【ある継母のメルヘン】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 悪名高い継母シュリーは、長男ジェレミーの結婚を機に全ての責務から解放され、屋敷を去ることを決意した
- 新しい人生への希望を胸に別荘へ向かうが、その道中で馬車が山賊に襲われる不慮の事故に遭ってしまう
- 目を覚ましたシュリーは、7年前の夫ヨハンの葬儀の日、心も体もまだ16歳の少女だった頃に戻っていたことに気づき愕然とする
【ある継母のメルヘン】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する
最も辛く悲しい始まりの日に戻ってしまったシュリー。未来の記憶を持ったまま、彼女は2度目となる夫の葬儀に臨みます。以前の人生で犯した過ちを繰り返さないと誓う彼女の前に、早速最初の変化が訪れるのでした。
2度目の葬儀と冷たい視線
葬儀の身支度を整え、果てしなく続くように感じる廊下を歩くシュリー。彼女の脳裏には、1度目の葬儀で向けられた冷たい視線や、悪意に満ちた囁き声が蘇ります。
(全く同じじゃない…)
夫の死を悲しむ暇もなく、周りからの敵意に晒される状況。過去に戻った意味を見出せず、シュリーは思わずため息をつきました。案の定、周囲の親戚たち、特にノイヴァンシュタイン家の財産を狙う傍系家族は、シュリーを値踏みするように見ています。
「あの小娘が…」「兄上をたぶらかしたに違いない」「恐ろしい女だ」
聞こえてくる声は、7年前に聞いたものと寸分違わず、シュリーの心を苛みます。
霊柩の前では、次男のエリアスと双子のレイチェル、レオンが大声で泣きじゃくっていました。その一方で、当時14歳だった長男のジェレミーは、涙一つ見せず、ただ静かに父の死を受け止めています。親戚たちはそんな彼を見て「落ち着き払っている」と囁きますが、未来を知るシュリーには分かっていました。
(違う…今、一番辛いのはジェレミーのはず)
誰よりも父を敬愛していた長男の悲しみ。1度目の人生では、自分のことで精一杯だったシュリーは、彼の心の叫びに気づいてあげることができませんでした。
叔父へ向けた毅然たる反論
シュリーが過去の後悔を噛み締めていると、一人の男が声をかけてきました。亡き夫ヨハンの弟、ミュラー・フォン・ノイヴァンシュタイン伯爵です。彼はあからさまな皮肉を込めて言いました。
「金の卵を産むニワトリを全て手に入れた気分はどうですかな? これから弱音を吐かれては困りますよ、侯爵夫人」
1度目の人生で、この言葉に何も言い返せず、ただ俯くことしかできなかったシュリー。しかし、今の彼女は違いました。
「お話はそれだけでしょうか?」
シュリーは冷たく言い放ちます。驚くミュラー伯爵をまっすぐに見据え、彼女は続けました。
「そのようなお話をするために葬儀にいらしたのでしたら、今すぐお帰りいただいて構いませんわ。無駄話にお付き合いするほど暇ではございませんので」
呆気に取られるミュラー伯爵を一瞥し、シュリーは背を向けます。これは、彼女が過去の自分と決別し、運命に立ち向かうことを決意した、最初の力強い一歩でした。
涙の告白、夫との最後の別れ
毅然と振る舞いながらも、シュリーの心は悲しみに満ちていました。彼女は教主のもとへ進み、一つの願いを口にします。
「夫が埋葬される前に、どうか二人きりで…最後の挨拶をさせてはいただけないでしょうか」
前代未聞の申し出に親戚たちがざわめく中、教主はシュリーの真剣な眼差しに押され、願いを許可します。人々が席を外していく中、ジェレミーだけが厳しい視線でシュリーを見つめていました。
ついに夫ヨハンと二人きりになったシュリーは、冷たくなった彼の亡骸にそっと寄り添います。「久しぶりね、ヨハン」と声をかけると、はっきりとした指先の感触が、これが夢ではないことを突きつけました。
「あなたの子供たち、みんな大きくなったのよ」
「あなたの最後の約束…私も守ったわ」
「でもね…あの子たち、本当に冷たかったの…」
堰を切ったように、1度目の人生で誰にも言えなかった苦しみや寂しさが溢れ出します。報われなかった努力、すれ違い続けた心。残酷な運命を嘆きながらも、シュリーは、全てが夫のせいではなく、周りを見ようとしなかった自分自身にも原因があったと理解していました。彼女は涙ながらに、1度目の人生では伝えられなかった最後のお別れの言葉を、愛する夫に告げたのです。
ジェレミーのハンカチ、最初の変化
涙に暮れるシュリーがふと振り返ると、そこにジェレミーが立っていました。いつからそこにいたのか、二人の間に気まずい沈黙が流れます。
シュリーが慌てて袖で涙を拭おうとすると、ジェレミーは無言で彼女の前に白いハンカチを差し出しました。
「…したことのない格好は気品を損ないます」
ぶっきらぼうな口調でしたが、それは紛れもなく、シュリーを気遣う行動でした。
(まさか…ジェレミーが私にハンカチを?)
1度目の人生では、父の死を悲しむばかりで、シュリーに見向きもしなかったジェレミー。この小さな、しかし決定的な変化は、シュリーにとって大きな衝撃であり、暗闇の中に差し込んだ一筋の光のようでした。
第2回戦開幕!後悔しない人生への誓い
葬儀が終わり、自室に戻ったシュリーは冷静に状況を整理します。
ミュラー伯爵への反論、ヨハンとの最後の挨拶、そしてジェレミーのハンカチ。確かに、現実は1度目の人生とは少しずつ変わり始めています。
(過去に巻き戻ったのは…以前とは別の選択をしなさいという神様の意思?)
1度目の人生で、彼女はノイヴァンシュタイン家を守るため、膨大な仕事に忙殺される毎日でした。しかし、9年分の知識と経験を持つ今の彼女なら、お茶を飲みながらだってこなせるはず。これは絶望ではなく、大きなチャンスなのです。
(本当は行きたかったんだもの…ジェレミーの結婚式)
過去の後悔を未来の希望に変えて、シュリーの瞳に強い光が宿ります。こうして、未来の記憶を持つ16歳の継母の、後悔しない人生を掴み取るための**「第2回戦」**が、静かに幕を開けたのでした。
【ある継母のメルヘン】第4話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、シュリーの強さと覚悟が光る回でしたね!ただ過去に戻って嘆くだけでなく、すぐに状況を分析し、未来を変えるために行動を起こす姿には、読んでいて胸がすくような思いでした。特にミュラー伯爵に言い返すシーンは「よく言った!」と拍手を送りたくなりました。
そして何と言っても、ジェレミーのハンカチのシーンです。たったこれだけの行動ですが、意味はとてつもなく大きいですよね。彼の中にも、継母であるシュリーに対する複雑な感情や、父を亡くした悲しみを共有する者としての、ほんの少しの情があったのかもしれない…そう思うと、今後の二人の関係に大きな希望が持てます。彼の不器用な優しさが、今後の物語の鍵になっていくことは間違いないでしょう。
16歳の少女にはあまりにも重すぎる運命ですが、彼女はもう無力な少女ではありません。9年分の知識と経験という最強の武器を手にしたシュリーの「第2回戦」が、これからどう展開していくのか。まずは手始めに、厄介な親戚たちをどう黙らせるのか、そして子供たちとの距離をどう縮めていくのか、次回が待ちきれません!
【ある継母のメルヘン】第4話のネタバレまとめ
- 2度目の葬儀に臨んだシュリーは、未来の記憶を元に、以前とは違う行動を取ることを決意する
- 嫌味を言ってきた叔父のミュラー伯爵に対し、毅然とした態度で言い返し、周囲を驚かせる
- 1度目の人生ではできなかった、夫ヨハンの亡骸と二人きりでの最後の別れを果たし、本心を伝える
- 泣いているシュリーを見た長男ジェレミーが、無言でハンカチを差し出すという、過去にはなかった変化が起こる
- シュリーは過去に戻ったことをチャンスと捉え、未来の記憶を武器に後悔のない人生を送ることを誓う
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