【さよならお兄ちゃん】28話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 兄たちから完全な拒絶を突きつけられた月は、逃げるようにその場を去っていきました。
  • 残された家族は星への計り知れないほどの愛情と、自分たちの犯した罪の重さを改めて自覚し、深い後悔の念に駆られます。
  • 長兄の珉は「今度こそ本当の家族としてやり直そう」と固く誓いました。
  • 星の失踪は社会全体を巻き込む大きな事件となり、テレビや街中では彼女の帰りを願う大々的なキャンペーンが展開されていました。

【さよならお兄ちゃん】第28話をネタバレありでわかりやすく解説する

社会全体を巻き込んで大々的に行われる星の捜索活動。その喧騒の中、家族は星が今日こそは帰ってくるだろうという根拠のない、しかし切実な期待を胸に、彼女を迎えるための盛大な準備を進めていました。しかしその光景は、あまりにも空虚で、そして滑稽なものでした。

家族の空虚な贈り物

長兄の珉が、まるで自分自身に言い聞かせるかのように力強く言います。
星は今日、必ず帰ってくる。今度こそ俺たちの本当の気持ちを、あいつに見せてやろうじゃないか

そう言って彼が手をパンと叩くと、どこからともなく大勢のお手伝いさんたちが、一斉に豪華絢爛なプレゼントを運んできます。

長兄の珉が誇らしげにその一つを手に取ります。
これは俺が特別に注文したオーダーメイドの靴だ。世界にたった一つだけの特別なものなんだ

三男の哲もまた、負けじと自慢げに言います。
俺は最新の外車を用意したぜ。それに屈強なボディーガードも数十人つけたし、もう二度と誰も星に手出しできないようにな

次男の勛もその隣で静かに、しかしその瞳に熱い思いを宿らせて言いました。
俺はエリスブランドのジュエリーを全て用意した。星は俺たち家族のかけがえのない宝物だからな

父親もまた満足げな表情で言います。
俺とお母さんは、星がいつでもどこでもゆっくりと休めるように、家を別に一軒用意したんだ

そのあまりにも滑稽で、そして自己満足に満ちた光景を、少し離れた場所で見ていた家政婦は、心の中で静かに、そして冷ややかに毒づきます。

星お嬢様…お嬢様が見ることのできないこの盛大な成人式は、この私めが代わりに見届けておりますから…

次男の勛が無邪気に、そして期待に胸を膨らませて言います。

きっと喜んでくれるだろうな!

嫉妬の炎と最後の悪意

その華やかな光景を、家の離れたところで一人、羨ましそうに、そして憎しみに満ちた目で見つめている月がいました。

これ全部、本当は私のものだったはずなのに…。ナムグン・ビョル…もし帰ってきたら、絶対に許さないんだから…

待ち人、来たらず

しかし時間は無情にも過ぎていきます。星はいつまで経ってもその姿を現しません。

三男の哲が苛立ちを隠せずに呟きます。
遅いな…一体何をしているんだ

長兄の珉もまた不安そうな表情で言います。
やはり今すぐ許しを乞うというのは、あまりにも厚かましい願いだったのだろうか…

まさにその時でした。玄関の方で誰かがドアを開ける音がしました。

ビョル!

家族全員が一斉にその方向を振り返ります。星が帰ってきたのか?その淡い期待が、彼らの心を一瞬駆け巡ります。

【さよならお兄ちゃん】第28話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回の第28話は、家族のどこまでもズレていて、そして自己満足に満ちた星への償いの形が描かれた回でした。彼らは高価なプレゼントを用意すれば、星の深く傷ついた心が癒えるとでも思っているのでしょうか。そのあまりにも浅はかな考え方には、もはや呆れるしかありません。

彼らが本当にすべきことは、そんな物質的な贈り物を用意することではなく、まず自分たちが星に対して何をしてきたのか、その罪の重さを本当の意味で理解し、そして心からの謝罪の言葉を準備することだったはずです。しかし彼らはまだ、その最も重要なことから目を背け続けているように見えます。

家政婦の「お嬢様の成人式は私が代わりに見ております」という心の声も、非常に印象的でした。彼女だけがこの滑稽な茶番劇の本質を見抜いている。そして彼女だけが星の本当の気持ちを代弁している。その冷徹な視点が、この物語にさらなる深みを与えています。

そして月の最後の悪意に満ちた独白。彼女はまだ自分自身の罪を全く反省しておらず、それどころか星への憎しみをさらに募らせているようです。この救いようのないキャラクターが、物語の最後にどのような役割を果たすのか、あるいは果たさないのか、気になるところです。

物語の最後に聞こえてきた玄関の物音。果たしてそれは本当に星なのでしょうか。それともまた別の残酷な真実を告げる誰かなのでしょうか。物語はいよいよ最終的な結末へと向かっていきます。

【さよならお兄ちゃん】28話のネタバレまとめ

  • 家族は星が今日こそは帰ってくると信じ、彼女を迎えるためにオーダーメイドの靴や外車、高級ジュエリー、そして家一軒といった豪華絢爛なプレゼントを用意していました。
  • そのあまりにも滑稽で自己満足に満ちた光景を、家政婦は冷ややかに見つめ、そして月は嫉妬と憎しみの炎を燃やしていました。
  • しかし星はいつまで経っても現れず、家族は次第に不安と焦りを募らせていきます。
  • 物語の最後、玄関の方で誰かがドアを開ける音がし、家族は星が帰ってきたのではないかと淡い期待を抱きます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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