【うちの夫は子供がほしくない】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

ずっちー
前話のおさらい
  • ミカは、期待を寄せていた鈴木さんが実は単身赴任中の既婚者だと知り、深く幻滅しました 。
  • この出来事をきっかけに、自分が楽な方へ逃げて本当の問題から目を背けていたことに気づき、シュンと向き合うことを決意しました 。
  • ミカはシュンに基礎体温表を見せ、排卵予定日に合わせた具体的な協力を要求しました 。
  • 追い詰められたシュンは、「俺よりもまだ存在すらしない子どもの方が大事なのかよ」と、これまで隠してきた本心を叫んでしまいました 。

【うちの夫は子供がほしくない】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

「俺よりも大事なのかよ」。夫シュンの悲痛な叫びは、これまで彼が固く閉ざしていた心の扉をこじ開けるきっかけとなりました。第9話「俺よりも大事なのかよ」では、シュンが抱える深い心の傷と、彼が子供を欲しがらなかった本当の理由がついに明かされます。

夫の過去と心の傷

シュンの突然の叫びに、ミカはただ驚くばかりです 。彼は「皆結局は自分が一番大事なんだよな」と、絞り出すようにつぶやきます

そして、物語はシュンの子供時代へと遡ります。 シュンの両親は、世間体と一族の名誉を何よりも重んじる人たちでした 。シュンが友達と同じ地元の公立中学に進みたがっても、親はそれを許さず、勝手に名門私立への進学を決めてしまいます 。父親にとって、息子が「出来損ない」だと思われることは、何よりも耐え難い屈辱だったのです

母親もまた、彼の味方ではありませんでした。父親がいない間に遊びに行くため、お小遣いを渡してシュンに口止めをするような人でした 。成績が悪かった罰として父親がシュンの大切なゲーム機を捨てた時も、母親は見て見ぬふりをするだけだったのです

「どうして誰も俺を一番に考えないんだよ!!」

両親からの愛情を感じられず、自分の気持ちを一切尊重されない家庭。そこは、シュンにとって心から安らげる場所ではありませんでした

過去の記憶が、現在の悲しみと重なります。涙ながらに崩れ落ちたシュンは、これまでずっと心に溜め込んできた叫びを吐き出しました。 「どうして誰も俺を一番に考えないんだよ!!」

ミカは、その姿に衝撃を受けます。付き合って10年、こんなにも感情をむき出しにしたシュンを見るのは初めてでした 。彼にとって、ミカからの「子供を作らないなら別れる」という言葉は、かつて親から受けた「出来の良い子でなければ愛さない」という仕打ちと同じように感じられたのです 。ようやく手に入れたはずの幸せが、またしても失われようとしている。彼は、そう感じていました

親になることへの恐怖の正体

シュンは、子供を持つことへの本当の恐怖を語り始めます。それは、もし子供ができたら、自分はミカにとって「一番ではくなってしまう」という、強い不安でした

彼は、自分自身が人一倍努力してきたという自負があり、努力をしない甘えた人間を見下していることを認めます 。そして、もし自分の子供が、その自分が最も嫌いな特性を持って生まれてきたら、自分は到底受け入れられないだろう、と

頭では、親ならどんな子が生まれても受け入れるべきだとわかっている 。しかし、感情がどうしてもついていかない 。シュンは、「俺は親になれる人間じゃないんだよ」と断言し、最後に本心を明かしました。「親になるのが怖いんだ……」と

ついに明かされた本心

シュンの魂からの告白を、ミカは静かに受け止めます。これまで彼が口にしてきた「リスキーだ」とか「社会が…」といった理由は、どこか納得できないものでした 。それは、彼の心からの言葉ではなかったからです

しかし、今、彼の弱さも情けなさも全てさらけ出した言葉は、すとんとミカの胸に落ちました 。きっとこれが、彼の本当の心なのだ、と 。プライドの高いシュンがここまで自分をさらけ出すのは、どれほど大変なことだっただろうか 。ミカはただ、「話してくれてありがとう」と感謝を伝えました

遅すぎた告白と夫婦の思い出

「もっと早く言ってほしかった……」 。シュンはそう謝罪しますが、ミカの心の中には「遅すぎるよ…」という言葉が響きます

その後、シュンはミカに新しいパソコンをプレゼントしたり、週末の旅行を提案したりと、以前のような優しい夫に戻ろうとします 。彼の笑顔を見ていると、これまでの幸せな思い出がミカの脳裏によみがえります 。頑固で不器用だけど、いつもそばにいてくれた優しい人 。しかし、その思い出は、今の彼女に何を語りかけるのでしょうか。

【うちの夫は子供がほしくない】第9話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、涙なしには読めない、あまりにも切ない回でした。シュンの魂の叫びには、胸を締め付けられました。彼の子供嫌いの理由が、単なるわがままや自己中心的な考えではなく、幼少期の深刻なトラウマに根差していたことがわかり、彼を見る目が完全に変わりました。「どうして誰も俺を一番に考えないんだよ」という言葉は、ずっと愛に飢えていた小さな子供の叫びそのもので、読んでいて本当に辛かったです。

彼の告白は、親からの条件付きの愛がいかに子供の心を深く傷つけるかを物語っています。自分が親から受けたように、自分も我が子を条件付きでしか愛せないのではないかという恐怖。これは、同じような経験を持つ人にとっては、他人事ではないかもしれません。

そんなシュンの告白を、ただ静かに受け止めたミカの姿には、彼女の懐の深さと愛情を感じました。責めるでもなく、同情するのでもなく、ただ「話してくれてありがとう」と伝える。これ以上ない、最高の応答だったと思います。

しかし、ラストのミカの「遅すぎるよ…」という心の声が、重く響きます。長年すれ違い、傷つけ合ってきた二人の間にできた溝は、この告白一つで埋まるほど浅いものではないのかもしれません。優しさを取り戻したシュンと、幸せだった頃の思い出。それらが美しいほどに、もう元には戻れないかもしれないという予感が胸をよぎります。ようやく本音で向き合えた二人ですが、その先にあるのは再生か、それとも…。物語の最も重要な核心に触れた、忘れられない回となりました。

【うちの夫は子供がほしくない】第9話のネタバレまとめ

  • シュンの「俺よりも大事なのかよ」という叫びをきっかけに、彼の壮絶な子供時代が明らかになります 。親から一番に考えてもらえず、条件付きの愛しか与えられなかったことが、彼の心の傷となっていました 。
  • シュンは涙ながらに、子供ができたらミカにとっての一番ではなくなることへの恐怖と、自分が親になった時に無条件の愛を注げる自信がないという「親になることへの恐怖」を告白します 。
  • これまで納得できなかった理由とは違う、彼の魂からの言葉を聞き、ミカは初めて彼の本心を理解し、感謝を伝えます 。
  • 本心を打ち明けたことで、シュンは以前のような優しい夫の姿を取り戻しますが、ミカは彼の告白が「遅すぎた」と感じており、二人の間には依然として大きな課題が横たわっています 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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