【さよならお兄ちゃん】17話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 家族は、星が命に関わるほど深刻な喘息を患っていたという、あまりにも衝撃的な事実を知り、それぞれが深い後悔と自己嫌悪の念に苛まれました。
  • 視力を取り戻した次兄・勛は、自宅に戻り、家の中の至る所に、これまで気づかなかった星の細やかで深い愛情が満ち溢れていることを発見します。
  • 勛は、過去に星が、自分の目の回復をただひたすらに願って、999羽もの折り鶴を折ってくれていたという、忘れていた大切な記憶を思い出しました。
  • 星が、その大切な鶴を保管していると語っていた「秘密基地」が、子供の頃に兄妹でよく遊んだ屋根裏部屋であることが示唆され、家族は一縷の望みを託して、その場所へと向かいます。

【さよならお兄ちゃん】第17話をネタバレありでわかりやすく解説する

愛する妹、星が残した最後のメッセージを求めて、家族は、子供の頃の思い出が詰まった「秘密基地」である屋根裏部屋へと、重い足取りで向かいます。そこは、彼らがすっかり忘れかけていた、温かく、そしてかけがえのない時間と、星のどこまでも深い愛情が、静かに眠っている場所でした。

秘密基地の記憶

長兄の珉(ミン)が、弟たちに声をかけます。
「ああ、フンと一緒に見てくるよ。」

軋む音を立てる重い扉を開け、薄暗い屋根裏部屋に一歩足を踏み入れた瞬間、兄たちの脳裏に、遠い昔の、ある日の記憶が、まるで昨日のことのように鮮やかに蘇ります。

薄暗い部屋の中で、まだ幼い星が、兄たちの帰りを今か今かと待っていました。
「お兄ちゃんたち、やっと来たの?」

星は、心から嬉しそうな表情を浮かべて、兄たちのもとへ駆け寄ります。その小さな手には、兄たちのためにとっておいたであろう、おやつのクッキーが大切に握られていました。

「お兄ちゃん、どうしてこんなに遅かったの?私、ずっと、ずっと待ってたんだからね。」

少しだけ拗ねたようにそう言う星の頭を、兄たちは、愛おしそうに優しく撫でました。

「ごめんね、ビョル。寂しい思いをさせたな。次は、絶対に待たせないから、約束するよ。」

その温かい約束は、一体いつの間にか忘れ去られてしまったのでしょうか。大人になるにつれて、彼らは何度も、何度も星を待たせ、その期待を裏切り、そして最後には、助けを求める彼女の声に耳を貸すことなく、見捨ててしまったのです。

星が残した思い出の数々

過去の記憶から、厳しい現実へと引き戻された兄たち。改めて見渡した屋根裏部屋は、星が、その生涯をかけて大切にしてきた、思い出の品々で溢れかえっていました。家族みんなで撮った色褪せた古い写真、兄たちからプレゼントされたささやかな贈り物、そして、学校の授業で作ったであろう、拙いながらも心のこもった工作の数々。

そこに置かれた一つ一つの品が、星がこの家族を、どれほど深く、そして純粋に愛していたかを、雄弁に物語っていました。

999羽の鶴に込められた願い

次兄の勛(フン)が、部屋の片隅に置かれた、ほこりをかぶった棚の上に、大きなガラスの瓶が置かれているのを見つけます。その中には、色とりどりの小さな折り鶴が、まるで宝石のようにぎっしりと詰まっていました。

「これは…。」

それは、紛れもなく、星が勛の目の回復をただひたすらに願って、来る日も来る日も折り続けた、999羽の鶴でした。瓶の横には、「お兄ちゃんの目が、早く良くなりますように」と、子供らしい、少し不器用な文字で書かれた紙が、セロハンテープで丁寧に貼り付けられています。兄に「迷信だ」と笑われても、星は最後まで、兄の回復を信じ、一羽一羽に、切実な願いを込めていたのです。

守ってくれるぬいぐるみ

その鶴の瓶の隣には、少し古びて、くたびれたテディベアのぬいぐるみが、ちょこんと置かれていました。勛が、そのぬいぐるみにそっと触れた瞬間、また別の、忘れていたはずの記憶が、心の奥底から蘇ります。

「ほら、ビョル。このぬいぐるみをあげる。これからは、この子が、ビョルが怖くないように、いつも君のことを守ってくれるからね。」

暗闇をひどく怖がる幼い星に、まだ目の見えていた頃の勛が、お守りとしてプレゼントした、大切なぬいぐるみでした。

「ありがとう、お兄ちゃん。大好き。」

嬉しそうに、そして大切そうに、そのぬいぐるみを胸に抱きしめる星の姿。その日から、このぬいぐるみは、ずっと星のそばにあり続け、彼女の孤独な心の、唯一の支えとなっていたのでしょう。

現実に戻った勛が、震える声で、かろうじて言葉を紡ぎます。

「このぬいぐるみ…俺が、ビョルにあげたものだ…。」

自分が与えた、ほんのささやかな愛情を、星は、こんなにも長い間、ずっと大切にしてくれていた。そのあまりにも重い事実に、勛の胸は、張り裂けんばかりに締め付けられるのでした。

心のポストの発見

まさにその時、三兄の哲(チョル)が、部屋の隅で、古い木製の箱を見つけます。

「兄さん、これって、俺たちが子供の頃に、みんなで作ったやつじゃないか?」

それは、家族みんなが、「心の中の本当の話」を、誰にも知られずに投函するために作った、手作りの「心のポスト」でした。面と向かっては、どうしても言葉にできない思いを手紙にして、この箱に入れる。それが、かつてのこの家族の、温かいルールでした。

第10話で、星が、兄たちからの過去の手紙を読んで、涙を流した、あの箱です。しかし、兄たちは、その大切な箱の存在すら、すっかり忘れかけていたのです。

この箱の中には、一体、何が入っているのでしょうか。星が、家族に宛てて、最後に残したであろう、本当の気持ちが綴られた手紙。そして、兄たちが、まだ純粋だった過去に書いた、星への偽りのない愛情に満ちた手紙。

物語は、家族が、その「心のポスト」を前にして、ただ言葉を失い、立ち尽くすところで終わります。この箱が、これから彼らに、さらなる残酷な真実と、取り返しのつかない後悔を突きつけることになるのは、もはや間違いありません。星が、その胸の内に秘めていた本当の気持ちが、今、静かに明かされようとしています。

【さよならお兄ちゃん】第17話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第17話は、星が抱いていた、あまりにも純粋で、そして深い愛情と、それをいとも簡単に忘れ去ってしまった家族の姿の対比が、どうしようもなく切ない回でした。屋根裏部屋という、時が止まったかのような「過去」の空間で、家族は、自分たちが失ってしまったものの、計り知れないほどの大きさに、改めて気づかされていきます。

999羽の鶴が発見されるシーンは、本当に涙なしでは読むことができませんでした。兄に「そんなものは迷信だ」と、軽く一蹴されても、それでもひたすらに、彼の回復を願って、小さな鶴を折り続ける星の姿。そのあまりにも健気で、見返りを一切求めない純粋な愛情に、胸を激しく打たれます。星にとって、愛する兄たちの幸せこそが、自分自身の幸せだったのでしょう。そのことに、疑いの余地はありません。

また、勛がプレゼントした、たった一つのぬいぐるみを、星が、ボロボロになるまでずっと大切にしていたという事実も、彼女の愛情の深さを、痛いほどに物語っています。兄から与えられた、ほんのささやかな愛情を、彼女は、何よりも大切な宝物として、ずっと胸に抱きしめていた。その一方で、兄たちは、自分たちが与えた愛情のことなどすっかり忘れ、あまつさえ、星の心を深く傷つけてしまった。この残酷なまでの対比が、この物語の悲劇性を、より一層際立たせています。

そして、物語の最後に発見された「心のポスト」。この古びた木箱は、かつての家族の温かい絆の象徴であると同時に、彼らが失ってしまった、その絆の墓標のようにも見えてしまいます。この箱の中に入っている手紙は、きっと、家族の心を、さらに深く、そして容赦なく抉ることになるでしょう。

「次は絶対に待たせないよ」という、遠い昔の、無邪気な約束が、現在の絶望的な状況と重なり合って、より一層、悲しく、そして虚しく響きます。彼らは、星を、何度も、何度も待たせ続け、結局は、助けを求める彼女の悲痛な声にさえ、耳を貸すことはありませんでした。その取り返しのつかない罪の重さを、これから彼らは、一体どうやって償っていくというのでしょうか。

屋根裏部屋は、星にとっては、キラキラとした思い出が詰まった、宝箱のような場所だったのでしょう。しかし、今の家族にとっては、自分たちの罪の深さを、改めて認識させられる、決して開けてはならない、パンドラの箱のような場所に、なってしまいました。

【さよならお兄ちゃん】17話のネタバレまとめ

  • 家族は、星が「秘密基地」と呼んでいた、思い出の詰まった屋根裏部屋へと足を踏み入れます。
  • 屋根裏部屋で、兄たちは、星と過ごした、まだ温かい関係性であった頃の、幼い日の記憶を鮮明に思い出します。
  • 次兄・勛は、星が、自分の目の回復をただひたすらに願って、来る日も来る日も折り続けた、999羽の鶴を発見します。
  • また、勛が、かつて星にプレゼントした、古びたぬいぐるみが、今もなお大切に保管されているのを見つけ、彼女の深い愛情を再認識します。
  • 三兄・哲が、家族がかつて「心の中の話」を投函するために使っていた、「心のポスト」を発見します。
  • 物語の最後、その「心のポスト」の中には、星が家族に向けて最後に残した、本当の気持ちが綴られた手紙が入っていることが強く示唆されます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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