悪役令嬢

【ある継母のメルヘン】26話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 波乱万丈だった追悼招宴は無事に終わり、シュリーは「過去の運命への挑戦」の始まりだと決意を新たにした
  • 社交界の重鎮であるバイエルン夫人は、シュリーの意志の強さを称賛し、今後の支援を約束した
  • シュリーの評判は他の有力貴族にも好意的に広まり、彼女への注目度が高まっていた
  • しかし、宴が終わった直後、長男ジェレミーがはしかで倒れ、次男エリアスは兄が倒れたのは自分のせいだと深く落ち込んでいた

【ある継母のメルヘン】第26話をネタバレありでわかりやすく解説する

兄ジェレミーがはしかで倒れ、「自分のせいだ」と罪悪感に苛まれる次男エリアス。彼の心の闇に、一人の騎士が温かい光を灯します。一方、高熱にうなされるジェレミーもまた、これまで隠してきた素直な気持ちを母シュリーに告白するのでした。家族の絆が、試練の中でさらに深く、強く結ばれていきます。

罪悪感に沈むエリアス、騎士が差し伸べた手

兄ジェレミーがはしかで倒れたのは、追悼招宴の夜、自分が彼を寒いバルコニーに閉じ込めてしまったからだ――。エリアスは一人、そんな罪悪感に苛まれていました。 「ほっといてくれ!」 心配して声をかけてきた騎士エヴァレットに、エリアスは思わず突っぱねてしまいます。しかし、エヴァレットは彼の深い落ち込みを見抜き、静かに散歩へと誘いました。

「俺も愚か者だった」エヴァレットが語る過去

歩きながら、エリアスはぽつりぽつりと、自分の後悔を打ち明け始めます。ジェレミーのことだけでなく、過去の自分の過ち…実の母親が病気の時にわがままを言ったこと、シュリーに初めて会った日に石を投げて怪我をさせてしまったこと。 「自分の行動が、迷惑をかけてばかりだ…」 うつむくエリアスに、エヴァレットは優しく、そして少し楽しそうに、自らの過去を語り始めました。

「何を隠そう、私も小さい頃は家の中でつまはじき者でしてな」 彼は、かつて自分も勝利と力だけを追い求める**「愚か者」**で、力任せに貴重な武器を壊したり、仲間に怪我をさせたりと、周りに迷惑ばかりかけていたと告白します。 「今のエリアス殿下とそっくりですな」 そう言って笑うエヴァレットの言葉には、エリアスを責める響きは一切ありませんでした。

騎士の言葉に誓う、エリアスの「変わる」決意

「でも、今は皆エヴァレットのことが好きじゃないか」 エリアスがそう反論すると、エヴァレットは真剣な眼差しで答えます。「それは、後になって努力した結果です」と。 自分の過ちを自覚し、周りに気を配り始めてから、少しずつ「嫌われ者の自分」は消えていったのだ、と。そして、エヴァレットはエリアスを力強く励ましました。

「殿下も、今回の事で自分を変える必要性を感じたのなら、変わらねばなりません。始めは上手くできなくとも、慣れてしまえば当たり前のことになりますから」

その言葉は、エリアスの心に深く突き刺さります。屋敷に戻った彼は、双子との喧嘩もやめ、「ジェレミー兄上が完全に治るまで、大人しくしておく」と、自らの意志で固く約束するのでした。

「本気じゃなかった」高熱にうなされ、ジェレミーが明かした本心

一方、病室では、ジェレミーが高熱と咳で苦しんでいました。シュリーが懸命に看病する中、朦朧とする意識の中で、ジェレミーはこれまでずっと胸の内に隠してきた、素直な気持ちを告白し始めます。

父が死ぬ直前、最後に部屋に呼んだのが自分ではなく、シュリーだったこと。父の一番大切な人が、彼女になってしまったように思えて、嫉妬し、恨んだこと。 しかし、ジェレミーは途切れ途切れの声で、こう続けたのです。 「…でも、本気じゃなかったんだ…」

その痛切な告白を、シュリーはただ黙って、優しく受け止めます。 「ええ、分かっているわ。たとえあなたの怒りが本気だったとしても、私たちが少しの間、互いに別の方向を見ていただけ。もう大丈夫よ」 その温かい言葉に安心したのか、ジェレミーの表情がふっと和らぎます。

「…母上、すごく眠いです」 「目が覚めるまで、そばにいてください…」 そう言って、子供のように甘えながら、ジェレミーは深い眠りへと落ちていきました。その寝顔を見守るシュリーの表情は、慈愛に満ちた、本当の母親そのものでした。


【ある継母のメルヘン】第26話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、エリアスとジェレミー、二人の息子の内面が深く、そして温かく描かれる、涙なしには読めない感動的な回でした。

これまでただの悪ガキにしか見えなかったエリアスが、自分の過去の行いを後悔できる、こんなにも繊細な心を持っていたことに、まず胸を打たれました。そんな彼の心を、ただ叱るのではなく、自らの過去を重ね合わせて優しく導いた騎士エヴァレットが、本当にかっこよかったです。ただのイケメン騎士ではなかった…!彼の言葉には重みがあり、エリアスだけでなく、読んでいるこちらの心にも深く響きました。

そして、ジェレミーの告白。ずっとツンツンしていた彼が、弱っている時に見せた素直な気持ちには、涙腺が緩みっぱなしでした。父を奪われたような嫉妬と、それでもシュリーを本気では憎めなかったという本心。彼の複雑な心情が痛いほど伝わってきて、本当に切なかったです。「そばにいて」と甘える姿は、彼がまだ14歳の子供なのだと改めて感じさせ、愛おしくてたまりませんでした。

そんなジェレミーを優しく包み込むシュリーの姿は、まさに聖母。彼女はもう、戸惑いながら母親役を演じる継母ではなく、本当の意味で彼らの「母親」になったのだと確信しました。試練の中で、家族の絆がどんどん強く、そして本物になっていく様子に、心がじんわりと温かくなる、素晴らしい一話でした。

【ある継母のメルヘン】第26話のネタバレまとめ

  • 兄ジェレミーがはしかで倒れたことを自分のせいだと責めていたエリアスは、騎士エヴァレットに悩みを打ち明けた
  • エヴァレットは自らのやんちゃだった過去を語り、「変わろうと思えば変われる」とエリアスを力強く励ました
  • その言葉に心を動かされたエリアスは、兄が治るまで大人しくしていることを誓い、精神的な成長を見せる
  • 一方、高熱にうなされるジェレミーは、これまでシュリーを恨んでいたが「本気じゃなかった」と素直な気持ちを告白し、母として彼女に甘えながら眠りについた

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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