【関係の終末】36話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【関係の終末】第36話をネタバレありで解説する

前話、ついに元凶であるマサルとタツヤが対峙しました。一方は復讐を遂げて虚無となり、もう一方は恐怖の果てに怪物へと変貌を遂げた二人。第36話では、この長年にわたる歪んだ関係の、本当の終末が描かれます。

最後の対話、交わらない二人の「正義」

物語は、タツヤがマサルに問いかける場面から始まります 。しかし、彼は「お前がサルをそそのかしてこうなったのか?」と、未だにマサルが全ての元凶であることに気づいていません 。そのあまりの無理解に、マサルは「黙れ!このクソが!」と怒りを爆発させて襲いかかります

しかし、怪物と化したタツヤに、もはやマサルの攻撃は通用しませんでした 。タツヤは「そんなボロボロの体で何ができんだよ」「それでなくても弱いくせに…」と、かつての力関係を誇示するかのようにマサルを蹂躙します

いじめっ子の論理、歪んだ独白

マサルを完全に打ちのめしたタツヤは、自身の「正義」を語り始めます 。彼は、マサルが自分に会った時点で逃げるべきだったと断罪します 。そして、こう続けました。

「昔あれだけしつけてやったのにもう忘れたのか?」 「お前らはみんな同じだ…浮かれて調子に乗るからこんな目に遭うんだよ」

彼の言葉からは、自身のいじめ行為への反省や罪悪感は一切感じられません。彼は、自分の行いを「しつけ」だと信じ、被害者が調子に乗ったから制裁されただけなのだと、その期に及んでも自己を正当化し続けるのでした。

復讐者の後悔、そして裏切り

地面に倒れ伏したマサルは、静かに後悔を口にします。「俺だってこんなことしたくなかったさ…」 。彼は、ケイゴやシンたちが、最後には皆泣いて謝ってきたことを思い出し、「遅かれ早かれお前もそうなるさ」とタツヤに告げます

その言葉を「話は終わりか?」と冷たく遮り、タツヤが車の鍵を奪うためにその場を離れた、まさにその瞬間でした 。これまでマサルに従っていたはずの「悪魔」の一人(ハシラ)が、背後から無慈悲にもマサルに襲いかかったのです

「俺達の関係はそれほど深い」、悲劇の結末

意識が遠のいていく中、マサルの脳裏に、もしも、という後悔がよぎります。「この民宿に来ていなければ…」「こいつらから逃げてれば…」「ユイと結婚して平凡に生きて…過去の傷ももしかしたら忘れていったかもしれない」

しかし、彼はすぐにその考えを打ち消します。「でも無かったことにはきっとできなかっただろう」 。そして、この長い夜の、全ての物語を締めくくる、あまりにも悲しい結論にたどり着くのでした。

「俺達の関係はそれほど深い」

まとめ【関係の終末】36話を読んだ感想

今話は、この物語の核心を突く、あまりにも切なく、そして重いエピソードでした。タツヤの独白は、胸が悪くなるほどでしたが、彼のキャラクターを一貫して描き切っており、反省の色を一切見せないその姿は、いじめという行為の本質的な邪悪さを見事に表現していたと思います。

しかし、何よりも心を揺さぶられたのは、マサルの最後のモノローグです。「俺だってこんなことしたくなかったさ…」という言葉には、彼の本当の願いが込められていたように感じます。彼が望んでいたのは、平凡な幸せだった。しかし、過去のトラウマは、それを決して許してはくれなかったのです。

そして、「悪魔」による最後の裏切り。これは、マサルが悪魔と交わした契約の、代償だったのかもしれません。復讐を遂げたマサルは、もはや悪魔たちにとって用済みだったのでしょう。

「俺達の関係はそれほど深い」という最後のセリフは、この作品のタイトルそのものであり、全てを物語っています。トラウマによって結ばれた歪んだ関係は、当事者たちの人生を喰らい尽くし、決して逃れることのできない呪いとなって、彼らを悲劇的な終末へと導きました。読後、深い余韻と、やり場のない悲しみが心に残る、見事な最終回でした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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