【60点の夫婦でいいのに】全話ネタバレ完全版|あらすじから感想、結末の考察までまとめてみた

「結末が気になって仕方がない」「複雑な人間関係を時系列で整理したい」——そんな思いでこの記事に辿り着いた方も多いのではないでしょうか。漫画「60点の夫婦でいいのに」は、単なる不倫への復讐劇にとどまらず、世代を超える心の傷や、人がいかにして尊厳を取り戻していくかを描いた、重厚な人間ドラマです。この記事を読めば、その壮大な物語の全貌を、最初から最後まで一気に理解することができます。
ただし、この記事は物語の核心に触れる全てのネタバレを含みます。そのため、これから初めて読む方の楽しみを損なう可能性があります点を、あらかじめご了承ください。物語は大きく二部構成となっており、第一部は主人公・沙紀が自己中心的な夫とその不倫相手に鉄槌を下す壮絶な復讐劇、そして第二部は、その十数年後を舞台に、不倫した母を持つ娘・梨佳が「不幸の連鎖」と向き合う、新たな物語が描かれます。
漫画「60点の夫婦でいいのに」のネタバレ解説・あらすじまとめ
【60点の夫婦でいいのに】1話・2話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
主人公の戸川沙紀は、結婚7年目の夫・尚弥から、家事や育児といった日々の営みを全て点数で評価されるという、精神的な虐待に苦しむ毎日を送っていました。そんな彼女の心の支えは、完璧な主婦であり良き隣人でもある泉円佳の存在でした。しかし、その円佳こそが、尚弥の不倫相手だったのです。夫のスマートフォンから二人の卑劣なやり取りと、自分を「0点」と見下す残酷な評価を発見した沙紀。信じていた二人に裏切られた彼女の心に、静かな復讐の炎が灯ります。


【感想】 物語の序盤は、主人公・沙紀が置かれた息苦しい状況が丹念に描かれ、読んでいて胸が締め付けられるようでした。特に、家事の一つ一つを点数化されるという設定は、モラハラの陰湿さを非常に巧みに表現しています。そして、唯一の救いだと思われた隣人・円佳が、実は不倫相手だったという裏切りが発覚するシーンは衝撃的で、ここから物語が単なる夫婦喧嘩ではない、壮絶なサスペンスへと変貌していく予感に満ちていました。
【60点の夫婦でいいのに】3話・4話・5話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
全てを知った沙紀は、ただ泣き寝入りする妻であることをやめました。娘・陽菜の「ママが悲しいと私も悲しい」という言葉に勇気づけられ、同じく妻に裏切られていた円佳の夫・宗一郎と協力関係を結びます。ママ友たちの支援も得て、沙紀は着々と離婚と復讐の準備を進めていきました。しかし、追い詰められた円佳は常軌を逸した行動に出ます。沙紀が娘を連れ去ったかのように見せかける偽装工作を行い、あろうことか陽菜を実際に連れ去ってしまうのです。娘にまで危害が及んだことで、沙紀の決意は揺るぎないものとなりました。



【感想】 この章では、沙紀が弱かった被害者から、自らの手で未来を切り開く強い女性へと変貌していく過程が鮮やかに描かれます。特に、同じ痛みを抱える宗一郎と「同志」として手を組む展開は、物語に大きな推進力を与えました。一方で、円佳が娘の陽菜を連れ去るという暴挙は、彼女の人間性の欠如を浮き彫りにし、読者の怒りを掻き立てます。沙紀の怒りが頂点に達し、復讐計画が最終段階へと向かう緊迫感に満ちた展開でした。
【60点の夫婦でいいのに】6話・7話・8話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
沙紀と宗一郎の復讐の舞台は、マンションの住民が一同に会する「総会」でした。二人は用意周到な計画で、尚弥と円佳を理事会の役員に立候補させ、公の場へと引きずり出します。そして総会の場で、二人の不倫の証拠、尚弥のモラハラ音声、円佳の誘拐未遂事件の証拠などを次々と暴露。住民の前で全ての罪を暴かれた不倫カップルは社会的信用を失い、完全に崩壊します。沙紀は尚弥と離婚し、慰謝料と新たな職を得て娘との新生活を開始。物語は、数年後、円佳の娘である梨佳が、母の過去と向き合いながら「不幸の連鎖」を断ち切ろうと誓う、次世代の物語を暗示して幕を閉じます。



【感想】 このクライマックスは、まさに圧巻の一言でした。沙紀と宗一郎が連携し、知的かつ合法的に不倫カップルを社会的に抹殺していく様は、最高のカタルシスを感じさせてくれます。特に、沙紀が二人に対して「あなたたちは0点です」と、彼らが使ってきた評価の言葉で断罪するシーンは名場面です。そして物語は、単なる復讐の成功譚で終わらず、その子供である梨佳の視点へと繋がっていきます。親の罪が子にどう影響するのかという、より重く深いテーマを提示する結末は見事でした。
【60点の夫婦でいいのに】9話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
物語の舞台は十数年後へと移り、主人公は円佳の娘・梨佳となります。27歳になった梨佳は、母が親友の家庭を壊したという罪悪感と、過去に「不倫女の娘」といじめられたトラウマから、幸せな家庭を築くことに恐怖心を抱いていました。そんな彼女を支える恋人・瑛次の存在がありながらも、梨佳の心は常に不安定です。そしてある日、瑛次のスマートフォンに、親友・陽菜からの親密なメッセージを見つけてしまいます。かつて母が引き起こしたのと同じ構図の悪夢が、今度は自分に降りかかるのではないかという恐怖に、梨佳は苛まれるのでした。

【感想】 主人公を次世代の梨佳へと交代させるという、非常に大胆な構成に驚かされました。物語のテーマは「不倫への復讐」から、「トラウマの克服」と「不幸の連鎖」という、より内面的な心理ドラマへと深化しています。梨佳が抱える心の傷は非常に根深く、読者は彼女の視点を通して、親の過ちが子供の人生にどれほど重い影を落とすかを痛感させられます。親友と恋人の関係を疑ってしまうラストは、彼女の苦しみを象 徴しており、この新たな主人公が幸せを掴むことができるのか、目が離せない展開です。