【さよならお兄ちゃん】14話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 過去の回想を通じて、星が物置の中で恐怖に震えながら一晩中助けを求めていたという、虐待ともいえる事実が明らかになりました。
  • 家政婦の証言により、その時の星は「もう少しで死ぬところだった」と表現されるほどの極限状況に置かれていたことが判明します。
  • 母親は、星を養女として迎えた際に誓った「実の娘のように育てる」という約束を、自らが破ってしまったことを深く後悔し始めます。
  • 兄たちは行方不明になった星を必死に探し出そうとしますが、全ての真実を知る家政婦によって、その行動は巧みに止められてしまいました。
  • 家政婦は、今更ながら後悔の念に駆られる家族を冷ややかな目で見つめながら、心の中で「今度はあなたたちが、帰らない人を待ち続ける苦しみを味わう番だ」と考えています。

【さよならお兄ちゃん】第14話をネタバレありでわかりやすく解説する

愛する妹、星が家から姿を消してから数日の時が流れました。家族は彼女の不在という現実に直面しながらも、心のどこかではまだ、彼女がすぐにでも帰ってくるだろうという楽観的な希望を抱いていました。そして、家族の運命を大きく揺るがす、その日が静かにやってきます。

星の不在と家族の楽観

次兄の勛(フン)が、窓の外を眺めながら不安そうに呟きます。

「ビョル(星)が、何も言わずに家を出ていってしまった。よほど私たちのことをがっかりさせてしまったんだろう。あの子が戻ってきたら、また昔のように仲良く過ごせるだろうか。」

その言葉の端々には、星に対する申し訳ないという気持ちと、失ってしまった関係性を何とか修復したいという切実な願いが込められていました。しかし、「昔のように」という言葉が、もはや決して叶うことのない、どれほど空虚な響きを持っているのか、この時の彼はまだ理解していません。

母親が、そんな息子の背中を優しくさすりながら慰めます。

「フン、心配しなくても大丈夫よ。明日はあなたにとって大切な手術の日なんだから、今はゆっくり休んでちょうだい。」

そうなのです。明日は、勛が長年待ち望んでいた角膜移植手術が行われる日でした。長い間彼を苦しめてきた暗闇の世界から解放され、新たな人生の扉を開く、まさに転機となる一日です。

三兄の哲(チョル)は、相変わらずの根拠のない自信に満ちた表情で言います。

「心配するなよ、兄さん。あいつのことだ、3日もすればひょっこり戻ってくるさ。俺が保証する。それに、兄さんの目が治ったと知ったら、きっと嬉しくてたまらないはずだ。」

長兄の珉(ミン)もまた、星の優しい性格を思い出しながら、穏やかに言いました。

「ビョルは、昔から君のことが一番好きだったからな。子供の頃から、大きくなったら自分の角膜をお兄ちゃんにあげるんだって、いつも大騒ぎしていたじゃないか。」

しかし、兄たちの優しい言葉に対して、次兄・勛から返ってきたのは、予想だにしない意外な言葉でした。

「もし、ビョルの角膜を受け入れることになるのなら、俺は一生このまま見えない方がマシだ。」

この言葉は、紛れもなく、星に対する深い罪悪感から生まれたものでしょう。しかし、運命とはあまりにも皮肉なものです。彼がこれから受け取ることになる角膜が、一体誰のものであるのか、彼はまだ知る由もありません。

過去の約束

勛の脳裏に、遠い昔の、ある日の記憶が鮮明に蘇ります。

「ああ…どうして俺だけが、普通の人間みたいに生きることができないんだ。一体、どうしてなんだ!」

目の見えないことが原因で転んでしまった幼い勛。地面に突っ伏し、絶望に打ちひしがれる彼のそばに、同じくまだ幼い星が慌てて駆け寄ってきました。

「お兄ちゃん、大丈夫?痛かったでしょう。でも、安心して。私が必ず、お兄ちゃんの目を治してあげるから。絶対に、約束するわ。」

その純粋で無垢な約束を、星は本当に守り抜いたのです。ただし、それは家族の誰もが想像すらしなかった、あまりにも悲しく、そして尊い形で実現されることになりました。

運命の手術日

そして、角膜手術の当日がやってきました。手術台の上に静かに横たわる勛の心の中には、たった一つの切実な願いがありました。

「ビョル、もし俺がこの目を開けた時、最初に映るのが君の姿だったら、どんなに嬉しいだろうか。」

手術中、全身麻酔によって朦朧とする意識の中で、勛はそのことばかりを思い続けていました。いつも優しく、太陽のように笑っていた星の笑顔を、この自分の目ではっきりと見たい。その強い願いだけが、手術への不安に満ちた彼の心を支えていたのです。

手術の成功と家族の喜び

長い手術が終わり、病室で待つ家族のもとに担当の医師が入ってきて、満面の笑みで告げます。

「若旦那様の手術は、大成功です。経過も非常に良好です。」

その一言に、家族全員が安堵と歓喜の声を上げました。ついに、ついに勛の目が、再び光を取り戻すのです。

包帯がゆっくりと外される瞬間、勛は恐る恐る、そして期待を込めて瞼を開けます。長年の暗闇から解放され、彼が初めて目にした世界。そこには、涙を浮かべながら自分を見つめる、愛する家族の顔がありました。

「ああ、お母さん、お父さん…。」

感動で声を震わせる勛。生まれて初めてはっきりと見る両親の顔に、彼の頬を熱い涙が伝います。

三兄の哲が、自分のことのように誇らしげな表情で言います。

「兄さん、言っただろ、手術は絶対に成功するって。」

父親は、深い感謝の気持ちを込めて口にします。

「これも全て、角膜を提供してくださったドナー様のおかげだ。その方のおかげで、フンはまた目を開けることができたんだ。」

母親も、涙ながらに続けます。

「本当に、その方を探し出して、ご家族にきちんとお礼をしなければ。これは、私たちが一生をかけて返していかなければならない大きな恩ですわ。」

家族全員が、顔も名前も知らない提供者への深い感謝の念で満たされていました。まさか、その尊い提供者が、自分たちが冷たく追い出した愛する娘、星その人であるとは、この時の彼らは誰も想像すらしていません。

不穏な真実の予感

喜びに包まれる家族の中で、ただ一人、長兄の珉だけが少しばかり硬い表情を見せていました。

「お父さん、お母さん。実は、俺、少し調べてみたことがあるんだけど。」

珉の声には、何か非常に重大な発見をしてしまったかのような、ただならぬ緊張感が漂っていました。彼は一体、何を調べ、そして何を発見してしまったというのでしょうか。

そのどこか怪訝そうな雰囲気は、これから家族に突きつけられるであろう、あまりにも衝撃的な真実を強く予感させます。星の「星眠計画」への参加、そして、彼女こそが勛の角膜提供者であるという事実。家族の純粋な喜びが、どのような形で無惨にも打ち砕かれてしまうのか。

物語は、全ての真実が白日の下に晒される、まさにその直前で幕を閉じます。勛の目に新しく映る世界は、明るく美しいものでした。しかし、その光をもたらしたのが一体誰なのか、彼はまだ知りません。星が、その命と引き換えに守った約束の重さを、家族が知ることになる時が、刻一刻と迫っています。

【さよならお兄ちゃん】14話を読んだ感想(ネタバレあり)

この第14話は、物語全体の中でも特に皮肉と悲劇性が色濃く交錯する、読んでいて本当に胸が締め付けられるような回でした。

まず、冒頭の勛の「ビョルの角膜を受け入れるなら、一生見えない方がマシだ」というセリフ。これはもちろん、星に対する深い罪悪感から生まれた言葉なのでしょうが、結果的にまさにその星の角膜を受け取っているという現実を考えると、運命の残酷なまでの皮肉を感じずにはいられません。星は文字通り、自分の体の一部を差し出すことで、兄への愛を証明したのです。

回想シーンで描かれた、幼い星の「私が必ずお兄ちゃんの目を治すわ」という純粋な約束。この無垢な誓いを、彼女は本当に守りました。ただし、それは愛する家族に拒絶され、心身ともに深く傷つき、追い出された後のことでした。この事実が、物語にどうしようもない切なさを与えています。

「3日もあれば戻ってくる」と豪語する哲の楽観的な言葉も、全ての真実を知っている私たち読者からすれば、あまりにも空虚に響きます。星は、30年間という途方もない時間、戻ってくることはありません。いや、30年後に本当に目覚めることができるのかどうかさえ、定かではないのです。

手術中の勛の「ビョル、俺が目を開けた時、最初にみるのが君だったらいいな」という切実な願い。表面的には、この願いは叶いませんでした。しかし、見方を変えれば、ある意味では叶っているのかもしれません。なぜなら、彼がこれから見る新しい世界は、紛れもなく星の瞳を通して見る世界なのですから。この事実に気づいた時、彼は何を思うのでしょうか。

両親が口にする「一生かけて返す恩」という言葉も、真実を知った後では、あまりにも重い意味を持つことになるでしょう。自分たちが冷たく追い出した娘が、その命を懸けて息子を救ってくれた。この耐え難い事実を突きつけられた時、彼らはどのような反応を示すのでしょうか。想像するだけで胸が痛みます。

そして、物語の最後に放たれる珉の「実は、調べてみたんだけど」という一言。ついに、パンドラの箱が開かれる時が来たようです。家族の純粋な喜びが、一瞬にして絶望へと変わる瞬間が、おそらく次回の物語で描かれるのでしょう。

星が不在の中で執り行われた手術の成功。家族の心からの喜び。しかし、その輝かしい喜びの裏側には、星という一人の少女のあまりにも大きな犠牲があった。この残酷な構図が、家族の愛とは何か、血の繋がりとは一体何を意味するのかを、私たち読者に鋭く問いかけているように感じました。

【さよならお兄ちゃん】14話のネタバレまとめ

  • 星が家を出てから数日が経過し、家族は彼女がすぐにでも帰ってくると楽観的に考えています。
  • 物語の舞台は、次兄・勛の角膜移植手術の当日へと移ります。
  • 勛は罪悪感から「ビョルの角膜なら一生見えない方がマシだ」と口にしますが、皮肉にも、実際は星の角膜を受け取ることになります。
  • 過去の回想シーンで、幼い星が勛に対して「必ずお兄ちゃんの目を治す」と約束していたことが描かれます。
  • 手術は無事に大成功を収め、勛は長年の暗闇から解放され、視力を取り戻します。
  • 家族は顔も知らない角膜の提供者に心から感謝しますが、それが星本人であるとは夢にも思っていません。
  • 物語の最後、長兄の珉が何か重要な事実を調べ上げた様子を見せ、家族の間に不穏な雰囲気が漂い始めます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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