【あなたが私を手に入れたいのなら】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【あなたが私を手に入れたいのなら】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

前回、父との対立やセイオッドとの再会を経て、自らの意志で行動することを決意したキーサ。今回は、彼女の父の書斎を舞台に、物語が大きく動く緊迫の心理戦と、キーサの鮮やかな反逆劇が描かれます。

図書館の青年、公爵として現る

父に呼び出され、書斎のドアを開けたキーサは、そこにいた人物を見て息をのみます。父と対面していたのは、図書館で出会った心優しき青年、セイオッドでした。

はじめまして、バンスフェルト伯爵令嬢」 「セイオッド・ヒーランと申します

彼の丁寧な自己紹介によって、キーサは全ての点を線で結びます。図書館で出会った青年こそが、社交界の噂の中心であった「双子の弟」、新しいヒーラン公爵その人だったのです。キーサは、あれほど亡き兄と似ているのになぜ今まで気づかなかったのかと、自分の迂闊さを恥じます。しかし同時に、兄とは違う彼の柔らかな物腰に、かすかな違和感を覚えていました。

父の書斎で繰り広げられる心理戦

セイオッドの巧妙な一手

キーサを交えた三者の面談は、張り詰めた空気の中で始まります。セイオッドは、「こんな自慢の娘がいるのですから」とキーサを褒め称え、彼女の父である伯爵を持ち上げますが、その言葉は明らかに計算されたものでした。

そして彼は、伯爵にとって最も不意打ちとなる一撃を放ちます。キーサに向き直ると、彼はこう尋ねました。

それで、僕の求婚については考えてくださいましたか?

「キーサ嬢の意思を聞きに」

キーサが衝撃で固まる中、父は冷たく「失礼ですが、求婚されたことを娘には知らせていません」と答えます。セイオッドは心底がっかりしたふりをしながら、「ひどいですね、求婚書まで送ったのに」と伯爵の非礼を暗に責めました。伯爵が「最初から問題のある求婚書でした」と手続きの不備を指摘すると、セイオッドは「なるほど、それなら今話を進めればいいですね!」と、見事にその言葉を逆手に取ります。

そして彼は、伯爵を無視してキーサに向き直ると、情熱的に宣言しました。「数日前にオペラハウスであなたを見た瞬間、一目ぼれしました。僕と婚姻してくれますか?」。さらに彼は、伯爵が切り札とするダニエルとの婚約についても、「婚約なんか破棄すればいい話では?」と一蹴します。そして、最も重要な言葉を口にしました。

キーサ嬢の意思を聞きに来ただけです

その言葉は、キーサの心を強く打ちました。

「今まで生きてきて、誰かが私の意思を聞いてくれたことなんてあっただろうか?」

キーサ、初めての反逆

「求婚を、受け入れます」

セイオッドが作った絶好の機会。それは、ダニエルとの婚約を破棄し、父の支配から逃れるための、奇跡のようなチャンスでした。父が「婚姻は家門同士が」と反論しようとした瞬間、キーサは彼の言葉を遮り、はっきりと、そして力強く宣言します。

求婚を、受け入れます

「一目ぼれしたので」という切り札

彼女は、父に向かって満面の笑みでこう言い放ちました。「ついさっき、一目ぼれしたので」。それは、セイオッドが作った嘘の筋書きを完璧に利用した、彼女の人生で初めての、鮮やかな反逆の狼煙でした。

過去との決別、そして未来への対峙

父に交渉を任せて部屋の外で待つキーサの元に、今更になってダニエルからの贈り物が届きます。そこに添えられた手紙は、「まだすねてるなんてことはないよね?」などと、彼女の心を逆撫でする言葉ばかりでした。しかし、今のキーサはもう彼の言葉に傷つきません。「…これは捨てておいて」「私の好みじゃないわ」と冷たく命じ、彼との過去に完全な決別を告げます。

その時、執事が「ヒーラン公爵がお帰りになる前に少しだけ話したいそうで」と、セイオッドからの伝言を伝えに来ました。キーサは覚悟を決めます。「本当の彼と向き合う時間よ」。彼女は、自らの運命を賭けた「共犯者」と向き合うため、庭園へと向かうのでした。

まとめ【あなたが私を手に入れたいのなら】第9話を読んだ感想(ネタバレあり)

第9話は、息をのむような心理戦と、キーサの鮮やかな反撃が描かれた、まさに神回と呼ぶにふさわしい内容でした。セイオッドの正体がヒーラン公爵であったという驚きもさることながら、彼の計算され尽くした行動には舌を巻きます。彼はただ優しいだけでなく、貴族社会のルールを逆手に取り、キーサに「選択の自由」という最大の武器を与えました。

そして、そのチャンスを完璧にものにしたキーサの成長には、胸が熱くなりました。「ついさっき、一目ぼれしたので」というセリフは、単なる嘘ではありません。それは、父の論理的な反論を封じ、社交界の常識である「恋愛結婚」を盾にした、最高のカウンターでした。彼女が初めて自分の頭で考え、自分の言葉で戦った瞬間であり、物語の大きなカタルシスを感じました。

ダニエルからの贈り物と手紙を冷たくあしらうシーンも、彼女の成長を象徴しています。もはや彼女は、誰かに気に入られるためだけの存在ではないのです。最後に、本当の共犯者となったセイオッドと二人きりで向き合うことを決意した彼女。これから始まる二人の「契約」が、このがんじがらめの世界にどんな波乱を巻き起こすのか、次回が待ちきれません。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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