【さよならお兄ちゃん】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 兄たちは、パーティーの日が星の18歳の誕生日だったことに気づき、自分たちの過ちを悟って半狂乱で星を探し始めます。
  • 一人取り残された月は計画が狂ったことに激しく怒り本性を現し、友人との会話で星との「出生の秘密」が示唆されます。
  • しかし時すでに遅く、星は「星眠計画」の冷凍睡眠カプセルに入り、30年間の眠りにつきます。
  • 眠りにつく直前、星は家族との思い出を振り返り、「12年間の愛は借り物だった」と悟り、静かに別れを告げます。
  • 一方、長兄・珉は星の部屋で彼女が残した「星眠計画」に関する書類の入った封筒を発見し、真実が明らかにそうな寸前で物語は終わります。

【さよならお兄ちゃん】第12話をネタバレありでわかりやすく解説する

物語が大きく動く瞬間、それはしばしば予期せぬ形で訪れます。長兄である珉(ミン)が、妹・星(ピョル)の運命を左右するであろう「星眠計画」の書類を手に取り、震える指で封を開けようとした、まさにその時でした。

しかし、運命の歯車は無情にも、真実の扉が開かれることをわずかに遅らせてしまいます。この記事では、衝撃的な過去が明らかになる『さよならお兄ちゃん』第12話の内容を、ネタバレを含みながら分かりやすく解説していきます。

中断された真実の発見

珉の手の中には、星の未来、ひいては家族全員の行く末を決定づけるかもしれない重要な書類が握られていました。彼の心には、真実を知りたいという焦燥と、知ってしまうことへの恐れが渦巻いていたことでしょう。

固唾を飲んで封筒に手をかけたその瞬間、静寂を破るように別室から大きな騒ぎ声が聞こえてきたのです。その声に驚いた珉は、思わず手を止め、書類を机の上に置くと、騒動の源へと足を向けました。

騒ぎの中心にいたのは、三兄の哲(チョル)と、長年この家に仕える家政婦でした。哲は怒りを隠そうともせず、家政婦に向かって声を荒らげています。

「おばさん、一体何をしているんだ。どうして部屋の電気がこんなことになっているんだ。」

部屋は電気が落とされ、まるで夜の闇をそのまま閉じ込めたかのように真っ暗でした。その異常な光景に、哲は明らかに困惑し、いら立ちを募らせていたのです。これに対して、家政婦は静かな口調ながらも、揺るぎない態度で答えました。

「お嬢様が、もう直す必要はないとおっしゃいましたので」

暗闇を恐れなくなった理由

家政婦から放たれた言葉は、駆けつけた長兄・珉の心にも大きな衝撃を与えました。

「どういうことだ?あの子はいつも、暗いのが何よりも苦手だったじゃないか」

星が暗闇に対して極度の恐怖心を抱いていたことは、家族全員が知る周知の事実でした。夜に眠る時は必ず豆電球などの小さな明かりを灯し、雷雨で停電にでもなろうものなら、泣きじゃくりながら兄たちの誰かにしがみついて離れなかったのです。

そのような過去を持つ彼女が、なぜ自ら暗闇の中に身を置くことを望むようになったのでしょうか。

家族の疑問を解き明かすように、家政婦は静かに、しかしはっきりと次の言葉を紡ぎました。

「もう怖くはない、と。以前、倉庫に閉じ込められてしまってから、もう暗闇は怖くないのだとおっしゃっていました」

父親が、忘れていた記憶を掘り起こすように聞き返します。「物置だと?」

その一言が引き金となり、家族の心に深く封印されていた、あまりにも残酷な過去の出来事が鮮明に蘇ってくるのでした。

残酷な過去の記憶

物語は回想シーンへと移ります。それは、まだ幼い星が、家の薄暗い物置に閉じ込められてしまった日の出来事でした。

母親が、三男・哲を伴って血相を変えて現れ、星を激しく責め立てています。

「あなたがタルとワインを運んでいる途中で、彼女を倉庫に閉じ込めたそうじゃないか」

星は涙を流しながら必死に無実を訴えようとします。しかし、家族の誰も彼女の言葉に耳を貸そうとはしませんでした。これもまた、月の巧妙な策略によって仕組まれた罠だったのです。星は身に覚えのない罪を着せられ、家族からの愛情と信頼を少しずつ、しかし確実に失っていきました。

三兄の哲が、冷え切った声で言い放ちます。

「まだ懲りないのか。一度閉じ込められれば、少しは反省するだろう。ここで頭を冷やせ」

そして、星は抵抗する術もなく、光の届かない真っ暗な物置の中へと突き飛ばされ、扉は無情にも閉ざされてしまったのです。

誰にも届かない助けを求める声

漆黒の闇の中で、星の体は恐怖に支配されて震えていました。彼女にとって暗闇は、この世の何よりも恐ろしい存在です。か細い腕で必死に扉を叩き、助けを求め続けました。

「お母さん。お母さん、助けて。お兄ちゃんたち!」

何度も、何度も、声が枯れ果てるまで叫び続けました。しかし、彼女の悲痛な叫びが、家の誰かに届くことはありません。家族は星が暗闇をどれほど恐れているかを知っていながら、罰と称して彼女を恐怖の淵に置き去りにしたのです。

時間の経過と共に、星の助けを求める声は次第にか細くなっていきました。恐怖で震えながら、冷たい床にただ座り込む星。流す涙さえも枯れ果て、彼女は静かに、ただ目の前に広がる暗闇を受け入れるしかありませんでした。

この日を境にして、星は暗闇を恐れなくなりました。もっと言えば、恐れることを自ら諦めてしまったのです。信じていた家族に見捨てられ、最も恐れていた場所にたった一人で閉じ込められた経験は、彼女の心に消えない傷を刻みつけました。そして同時に、「これ以上怖いものはない」という、悲しい諦観の境地へと彼女を導いてしまったのでした。

現在に戻る家族の後悔

回想の場面から現実の世界へと戻った家族たちは、皆一様に言葉を失っていました。自分たちが過去に星へとしてきた仕打ちがどれほど残酷であったのか、その本当の意味をようやく理解したのです。

星が暗闇を恐れなくなったのは、精神的に成長したからではありませんでした。家族に裏切られ、最も恐ろしい孤独と恐怖の中で助けを求めても、誰も手を差し伸べてはくれなかったのです。その計り知れない絶望が、彼女の心から恐怖という感情さえも奪い去ってしまいました。

家政婦の表情には、深い悲しみの色が浮かんでいます。おそらく彼女だけが、星が抱えてきた本当の苦しみに気づいていたのでしょう。しかし、あくまでも使用人という立場では、家の主人たちに逆らうことは叶わなかったのです。

物語は、家族が自らの罪の重さに打ちひしがれ始めた、まさにその瞬間で幕を閉じます。しかし、その気づきはあまりにも遅すぎました。なぜなら、星はすでに30年間という長い眠りへと旅立ってしまった後なのですから。彼女が恐怖を克服するために支払った代償は、あまりにも大きく、取り返しのつかないものでした。

【さよならお兄ちゃん】12話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第12話は、物語の核心に触れる非常に重要な真実が明かされた回であり、読了後はしばらく言葉を失うほどの衝撃を受けました。星が暗闇を恐れなくなった理由が、これほどまでに残酷で悲しい出来事に起因していたとは、想像もしていなかったです。

特に、物置に閉じ込められた星の回想シーンは、読んでいて胸が締め付けられるようでした。暗闇を心から恐れている幼い少女を、罰としてその恐怖の対象そのものである場所に閉じ込める行為は、紛れもなく虐待に他なりません。さらに、その原因が月の策略による濡れ衣だったという事実は、家族の愚かさと残酷さを一層際立たせています。家族は、星の必死の訴えに真摯に向き合うことなく、最も安易で、そして最も残酷な罰を選択してしまったのです。

「お母さん、お兄ちゃんたち!」と、か細い声で必死に助けを求める星の姿が目に浮かぶようでした。本来であれば、愛する妹の恐怖に満ちた声を聞きつけ、すぐにでも助けに来てくれるはずの家族。しかし、誰も来ませんでした。この時の星が感じたであろう絶望感は、察するに余りあります。

星が暗闇を恐れなくなったのは、恐怖を乗り越えたのではなく「諦めた」結果だったという真実。これは、物語全体を通しても屈指の悲しい事実だと感じます。恐怖という感情さえも無意味に思えるほど、彼女の心は深く傷つき、壊れてしまっていたのです。

そのような状況の中で、家政婦だけが星の本当の気持ちを理解し、味方でいてくれたことが、唯一の救いでした。ただ、彼女もまた使用人という立場から家族に強く意見できず、星の苦しみを見ていることしかできなかった。この無力感もまた、物語に深みを与えている要素だと感じます。

珉が「星眠計画」の書類を開く寸前で中断されてしまった展開も、運命の皮肉としか言いようがありません。もし彼が、あのタイミングで中身を確認していたら、物語は違う方向へ進んでいたのかもしれないと思うと、非常にもどかしい気持ちになります。結局のところ、この時も星の真実より、目の前の騒動が優先されてしまいました。

物語の最後で、家族は自分たちの罪の深さにようやく気づき始めましたが、もはや手遅れです。星は30年もの眠りについてしまいました。彼らが抱えることになった後悔は、これから先の物語でどのように描かれていくのでしょうか。彼らの贖罪の旅路を、重い気持ちで見守っていきたいです。

【さよならお兄ちゃん】12話のネタバレまとめ

  • 長兄の珉が「星眠計画」の書類を開封しようとした直後、別室で起きた騒ぎによって中断されます。
  • 三兄の哲が、部屋の電気が家政婦によって切られていることに腹を立てていました。
  • 家政婦は、星自身が「もう暗闇は怖くない」と話していたため、電気は不要だと判断したことを明かします。
  • 回想シーンを通じて、過去に星が月の策略で濡れ衣を着せられ、罰として物置に閉じ込められた事件が明らかになりました。
  • 暗闇をひどく恐れていた星は、必死に助けを求めましたが、家族の誰も助けに来ることはありませんでした。
  • この辛い経験を通して、星は恐怖を感じることを諦め、結果として暗闇を恐れなくなったのです。
  • 現在に戻り、家族は自分たちが星にしてきたことの罪の深さをようやく自覚し、後悔に苛まれ始めます。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【さよならお兄ちゃん】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【さよならお兄ちゃん】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【さよならお兄ちゃん】13話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【さよならお兄ちゃん】13話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました