【さよならお兄ちゃん】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 長兄・珉は「星眠計画」の志願者が孤児かもしれないと聞き、わずかな良心から星の様子を見に病室へ向かう。
- 星が家政婦に「もう一度選べるなら(愛していたからこそ辛いので)彼らの家族にはならない」と本心を吐露した最後の一部だけを兄たちに聞かれ、12年間を否定されたという決定的な誤解を生んでしまう。
- 兄たちが星を一方的に問い詰めている最中、盲目だった次兄・勛の角膜提供者が見つかったという奇跡的な朗報がもたらされる。
- しかし、その角膜の提供者とは、自らの冷凍睡眠(≒死)と引き換えに臓器提供を申し出ていた星自身だったことが、読者にのみ明かされる。
- 兄たちは真実を何も知らないまま、「志願者」と「角膜提供」という二つの祝い事のために、3日後(星の誕生日であり、計画実行の日)に盛大なパーティーを開くことを決めてしまう。
【さよならお兄ちゃん】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する
パーティーまで、あと3日。その運命の日は南宮星(ナンゴン・ビョル)の18歳の誕生日であり、同時に、彼女がこの世から法的にその存在を消し去る日でもあります。第5話で描かれるのは、そんな彼女の凍てついた心に差し込んだ、あまりにも儚い一筋の希望の光と、それを無慈悲に、そして徹底的に打ち砕く更なる絶望の物語です。
淡い期待と、過去の約束
長い沈黙が支配する車で病院から自宅に戻った星と家政婦。彼女たちを玄関で出迎えたのは、リビングのテーブルにぽつんと置かれた、一足の息をのむほど綺麗なハイヒールでした。
まるでシンデレラの物語に出てくるガラスの靴のように、上品な光沢を放ちきらきらと輝くその靴を見て、家政婦は心からの喜びの声を上げます。 「まあ、なんて素敵な!若様たちが、お嬢様のために誕生日のサプライズを用意されたのですね!」 これほど心のこもった贈り物をするのなら、きっと兄たちも星を大切に思っているに違いない。
家政婦は、これで星も「星眠計画」への志願を考え直してくれるだろうと、胸をなでおろします。星の脳裏にもまた、その靴に繋がる、忘れられない温かい記憶が鮮やかに蘇っていました。
忘れられない長兄の言葉
それはまだ、家族が本当の家族だった頃。幼い星に、長兄・珉(ミン)がかけてくれた、優しく、そして甘い約束の言葉でした。
「星が18歳になったら、君のために世界で一つだけの手作りの靴をプレゼントしてあげる。それを履けば、君は世界で一番輝くお姫様になれるよ」
テーブルの上のハイヒールは、あの時の約束の証かもしれない。兄たちは、まだ私のことを覚えていてくれたのかもしれない。星の心に、この数週間で初めてとなる、淡く、しかし確かな期待が芽生えるのです。
シンデレラの靴と、残酷な現実
しかし、そのか細い期待は、星が靴のサイズを確認した瞬間に、音を立てて砕け散ります。靴は、星の足には明らかに大きすぎました。それは、彼女がもはやこの家の「シンデレラ」ではないという、残酷な物理的な証明のようでした。
そして、運命の悪戯は続きます。最悪のタイミングで、実の妹・月(タル)と家族たちが、楽しげな笑い声を響かせながら帰宅するのです。 星がその靴を履いているのを見るや否や、月は獲物を見つけた獣のように目を吊り上げ、甲高い声で彼女を罵倒し始めます。
「なんでいつも人のものを勝手に触るの!?珉お兄様が私のために、心を込めて作ってくれた大切な靴なのに、あなたのせいで汚れたじゃない!」
月のヒステリックな言葉に、三兄・哲(チョル)も冷たい声で続きます。
「勘違いするのも大概にしろ。この家にあるものが、全部お前のものだとでも思っているのか?」
彼らの容赦ない言葉は、星の中に芽生えた最後の希望の芽を、根元から引きちぎるように粉々に打ち砕きました。
(私の勘違い…?それとも、あなたたちが簡単に、大切な約束を忘れてしまうだけ…?)
星の心の中で、悲しい問いかけが響きます。
豹変する月と、家族の非難
家族の前では、月は再び哀れな被害者の仮面を被ります。「私は大丈夫…。妹がそんなに喜んでくれるなら、この靴、あげるよ。どうせ私なんて、こんなに綺麗な靴を履く資格もない、病弱な人間だものね…」。
そのあまりにもしおらしい、計算され尽くした姿に、母親は「あなたこそ私のたった一人の娘よ!」と月を強く抱きしめ、父親は氷のような眼差しで星を睨みつけ、「星、今すぐ月に謝れ!」と冷たく、そして絶対的な命令を下すのです。
忘れ去られた言葉たち
父親からの理不尽な命令に、星はまた別の、幸せだった過去の記憶を思い出していました。それは、クリスマスの日に「プレゼントより、家族みんながずっとずっと一緒にいられたら、それが一番嬉しいな」と願った幼い自分を、「うちの星は本当に優しい子だなあ」と、大きな手で優しく頭を撫でてくれた父の温かい姿でした。
(過去の思い出を引きずって、大切にしているのは、私だけなの…?私にとっては、あなたたちだけが、私のたった一つの家族だったのに…)
かつて交わした温かい言葉も、向けられた優しい笑顔も、すべて忘れ去られてしまった。この家で、自分だけが過去という牢獄に囚われている。そのどうしようもない孤独感が、星の心を完全に支配します。
最後の屈辱と、暴かれる「死」の証明
家政婦が「お嬢様、そんなことをする必要はありません!」と止めようとするのを静かに制し、星は自ら冷たい床に膝をつくと、汚れてもいない真新しい靴を、着ていた制服の裾で丁寧に、そしてゆっくりと拭き始めました。
それは、彼女に残された最後の、そしてあまりにも惨めな誠意の示し方であり、プライドを完全に捨て去った降伏の証でした。
「もういい、やめろ。見ていて見苦しい。次はないぞ」 冷たくそう言い放ったのは、かつて彼女に靴を約束してくれたはずの、長兄・珉でした。
(ごめんなさい、お兄ちゃん。でも、悪いけど、もう私に『次』はないわ…)
星は心の中で、誰にも聞こえない最後の返事をします。「星眠計画」に参加し、この世から消える彼女に、もう「次」という未来はないのですから。
月が「この靴、3日後のパーティーで履いていくわ!」と勝ち誇ったように笑い、珉が「そんなに欲しければ、お前の分の靴も後で適当に作ってやる」と空々しい優しさを見せた、まさにその時でした。
「いつまでもいい子ぶりやがって!」星のその惨めな態度に苛立ちを募らせた三兄・哲が、彼女の手を荒々しく振り払います。 その瞬間、星が胸に抱えていたファイルが床に落ち、留め具が外れて中の書類が辺り一面に音を立てて散らばりました。
先ほどまでの喧騒が嘘のように静まり返る部屋の中、家族全員の視線が、床に散らばった書類に注目が集まります。 それは、星が自らの命と引き換えに、兄のプロジェクトを救い、兄に光を贈ろうとしている、動かぬ「死」の証明書でした。
【さよならお兄ちゃん】5話を読んだ感想(ネタバレあり)
希望の頂点から絶望のどん底へ。第5話は、その落差があまりにも激しすぎて、読み進めるのが本当に辛い回でした。あの美しく輝くハイヒールが、最初は星にとって過去の愛情を再確認する希望の象徴に見えたのに、次の瞬間には彼女の尊厳を貶めるための道具へと変わってしまったのが、あまりにも残酷です。
誰もが知るシンデレラの物語とは真逆の、悪意に満ちた結末でした。 今回、特に心を抉られたのは、長兄と父親との二つの回想シーンです。彼らが、かつてはどれだけ深く、そして純粋に星を愛していたかが描かれるからこそ、現在の彼らの豹変ぶりと冷酷さが際立ちます。愛する対象が「血の繋がった本物」というだけで、人はここまで変わってしまうものなのでしょうか。
星の「過去を引きずっているのは私だけ?」というモノローグには、共感と痛みで涙が止まりませんでした。 そして、星が床に膝をついて靴を拭くシーン。彼女のプライドも、ささやかな自尊心も、何もかもが家族の目の前で踏みにじられていく様は、思わず目を背けたくなりました。
長兄・珉の「次はないぞ」という言葉は、真実を知らないが故とはいえ、これ以上ないほど無慈悲な響きを持っていました。 最後の「死亡証明書」が散らばるクライマックスは、息をのむほど衝撃的でした。
ついに、星が抱えていた悲しくも重い決意が、家族の目の前に物理的な証拠として突きつけられたのです。彼らはこの「死の証明」を見て、何を思うのでしょうか。ここでようやく自分たちの犯してきた過ちの大きさに気づくのか、それともこれもまた星の気を引くための「演技」だと罵るのか…。物語が大きく、そして後戻りできない方向へ動き出すであろう次回が、怖くもあり、同時に待ち遠しくもあります。
【さよならお兄ちゃん】5話のネタバレまとめ
- 家に帰った星は、サプライズで置かれていたハイヒールを見つけ、長兄・珉が過去に交わした「18歳の誕生日に靴を贈る」という約束を思い出し、一瞬だけ期待を抱く。
- しかし、その靴は月のために用意されたものであり、星は家族全員から「勘違いも甚だしい」と激しく罵倒され、最後の希望を打ち砕かれる。
- 過去の温かい家族の記憶と現在の冷酷な態度のギャップに苦しむ星は、床に膝をついて靴を拭くという屈辱的な行動で、精一杯の謝罪の意を示す。
- その態度に苛立った三兄・哲が星の手を荒々しく振り払った際、彼女が持っていたファイルが床に落ち、中から「死亡証明書」と記載された書類が散らばってしまう。
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