【関係の終末】39話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【関係の終末】第39話をネタバレありで解説する
前話、瀕死のタツヤが最後に助けを求めたのは、長年いじめ続けた「サル」ことマサルでした。第39話では、全ての悲劇の始まりとなった、ありふれた日常の記憶が描かれると共に、二人の歪んだ「関係」が、本当の終焉を迎えます。
悪夢の前、幸せだった日々の記憶
物語は、惨劇が起こる前の、マサルとユイの幸せな日常の回想から始まります。ユイは、海外旅行をしたがっていたにもかかわらず、多忙なマサルを気遣い、近場の民宿への一泊旅行を提案します。 その民宿は、ユイが友人の姉から聞いた、ネットにも載っていない絶景の場所でした。
この旅行の計画中、マサルの心は穏やかな幸福感に満たされていました。彼は、「ユイと出会ってから悪夢を見ることが少なくなった」「一緒にいたら辛い過去も和らぐようだった」と、彼女が自分にとっての救いであることを実感していました。 涙が出そうになるほどの愛しさを感じながらも、彼はその想いを伝えられずにいたのです。 この何気ない幸せな記憶が、この後に訪れる悲劇をより一層際立たせます。
最後の逃走、そして悪魔の嘲笑
場面は、血と狂気に満ちた現実へと戻ります。前話で「サル…助けて…」と呟いたタツヤは、自問自答の末、最後の力を振り絞ってその場から逃走を図ります。 しかし、その試みも虚しく、彼は森の中で力尽きて倒れてしまいました。
そこに、「悪魔」たちが追いつきます。彼らは倒れたタツヤを「こけやがった…」「天罰が当たったんだ…」と嘲笑います。 絶体絶命の状況でも、タツヤは「こ…殺してやるよ」と、最後まで抵抗の意思を見せるのでした。
「あなたも僕たちと同じだ」、悪魔の囁き
その頃、同じく瀕死の状態であったマサルの元に、彼を裏切った「悪魔」の一人(ハシラ)が近づきます。彼は、マサルの心を見透かすように、こう囁きました。
「あなたも僕たちと同じだ そうでしょ?」 「これは望んだことでしょ?楽しんでください」
それは、マサルの中に眠る破壊衝動と復讐心を肯定し、彼を完全に自分たちの側へ引き込もうとする、悪魔の甘い誘惑でした。この言葉は、復讐の果てに虚無感を抱いていたマサルの心に、最後の、そして最も黒い決意を抱かせます。
「ここで終わらせよう」、二人の終焉
悪魔の囁きに応えるかのように、マサルはよろめきながら立ち上がります。そして、「そうだ…こうなることをずっと望んでた」と、自身の最も暗い願望を受け入れました。
彼は、倒れているタツヤの前に立つと、静かに、しかしはっきりと告げます。
「タツヤ ここで終わらせよう」
タツヤもまた、死を覚悟した目で「やって…みろ…この…クソ野郎…」と応えます。 遠くからユイの悲鳴が響く中、長年にわたる二人の歪んだ関係は、ついに最後の瞬間を迎えようとしていました。
まとめ【関係の終末】39話を読んだ感想
幸せな日常の回想から始まる今話は、これまでのどの回よりも残酷で、そして悲しい物語でした。マサルとユイの間にあった、ごく普通の、しかし何物にも代えがたい幸福な時間が描かれたからこそ、彼らが失ったものの大きさが浮き彫りになり、胸が締め付けられました。
そして、悪魔(ハシラ)がマサルを誘惑するシーンは、この物語の核心の一つだと感じます。彼は、マサルの復讐心を「自分たちと同じだ」と肯定することで、マサルの行いが、正義や被害者の権利ではなく、単なる加虐的な快楽なのだと突きつけます。この言葉によって、マサルは最後の人間性を捨て、自ら化け物になることを受け入れてしまいました。
「ここで終わらせよう」という最後のセリフ。それは、タツヤへの言葉であると同時に、長年自分を縛り付けてきた過去のトラウマ、そしてこの歪んだ「関係」そのものに向けられた言葉だったのかもしれません。あまりにも痛ましく、救いのない結末ですが、これ以外に彼らがこの関係を終わらせる方法はなかったのだと思うと、ただただ言葉を失います。
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