復讐モノ

【60点の夫婦でいいのに】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【60点の夫婦でいいのに】第9話をネタバレありで解説する

これまでの物語から数年の時が経ち、『60点の夫婦でいいのに』は新たな章へと入ります。第9話からは、主人公が沙紀から、かつての不倫の主犯であった円佳の娘・**梨佳(りか)**へとバトンタッチします 。母が犯した罪の記憶と、それがもたらした心の傷を抱えながら、彼女は自らの幸せを模索します。しかし、その道には、過去のトラウマというあまりにも重い影が付きまとっているのでした。

母の罪を背負う娘・梨佳の葛藤

物語は、27歳になりフリーランスとして働く梨佳の日常から始まります 。彼女は、沙紀の娘である陽菜と、今もなお親友として仲の良い関係を続けていました 。しかし、梨佳の心は晴れません。なぜなら、「陽菜の家庭を壊したのは 私のお母さんなのに――」という、消えることのない罪悪感を抱え続けているからです

梨佳の過去は、母親の不倫によって「不倫女の娘」と罵られ、いじめ抜かれた辛い記憶に満ちています 。その経験から、彼女は「ずっと家族を持たない」と固く心に決めていました

そんな梨佳に、3年前、一人の男性が現れます 。彼の名前は宮辺瑛次(みやべ えいじ)、32歳の出版社勤務の男性です 。彼は梨佳の辛い過去をすべて理解した上で、「不倫したのは梨佳じゃないんだから」と優しく包み込みます 。彼と一緒にいる時だけ、梨佳はありのままの自分でいられると感じていました

幸せへの恐怖と新たな「不倫」の影

瑛次の支えもあり、梨佳は少しずつ前を向いていました。しかし、親友・陽菜の新居を訪れた際、彼女の心は再びかき乱されます。医師と結婚し、幸せな家庭を築いている陽菜の姿を見て、梨佳は自分の境遇と比べてしまい、言いようのない劣等感に苛まれるのです

その夜、梨佳は瑛次からの愛情を受け入れきれず、一線を越えることを拒絶してしまいます 。子どもは作らないと二人で決めたにもかかわらず 、母親のように誰かを傷つけ、不幸にしてしまうことへの恐怖が、彼女から素直に行動する勇気を奪ってしまうのでした

そして、梨佳が目を覚ますと、そこには瑛次が若い女性のライブ配信を観ている姿がありました 。瑛次は仕事で担当する書籍の著者だと説明しますが 、一度生まれた疑念と嫉妬は、梨佳の心を蝕んでいきます

親友からのメッセージ、繰り返される悪夢

梨佳の不安が頂点に達したのは、翌朝のことでした。彼女は、瑛次のスマートフォンに、親友であるはずの陽菜から届いた「瑛次おはよう!」という親密なメッセージを目にしてしまいます

母親が、親友の父親を奪った。そして今、自分は、親友と恋人の関係を疑っている。梨佳は、かつて母親が引き起こしたのと同じ構図の悪夢が、今度は自分を被害者として襲い掛かってきているかのような恐怖に襲われます。母親の罪から逃れようともがきながら、結局は同じ「不倫」という呪縛に囚われてしまうのか。梨佳の「どうして…」という悲痛な心の叫びで、この章は幕を閉じます

まとめ【60点の夫婦でいいのに】9話を読んだ感想

第9話は、主人公が次世代の梨佳へと移り、物語が新たなステージに突入したことを明確に示す、非常に意欲的な回でした。これまでの勧善懲悪的な復讐劇から一転し、過去のトラウマが人の心にどれほど深い影響を与え続けるかを描く、繊細な心理ドラマへと変化したことに驚かされました。

梨佳が抱える葛藤は、読んでいて非常に胸が痛みます。彼女は母親の罪の被害者であり、そのせいで自己肯定感が低く、すぐそばにある幸せさえ素直に受け取ることができません。彼女が幸せそうな陽菜を見て劣等感を抱いたり、心から信頼する恋人・瑛次を疑ってしまったりする姿は、トラウマの根深さをリアルに描き出しています。

特に秀逸なのは、物語の構造です。かつて、梨佳の母・円佳は「加害者」として親友の家庭を壊しました。そして今、梨佳は自分が「被害者」になるのではないかという恐怖に怯えています。同じ「不倫」というテーマを、世代と立場を変えて描くことで、「不幸の連鎖」というこの作品の核心が、より多角的で重層的に浮かび上がってきました。

親友からのメッセージは、本当に裏切りを意味するのか、それとも梨佳の心の傷が見せている幻なのか。読者の心を巧みに揺さぶり、次への展開を期待させる見事な引きだったと思います。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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