【さよならお兄ちゃん】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 道で倒れた星は病室で目覚め、兄たちが心から心配してくれる優しい夢を見るが、現実にそばにいたのは家政婦だけだった。
- 唯一、家政婦だけが星を親身に心配し、彼女の好物であるワカメスープを差し入れる。
- 見舞いに来た両親は、隣室の月が目的であり、星の姿を見るなり「また演技しているのか」と冷たく突き放す。
- 星は、家族全員が隣の病室で月を囲み、楽しそうにしている様子を、月のSNSライブ配信で見せつけられ、絶望の涙を流す。
- そのライブ配信の最中、プロジェクトの難航に悩んでいた長兄・珉のもとに、「星眠計画の志願者が現れた」という吉報の電話が入る。
【さよならお兄ちゃん】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する
兄のプロジェクトを救う「志願者」が現れたという朗報。しかし、その志願者が誰であるかという最も重要な事実を知らない兄たちは、善意の仮面を被った無自覚な刃で、さらに深く南宮星(ナンゴン・ビョル)の心を傷つけていくことになります。第4話は、あまりにも悲劇的な「すれ違い」が、修復不可能な断絶を生む瞬間を描きます。
すれ違う兄妹の心
物語は、長兄・珉(ミン)が「星眠計画」の研究員と電話で話している場面から再開します。プロジェクトの成功を確信し安堵する一方で、彼はどうしてもその匿名の志願者のことが気になり、詳細な情報を聞き出そうとします。しかし、研究員は個人情報保護を理由に「規定ですので」と固く口を閉ざします。
「もし…志願者が孤児だった場合はどうしますか?」
研究員のその何気ない一言が、珉の心の奥底に眠っていた遠い記憶の扉を叩きます。それは、まだ幼かった星を薄暗い孤児院から引き取り、「今日からここがお前の家だ。俺たちが家族だ」と、心からの優しさで語りかけた、遠い日の思い出でした。
ほんの少し芽生えた罪悪感か、あるいは血の繋がりを超えた兄としての情が残っていたのか。珉は「少し、星の様子を見てくる」と、一人、月のいる賑やかな病室を後にしようとし、次兄・勛(フン)も「僕も行きます」とそれに続きます。
家族からの反発
しかし、その行動を、彼の家族が許しませんでした。
「正気か、珉!実の妹がここに苦しんでいるのに、あんな女のところへ行くというのか!」と父親は激昂し、まるで珉が敵陣に乗り込むかのような剣幕で捲し立てます。
そんな険悪な空気の中で、月はまるで聖女のように穏やかに微笑み、「星も何か大変なことがあったんでしょう。お兄様、私の挨拶も伝えておいてくださいね」と、物分かりの良い妹を完璧に演じながら、珉を送り出すのでした。
彼女のその偽善に満ちた言葉が、兄たちの心をさらに星から引き離し、「星を気にかけることは、月への裏切りだ」という罪悪感を植え付けていることに、その場にいる誰も気づいていません。
最悪のタイミングで生まれた誤解
その頃、星の病室では、彼女が唯一の味方である家政婦に、張り詰めていた心の糸を少しだけ緩め、胸の内を吐露していました。
「孤児院で育った私にとって、家族なんて想像もできませんでした。お兄様や父様、母様は、神様が私にくれた最高の贈り物のようでした。でも…」 星の声は、こらえきれない悲しみと、深い絶望に震えていました。
「甘い幻想を見せられた後には、苦い現実しか残りません。もしもう一度人生を選べるなら、私は…彼らの家族にはなりません」 それは、輝かしいほど幸せだった過去があるからこそ、現在の裏切りが何倍もの痛みとなって襲いかかってくるという、彼女の悲痛な叫びでした。
愛していなければ、そもそもこれほど傷つくことはなかったのです。しかし、運命の神はあまりにも無慈悲です。ちょうど病室のドアを開けようとしていた兄たちは、星の告白の、最後の「彼らの家族にはなりません」という決定的な部分だけを耳にしてしまうのです。
降りかかる理不尽な非難
「俺たちと家族として暮らした12年間が、そんなに嫌だったのか?」
三兄・哲(チョル)の、怒りと裏切られたという感情に満ちた声が静かな病室に響き渡り、星は全身が凍りつきます。兄たちは、星の言葉の文脈を完全に無視し、「自分たちとの12年間を心の底から後悔している」という、全く逆の意味で受け取ってしまいました。
「12年間、実の妹同然に、最高の環境を用意して育ててやったつもりだ。それがお前にとっては不満だったと、そう言いたいのか?」長兄・珉の冷たい言葉が、鋭い氷の矢のように星の心を突き刺します。
星は必死に「違うの!そういう意味じゃなくて…!」と弁解しようとしますが、一度色眼鏡で見てしまった彼らの耳には、もはやどんな真実の言葉も届きません。
あまりにも残酷な「朗報」
見かねた家政婦が「お嬢様は、ご自分の命よりもご家族のことを大切に思っておいでです!だからこそ…」と、星が「星眠計画」の志願者であることを明かそうとします。
しかし、星はそれを涙を浮かべながら首を横に振って止めさせます。
(もういいの…。どうせ私のことは嫌いなんだから、また一人に戻るだけだ…)
完全に心を閉ざし、すべての誤解と罪を一人で被ろうと覚悟を決めた、まさにその時でした。
「先生!南宮勛様の角膜移植の提供者が確認されました!」
医師が、信じられないといった様子の興奮した声で、衝撃の事実を告げに部屋へ飛び込んできたのです。長年、光を失っていた盲目の次兄・勛の目に、再び世界が映る可能性が出てきたという、奇跡的な知らせでした。
明かされる自己犠牲の真実
「兄さん、本当か!やっと俺の顔が見られるんだな!」と哲は無邪気に喜び、勛もまた、信じられないといった様子で喜びに打ち震えます。
そして、勛はすぐそばにいた星の方を向き、彼なりの優しさから、しかし結果的に最も残酷な一言を告げるのでした。
「南宮星、君が僕の目になる必要なんて…もう、ないんだ」
その言葉を聞き、すべての感情を押し殺した星は、ただ「…よかった」と静かに呟くことしかできませんでした。彼女の脳裏には、鮮明に二つの記憶が蘇っていました。
一つは、事故で光を失い絶望の淵で怯える幼い勛に「怖がらないで、お兄ちゃん。私がずっとそばにいて、お兄ちゃんの目になるから」と、純粋な心で約束した遠い日のこと。 そしてもう一つは、数日前の「星眠計画」の研究室での、担当者との密かな会話でした。
「私がカプセルに入って、法的に死亡が確認されたら…私の角膜を、次兄の南宮勛に寄贈してください。これが、私の最後の願いです」 そう、次兄にもたらされた突然の「奇跡」は、星が自らの命と未来のすべてを犠牲にして作り出した、悲しい贈り物だったのです。
祝福されるべき二つの「祝い事」
「よかったじゃないか。今日はうちに祝い事ばかりだな」珉は、先ほどの星とのいさかいなど些細なことだと言わんばかりに、上機嫌で言います。
「兄さん、そうだ!3日後にうちで盛大にパーティーをしよう。こんなにいいことが二つも重なったんだから!」哲の提案に、兄たちは皆、心から賛成します。彼らが祝おうとしている二つの祝い事とは、「星眠計画の志願者が見つかったこと」と「勛の角膜の提供者が現れたこと」。
そのどちらもが、目の前で静かに佇む星一人の犠牲によってもたらされたものだとは、夢にも思わずに…。
(よかった…。3日後は私の19歳の誕生日だけど、もう誰も覚えていないよね…)
(志願者と提供者が私だと知ったら、少しは心を痛めてくれるかな…)
そんな星の悲しく、そして僅かな期待を込めた心の声など、歓喜に沸く兄たちには聞こえません。そして、長男の珉は最後に追い打ちをかけるように、無邪気な笑顔で星にこう告げるのです。
「そうだ、星。お前もパーティーに参加しろよ。何しろこの『星眠計画』は、お前の名前(星)で始まった、特別なプロジェクトなんだからな」 そのあまりにも無慈悲な皮肉に、星はもはや何の感情も浮かべることができず、ただ虚空を見つめるのでした。
【さよならお兄ちゃん】4話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回の第4話を読み終えて、ただただ言葉を失いました。これほどまでに残酷で、救いのない「すれ違い」と「善意の踏みにじり」があるでしょうか。物語の核心に触れる重要な回であり、同時に、読者の心をこれでもかというほど折りにかかる、精神的に非常に厳しい回でした。
星の「もう一度選べるなら家族にはなりません」というセリフ。あれは、深く愛していたからこそ出てきた裏返しの言葉であり、悲痛な叫びです。しかし、それが最悪の形で誤解されてしまうシーンは、胸が張り裂けそうでした。弁解すればするほど深まっていく溝、誰一人として信じてくれない絶対的な孤独。見ているだけで息が詰まるような展開です。
そして、角膜移植の件。兄たちが無邪気に喜べば喜ぶほど、その「奇跡」の裏側にある星の壮絶な自己犠牲が浮き彫りになり、涙が止まりませんでした。特に、次兄・勛の「君が僕の目になる必要はもうない」というセリフは、彼自身は善意から発した言葉だとしても、真実を知っている我々読者からすれば、これ以上ないほどに残酷に響きます。
星が一体どんな思いでその言葉を聞いていたかを想像すると、本当にやりきれない気持ちになります。 最後のパーティーの提案は、もはや喜劇を通り越して、悪夢のような悲劇です。星の誕生日であり、彼女が社会的に「死ぬ」と決めたその日に、彼女自身の犠牲を祝うためのパーティーが開かれる。この地獄のような状況を前に、星に「参加しろ」と無邪気に言う兄たちの姿に、深い憤りとやるせなさを感じずにはいられませんでした。
【さよならお兄ちゃん】4話のネタバレまとめ
- 長兄・珉は「星眠計画」の志願者が孤児かもしれないと聞き、わずかな良心から星の様子を見に病室へ向かう。
- 星が家政婦に「もう一度選べるなら(愛していたからこそ辛いので)彼らの家族にはならない」と本心を吐露した最後の一部だけを兄たちに聞かれ、12年間を否定されたという決定的な誤解を生んでしまう。
- 兄たちが星を一方的に問い詰めている最中、盲目だった次兄・勛の角膜提供者が見つかったという奇跡的な朗報がもたらされる。
- しかし、その角膜の提供者とは、自らの冷凍睡眠(≒死)と引き換えに臓器提供を申し出ていた星自身だったことが、読者にのみ明かされる。
- 兄たちは真実を何も知らないまま、「志願者」と「角膜提供」という二つの祝い事のために、3日後(星の誕生日であり、計画実行の日)に盛大なパーティーを開くことを決めてしまう。
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