悪役令嬢

【ある継母のメルヘン】19話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 謎の少年は、シュリーを襲った兄ルーカスを追い払い、シュリーの独特な言葉遣いに興味を示した
  • そこへジェレミーが現れ、謎の少年が武器商で因縁のあった相手だと気づき、一触即発の状態になった
  • 少年は自分を探す騎士団から逃れるため、その場を嵐のように去っていった
  • その夜、シュリーは少年のことを「小さな勇士」と呼び感謝する一方、彼に奇妙な「既視感」を覚えていた

【ある継母のメルヘン】第19話をネタバレありでわかりやすく解説する

ついに迎えた、亡き夫ヨハンのための「追悼招宴」当日。シュリーが当主として主催するこの一大イベントは、ノイヴァンシュタイン家の未来を占う重要な試金石となります。華やかな宴の裏で、シュリーは未来を知る者として、ある重要な人物との初対面を果たし、そして、生前の夫から託された重大な約束を思い出すのでした。

宴の朝、子供たちの準備と微笑ましいドタバタ

追悼招宴の当日の朝、ノイヴァンシュタイン家の屋敷は準備のために朝から大忙し。侍女長グウェンが双子の支度を終え、シュリーの元へ駆けつけますが、そのシュリー自身の準備はまだ手付かずの状態でした。

「着飾るとやっぱり可愛いわね」 新調した服で庭を走り回る双子の姿に、シュリーは目を細めます。そこへ、同じく正装に身を包んだジェレミーとエリアスが現れました。しかし、ジェレミーの腰には、場にそぐわない儀礼剣が差されています。

「皇室の方々もいらっしゃるのよ?」 シュリーが驚いて注意すると、ジェレミーは「まだ正式な騎士ではないからいいと思った」と、少し不満げな顔で渋々剣を外します。その姿は、まだ背伸びをしたい年頃の少年のようで、どこか微笑ましいものでした。子供たち全員の身支度をチェックし、「今日はお行儀よく過ごすのよ」とお願いするシュリーは、すっかり母親の顔つきです。

未来の嫁、オハラ・フォン・ハインリッヒとの初対面

夜になり、準備が整った屋敷に次々と招待客が訪れ始めます。その中に、有力貴族であるハインリッヒ公爵とその娘の姿がありました。 ハインリッヒ公爵は、恭しく挨拶をすると、傍らに立つ娘をシュリーに紹介します。

「娘のオハラと申します」 愛くるしい顔で、完璧な淑女の礼をする12歳の少女。彼女こそ、1度目の人生でジェレミーの結婚相手となった、オハラ・フォン・ハインリッヒその人でした。 (この子が、あの子の…) 未来を知るシュリーは、子供時代のオハラとの初めての対面に、運命の不思議さを感じずにはいられませんでした。

回想:生前の夫ヨハンが語った政略結婚

オハラとの出会いは、シュリーの脳裏に、生前の夫ヨハンとのある会話を鮮やかに蘇らせました。 病床のヨハンは、まだ子供だったジェレミーの将来を案じ、シュリーに一つの願いを託していました。それは、ジェレミーの結婚相手として、ハインリッヒ公爵の娘(オハラ)を考えているという、政略結婚の話でした。

ヨハンは、この結婚が双方にとってなぜ有益なのかを、シュリーに丁寧に説きます。 ハインリッヒ家は、当主の妻であるクラウディアの実家の商業的な成功によって莫大な富を築いたものの、その出自を貴族社会の一部から軽んじられていました。そのため、帝国で最も高貴な血筋の一つであるノイヴァンシュタイン家との縁組は、彼らの立場を盤石にする上でこの上ない魅力があったのです。

「これが、公爵夫人として生きる道だ」 ヨハンは、ただ家の内側を守るだけでなく、貴族社会の**「力の流れ」**を読み、家の利益のために婚姻さえも利用する、貴族としての生き方をシュリーに教えようとしていたのでした。

「母の気転に任せる」シュリーに託された息子の未来

当時のシュリーは、まだ貴族社会の複雑さを完全には理解できていませんでした。「もし、ジェレミーがその結婚を拒んだら?」という彼女の素朴な問いに、ヨハンは静かに答えます。 「私が生きているうちに、ジェレミーを説得しよう」

その言葉は、彼自身に残された時間が少ないことを示唆していました。そして、ヨハンはシュリーの瞳を真っ直ぐに見つめ、最後の約束を交わしたのです。 「もし、私が間に合わなかった場合は…母親である、そなたの気転に任せる」

それは、ジェレミーの未来と、家の未来の全てを、妻であり後継者であるシュリーに託すという、ヨハンからの最大の信頼の言葉でした。1度目の人生では、この約束が彼女を縛り付ける重荷の一つとなったのかもしれません。しかし、今の彼女には、未来の記憶と、育ち始めた家族の絆があります。目の前に立つ、まだ幼いオハラを見つめながら、シュリーは夫から託された重大な使命に、新たな決意で向き合うのでした。


【ある継母のメルヘン】第19話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、追悼招宴という華やかな舞台の裏で、シュリーが向き合わなければならない過去の約束と、未来への課題が描かれる、物語の深みを感じさせる回でした。

宴の朝の子供たちのドタバタ劇は、本当に微笑ましかったですね!特に、ジェレミーが背伸びして剣を差してきて、シュリーにやんわりと注意されるシーンは、彼の騎士への純粋な憧れと、まだまだ子供っぽい一面が見えて、思わず顔がほころんでしまいました。

そして、未来のジェレミーのお嫁さん、オハラちゃんの登場!12歳とは思えない完璧な挨拶をする姿に、彼女が将来、聡明で気品のある女性になることが窺えます。1度目の人生では、シュリーとオハラの関係がどのようなものだったかは描かれていませんが、2度目の人生では、良い姑と嫁の関係を築いていってほしいものです。

ヨハンとシュリーの回想シーンは、切なくも非常に重要でした。彼がシュリーをただ若く美しい妻としてだけでなく、家の未来を共に背負うパートナーとして、そして子供たちの「母」として、深く信頼していたことが伝わってきて、胸が熱くなりました。「母の気転に任せる」という言葉は、彼からの最大の愛の言葉だったのかもしれませんね。1度目の人生では重荷だったかもしれないこの約束を、今のシュリーならきっと、ジェレミーの幸せと家の繁栄を両立させる最善の形で果たしてくれると信じています。

【ある継母のメルヘン】第19話のネタバレまとめ

  • ついに亡き夫ヨハンの「追悼招宴」当日を迎え、シュリーと子供たちは正装で客人を迎える準備をした
  • 宴の席で、シュリーはハインリッヒ公爵の娘であり、未来でジェレミーの結婚相手となる12歳の少女オハラと初めて対面した
  • シュリーは、生前の夫ヨハンが、ジェレミーとオハラとの政略結婚を望んでいたことを思い出す
  • ヨハンは、もし自分がジェレミーを説得できなかった場合、その役目を「母親」であるシュリーに託す、と約束していたのだった

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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