってくるか…」

彼は、全ての復讐を終えて虚ろな目で座り込むマサルの元へと向かいます 。マサルが「完全にはイカれてねぇみたいだな」と呟くのを確認すると、タツヤはかつての傲慢さを滲ませながら、「おとなしく待ってろ あとでシメてやる」と言い放ち、鍵を奪うことだけを考えます

交錯する「鬼」、最後の問い

復讐の熱が冷め、どこか正気に戻ったようにも見えるマサルは、「お…お前なんかあの鬼に殺されるさ…」「本当の恐怖をお前は知らないんだ…」と、タツヤに警告します 。しかし、タツヤにはその言葉の意味が理解できません。彼は、マサルもまた「悪魔」たちにやられたのだと解釈し、「復讐のつもりか?目を覚ませ」と語りかけます 。そして、この地獄のような状況を理解できないまま、彼は最後の問いをマサルに投げかけました。

「じゃなかったら鬼ってのはお前のことかよ?」

まとめ【関係の終末】35話を読んだ感想

今話は、壮絶なバイオレンスの嵐が過ぎ去った後の、静かで、しかし不気味な緊張感に満ちた回でした。あれほど無敵に思えた「悪魔」たちが、タツヤを前にして嘘や虚勢を並べ立て、みっともなく命乞いをする姿は、彼らが決して超常的な存在ではなく、ただの異常な人間であったことを示しており、非常に興味深かったです。

そして、タツヤのキャラクターの深掘りも見事でした。仲間が死んでもなお、世間体やプライド、そして現実的な帰宅手段のことばかりを考える彼の姿は、どこまでも自己中心的で、根っからの「いじめっ子」気質が抜けていないことを感じさせます。怪物に変貌しても、その本質は変わらないのかもしれません。

しかし、最も印象的だったのは、物語の原点であるマサルとタツヤが、全ての終わりに対峙するシーンです。一方は復讐を遂げて虚無となり、もう一方は恐怖の果てに怪物となった。二人の立場は完全に入れ替わり、もはやどちらが悪魔なのかわからない状況になっています。

「鬼ってのはお前のことかよ?」という最後のセリフは、この物語の核心を突く問いかけでしょう。読者もまた、この問いの答えを探しながら、二人が迎える本当の「関係の終末」を見届けることになるのだと思います。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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