【さよならお兄ちゃん】18話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 家族は、星が「秘密基地」と呼んでいた、思い出が詰まった屋根裏部屋へと足を踏み入れました。
  • 屋根裏部屋で、兄たちは、星と過ごした、まだ温かい関係性であった頃の、幼い日の記憶を鮮明に思い出します。
  • 次兄・勛は、星が、自分の目の回復をただひたすらに願って、来る日も来る日も折り続けた、999羽の鶴を発見しました。
  • 三兄・哲が、家族がかつて「心の中の話」を投函するために使っていた、「心のポスト」を発見しました。

【さよならお兄ちゃん】第18話をネタバレありでわかりやすく解説する

時が止まったかのような、静かな屋根裏部屋で見つかった、手作りの「心のポスト」。その古びた木箱の中には、愛する妹、星が、家族に宛てて書いた、最後のものと思われる手紙が、静かに眠っていました。その一通の手紙が、これから兄たちに、これまで経験したことのない、さらなる後悔と、底なしの絶望をもたらすことになるのです。

忘れられていた思い出の箱

三兄の哲(チョル)が、部屋の隅で、分厚い埃をかぶった木箱を指差します。
「なあ、兄さん。これって、俺たちが子供の頃、みんなで一緒に作ったやつじゃないか?」

長兄の珉(ミン)もまた、遠い昔の記憶をたどるように、懐かしそうに答えます。
「そうだな…すっかり、その存在を忘れていたよ。」

かつては、この家族の温かい絆の象徴であったはずの、「心のポスト」。しかし、日々の忙しさの中で、兄たちは、その大切な箱の存在すら、記憶の片隅に追いやっていたのです。箱を開けると、中には、星が書いたであろう、たくさんの手紙が、丁寧に折りたたまれて入っていました。

「ビョルが、一人で、こんなにたくさんの手紙を書いていたのか…。」

次兄の勛(フン)が、か細い声でそう呟きます。
「ビョルだけが、覚えていてくれたんだな。この箱のことも、俺たちのことも。」

そうなのです。星だけが、家族と共に過ごした、かけがえのない思い出を、片時も忘れることなく大切にし、言葉にしては伝えられない、繊細な思いを手紙に託し続けていたのです。

三兄の哲が、自分自身を深く恥じるように、後悔の念を口にします。
「いつも、こうして、俺たちのことを一番に考えてくれていたっていうのに…。俺たちは、あいつに何をしてきたんだ。失ってから気づくにも、程があるだろうが…。」

その言葉は、彼ら自身の、取り返しのつかない愚かさを認める、あまりにも痛切な告白でした。

星が残した最後の手紙

兄たちは、その中から、星が最後に書いたであろう、一通の手紙を、そっと手に取ります。震える手で、ゆっくりと封を開けると、そこには、星の、どこまでも優しく、そして深い愛情と、その裏側に隠されていた、計り知れないほどの悲しみが、彼女自身の言葉で綴られていました。

「私の人生に、家族なんて、もう一生できることはないって、そう思ってた。でも、お兄ちゃんたちが現れて、私は、初めて感じることができたの。人に愛されるって、こんなにも温かくて、幸せなものなんだって。」

手紙は、星が、この家族と初めて出会った時の、純粋な喜びの記憶から始まります。天涯孤独の孤児であった彼女にとって、自分を「家族」として受け入れてくれる存在ができたということは、暗闇の人生に差し込んだ、初めての、そして唯一の光でした。

「お兄ちゃんたちと過ごした毎日が、まるで、覚めることのない、甘い夢みたいだった。だけど、たとえこれが夢だとしても、私が、この世界で一番大きな幸せを味わったっていう、その事実は、永遠に変わらないから。」

この言葉には、たとえ、今この瞬間が、どれほどの不幸のどん底にあったとしても、過去に確かに存在した、幸せな記憶だけを胸に抱いて、生きていくことができるという、星の、あまりにも健気で、そして悲しい決意が込められていました。

幸せの中の不安

しかし、手紙は、次第に、星が、その大きな幸せの影で、常に抱え続けていた、深い不安を吐露していきます。

「こんなにも大切で、温かい家族を得たというのに、私は、毎日、毎日が不安で仕方がなかった。お兄ちゃんたちが、私にあまりにも優しくしてくれるから、これは、きっと私が都合よく見ている、ただの夢なんじゃないかって。目が覚めたら、この幸せは、全部、泡のように消えてしまうんじゃないかって、それが、本当に怖かったの。」

星は、自分には不釣り合いなほどに、あまりにも大きな幸せの中で、常に、その幸せが、いつか失われてしまうのではないかという、漠然とした恐怖に苛まれていたのです。そして、その拭い去ることのできない不安は、実の娘である月が、この家に帰ってきたことで、彼女が最も恐れていた、最悪の形で、現実のものとなってしまいました。

「お兄ちゃんたちは、私の人生の、全ての『初めて』を、いつも一緒に経験してくれたよね。お兄ちゃんたちのおかげで、私の人生は、たくさんの色で、キラキラと輝くことができたの。初めて、人前でピアノの演奏を披露した時も、初めて、誰かに髪を結んでもらった時も、初めて、可愛いお洋服を着せてもらった時も…。」

星の人生における、数えきれないほどの「初めて」は、その全てが、愛する兄たちと共にありました。その一つ一つの、ささやかな思い出が、彼女にとって、何物にも代えがたい、かけがえのない宝物だったのです。

蘇る温かい記憶

その手紙を読みながら、兄たちの脳裏に、星に、新しい、可愛い服を着せてあげた、遠い日の記憶が、鮮やかに蘇ります。

新しい、真っ白なドレスを着て、少しだけ恥ずかしそうに、そして、はにかむように俯いている星。その愛らしい姿を見て、兄たちは、三者三様の、愛情のこもった反応を見せました。

次兄の勛が、その純粋な心からの、感嘆の声を上げます。
「うわ、ビョル、すごく綺麗じゃないか。まるでお姫様みたいだ。」

長兄の珉は、まるで、本当の父親のような、温かい目線で言います。
「ビョル、本当によく似合ってるぞ。すごく可愛いじゃないか。将来、一体どんな男が、こんな可愛いビョルを連れて行ってしまうのか、お兄ちゃんは、今からもう心配で仕方がないよ。」

三兄の哲は、いつものように、少しだけ意地悪な、冗談めかした口調で言います。
「いや、俺は、ビョルを気に入るような男なんて、この世に一人もいないと思うけどな。」

あの時のリビングは、疑うことのない、純粋な愛情と、絶えることのない笑いに満ち溢れていました。星は、紛れもなく、この家族の中心で、まるで、太陽のように、明るく、そして眩しく輝いていたのです。

止めどなく流れる後悔の涙

その最後の手紙を読み終えた兄たちは、もはや、何の言葉も発することができず、ただ、その場に崩れ落ち、止めどなく流れる涙を、拭うことしかできませんでした。星が、どれほど、自分たちのことを深く愛し、かけがえのない存在として、大切に思っていたか。そして、自分たちが、その計り知れないほどの愛情を、どれほど無残に、そして冷酷に踏みにじってしまったのか。

手紙に綴られた、一言一句が、まるで、鋭利な刃となって、彼らの心を、容赦なく、そして深く突き刺します。星が、その胸の内に抱えていた、深い不安に、誰一人として気づくことなく、彼女の底なしの優しさに、ただ甘え続け、そして、最後には、彼女の全ての苦しみを「演技だ」と一方的に決めつけて、この家から追い出してしまった。

「失って気づくにも程がある」という哲の言葉通り、彼らの後悔は、あまりにも、あまりにも遅すぎました。星が、その命と引き換えに残したこの手紙は、彼女の、家族への深い愛情の証明であると同時に、彼らの、取り返しのつかない罪を告発する、世界で最も残酷な、告発状でもあったのです。

物語は、時が止まったかのような、静寂に包まれた屋根裏部屋で、ただ、静かに涙を流し続ける、兄たちの姿を映し出し、静かに幕を閉じます。主のいなくなった部屋で、彼女が残した、温かい愛情の記憶だけが、確かに、そして永遠に、そこに存在していました。

【さよならお兄ちゃん】第18話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第18話は、星が残した最後の手紙が、あまりにも切なく、そして、どこまでも美しくて、読んでいて涙が止まりませんでした。

「愛されるって、こんなにも温かいものなんだって」という、彼女の純粋な言葉に、星が、この家族と出会ったことで、どれほど救われ、そして、どれほど幸せを感じていたかが、痛いほどに伝わってきます。天涯孤独の身であった彼女にとって、兄たちの存在は、文字通り、暗闇の人生に差し込んだ、唯一無二の光だったのでしょう。

しかし、その一方で、「目が覚めたら、この幸せは、全部、泡のように消えてしまうんじゃないかって、それが、本当に怖かった」という一文が、彼女のその大きな幸せが、常に、消えることのない不安と、隣り合わせであったという、残酷な事実を物語っていて、本当に胸が締め付けられる思いです。養子という、決して変えることのできない立場が、彼女の心に、どれほどの重圧と、拭い去ることのできない不安を与えていたのか。その繊細な心の叫びに、家族は、誰一人として、気づいてあげることができませんでした。

兄たちの、温かい回想シーンも、現在の絶望的な状況との、あまりにも残酷な対比によって、より一層、悲しく、そして切なく感じられます。かつては、星を、本物の「お姫様」のように扱い、惜しみない愛情を注いでいた、あの頃の姿。それが、一体なぜ、あんなにも冷酷で、非情なものに変わってしまったのか。血の繋がりというものは、12年間という、決して短くはない年月をかけて育んだ愛情さえも、いとも簡単に消し去ってしまうほど、強力で、そして抗いがたいものなのでしょうか。

「失って気づくにも程がある」という、三兄・哲の言葉は、まさに、その通りだとしか言いようがありません。彼らは、星という、何物にも代えがたい、かけがえのない宝物を、自らの手で失って初めて、その本当の価値に気づいたのです。しかし、もう、全てが手遅れです。

星の手紙には、誰かを恨んだり、憎んだりするような言葉は、ただの一言もありませんでした。そこにあったのは、ただ、ひたすらに、家族への深い感謝と、純粋な愛情だけでした。この、どこまでも優しく、そして美しい心が、かえって、兄たちが犯した罪の、計り知れないほどの重さを、より一層、浮き彫りにしているように感じます。

この手紙を読んだ兄たちは、これから、一体どうするのでしょうか。ただ、後悔の涙を流し続けるだけでは、もちろん、星は戻ってきません。彼らが、本当に、心からの償いをしたいと願うのであれば、これから先、30年間という、途方もなく長い時間、ただひたすらに、星の帰りを待ち続けるしかないのでしょう。

【さよならお兄ちゃん】18話のネタバレまとめ

  • 兄たちは、屋根裏部屋で見つけた「心のポスト」の中から、星が家族に宛てて書いた、最後のものと思われる手紙を発見します。
  • 手紙には、この家族と出会えたことへの深い感謝と、計り知れないほどの愛情、そして、その大きな幸せの中で、常に抱えていた消えることのない不安が、彼女自身の言葉で綴られていました。
  • 星は、「お兄ちゃんたちのおかげで、私の人生は、たくさんの色で輝くことができた」と、家族と共に経験した、数えきれないほどの「初めて」の温かい思い出を、一つ一つ丁寧に振り返ります。
  • 手紙を読みながら、兄たちは、かつて、星に可愛い服を着せてあげた日の、愛情に満ち溢れた温かい記憶を、鮮明に思い出します。
  • 星が抱いていた、あまりにも純粋で、そして見返りを求めない深い愛情を知った兄たちは、自分たちが犯した過ちの、取り返しのつかないほどの深さを骨の髄まで思い知り、ただ後悔の涙を流すことしかできませんでした。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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