悪役令嬢

【ある継母のメルヘン】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 7年前に戻ったシュリーは、2度目となる夫の葬儀で、以前とは違う毅然とした態度を見せる
  • 嫌味を言ってきた叔父ミュラー伯爵を冷静に一蹴し、周囲を驚かせた
  • 1度目の人生ではできなかった、夫ヨハンとの最後の別れを涙ながらに果たした
  • 長男ジェレミーがハンカチを渡すという小さな変化に、未来への希望を見出す
  • シュリーは未来の記憶を武器に、後悔のない人生を歩むための「第2回戦」の開幕を固く誓った

【ある継母のメルヘン】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する

未来の記憶を手に、新たな人生を歩み始めたシュリー。彼女の「第2回戦」は、ノイヴァンシュタイン家の莫大な財産と権力を狙う、亡き夫の兄妹たちとの対決から幕を開けます。1度目の人生で味わった屈辱を胸に、シュリーの華麗なる逆襲が始まろうとしていました。

回想:善意にすがるしかなかった過去

シュリーの脳裏に、1度目の人生で経験した苦い記憶が蘇ります。それは、夫ヨハンの死後すぐに開かれた**「聴聞会」**での出来事でした。

ノイヴァンシュタイン家は、領地にある金鉱だけでも桁違いの収益を誇り、皇室とも深い繋がりを持つ帝国屈指の大貴族です。その全ての権限を、まだ16歳の、しかも平民に近い小子爵家出身のシュリーに任せることに対し、親戚たちが猛反対したのです。

聴聞会は、事実上、シュリーから当主の権限を剥奪するために開かれたものでした。当時の彼女は、ただ黙って座っていることしかできず、絶体絶命の状況に追い込まれます。

その窮地を救ったのは、皇帝マクシミリアンと、亡き夫の長年の親友であったニュルンベル公爵でした。彼らはヨハンの遺言の正当性を主張し、聴聞会を終わらせてくれたのです。しかし、帰り道の馬車の中で、シュリーは自分の無力さに腹を立てていました。

(この先ずっと、誰かの善意に頼って生きていかなければならないの…?)

この時の悔しさが、2度目の人生を歩むシュリーの原動力の一つとなっていたのです。

現在:親族たちを圧倒する堂々たる威厳

現在のシュリーは、もはや過去の「怯える子ウサギ」ではありませんでした。

葬儀後の親族会議。亡き夫の兄妹であるミュラー伯爵、ヴァレンティノ、そしてルクレツィアは、和やかな思い出話を装いながら、シュリーの出方を探っています。

そんな腹の探り合いを、シュリーは冷たい一言で断ち切りました。

「思い出話はそのくらいになさいませ」

シュリーの真顔と、有無を言わさぬその場の空気を支配する威厳に、兄妹たちは思わず息を呑みます。その姿は、以前の彼女とはまるで別人でした。

痺れを切らしたミュラー伯爵が、本題を切り出します。

「本日お集まりいただいたのは、他でもなく…この家門の未来を心配してのことです」

シュリーは若く、子供たちもまだ幼い。傍系である自分たちが協力しなければ、貴族社会で認められるはずがない。一見、もっともらしい言葉を並べますが、その目には隠しきれない野心が渦巻いていました。

操り人形か、協力者か…シュリーの計算

ミュラー伯爵の言う「協力」の本当の意味を、シュリーは痛いほど理解していました。1度目の人生で、彼らはシュリーを信じさせた後、裏切って聴聞会へと引きずり出したのです。

彼らの本音は、シュリーを操り人形にして、ノイヴァンシュタイン家のおこぼれに預かろうという魂胆に他なりません。

しかし、シュリーは感情的になることなく、冷静に頭の中で計算を巡らせます。

(彼らにとっても、議会から選ばれた全くの他人に経営を口出しされるより、私を操る方が都合が良いはず…)

聴聞会を乗り切るには、敵であっても味方として利用する必要がある。シュリーは、彼らの提案を逆手に取ることを考えます。そんな思考の最中、ふと疑問が浮かびました。

(そういえば…1度目の時、皇帝陛下はなぜ私を…?)

皇帝が自分を助けてくれた明確な理由が分からない。その小さな疑問が、シュリーの心に引っかかります。

妹ルクレツィアの「ささやかなお願い」とは

考え込んで黙ってしまったシュリーに、ミュラー伯爵が声をかけます。シュリーはハッと我に返り、切り返しました。

「具体的に、どのようにご協力いただけるというのですか?」

ミュラー伯爵は待ってましたとばかりに、複雑な運営問題を自分たちが分担することを提案します。事実上の権限の委譲を求める、厚かましい要求です。

しかし、シュリーは即答しませんでした。

「…考えるとしますわ」

その答えは、提案を受け入れるかのように見せながら、決して主導権を渡さないという強い意志の表れでした。

すると、それまで黙っていた妹のルクレツィアが、ニコリと甘い笑顔を浮かべて口を開きます。

「もし、お義姉様がわたくしたちの提案を受け入れてくださるのなら…もう一つ、ささやかなお願いがあるのですけれど」

その言葉は、これから始まる厄介事の序章を告げる鐘の音のように、部屋に響き渡るのでした。彼女の言う「ささやかなお願い」とは、一体何なのでしょうか。


【ある継母のメルヘン】第5話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回のシュリー、かっこよすぎませんか!?1度目の人生の無力な姿からの変貌ぶりが凄まじくて、読んでいて鳥肌が立ちました。「怯える子ウサギ」が、今や百戦錬磨の侯爵夫人の風格を漂わせています。ミュラー伯爵たちがシュリーの威圧感にたじろぐシーンは、爽快の一言でしたね。

そして、ただ感情的に反発するのではなく、冷静に彼らの下心を見抜き、逆に利用しようと考えるシュリーの戦略家としての一面には舌を巻きました。彼女はもう守られるだけの存在ではなく、自らの手で運命を切り開く力強い主人公なのだと実感させられます。

それにしても、亡き夫の兄妹たちは本当に腹黒いですね。特に最後のルクレツィアの笑顔が不気味でたまりません。「ささやかなお願い」が、絶対にささやかであるはずがない!きっと、とんでもない要求を突きつけてくるに違いありません。

シュリーがこの腹黒い親戚たちをどう手玉に取り、最初の関門を突破するのか。そして、1度目の人生で皇帝がなぜ彼女を助けたのかという新たな謎も浮上し、物語の深みが増してきました。次回の展開から目が離せません!

【ある継母のメルヘン】第5話のネタバレまとめ

  • シュリーは1度目の人生で、親戚たちに裏切られ当主権を剥奪されかけた「聴聞会」の記憶を思い出す
  • 当時の彼女は無力で、皇帝や亡き夫の親友の善意によって救われた
  • 2度目の人生の親族会議では、シュリーは堂々とした態度で夫の兄妹たちを圧倒する
  • 叔父ミュラー伯爵は「協力」を口実に、家の運営権を分担するよう要求してきた
  • シュリーは彼らの下心を見抜きつつ、利用価値があると判断し、提案を一旦保留する
  • 最後に、妹のルクレツィアが不気味な笑顔で、新たな「ささやかなお願い」を切り出す

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コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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