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【さよならお兄ちゃん】7話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 床に散らばった「死亡証明書」は、星の必死の行動により、幸いにも兄たちに見られずに済んだが、彼女の心は完全に閉ざされてしまう。
  • 星は自室に戻るが、その部屋はすでに月に乗っ取られており、彼女の私物は全て撤去されていた。
  • 兄たちは、そんな月の身勝手な行動を全員一致で肯定し、星を部屋から追い出し、代わりの部屋として電気もつかない物置をあてがう。
  • 三兄・哲は、抵抗しようとする星に対し、「こじきのお前を引き取ってやったんだ、身分をわきまえろ」と、家族として過ごした12年間を完全に否定する暴言を吐く。
  • 暗い物置に追いやられた星は、自分のわずかな私物の中から、何かかけがえのない大切なものである「チャプサリ」がなくなっていることに気づき、愕然とする。

【さよならお兄ちゃん】第7話をネタバレありでわかりやすく解説する

物置部屋で星(ビョル)が必死に探していた「チャプサリ」。その名前が示すものの正体は、かつて三兄・哲(チョル)が「お前も一人じゃ寂しいだろう」と、彼女のためにプレゼントしてくれた、純白の毛を持つ小さな子犬――チャプサリだったのです。

星にとって、それは単なるペットではなく、変わり果てたこの家で唯一心を許せる、最後の家族でした。しかし、この小さな命の存在が、物語をさらに深く、そして暗い悲劇の淵へと引きずり込んでいきます。

傷だらけの手と、隠された真実

「こんな酷い怪我をしていたのになんで今まで言わなかったんだ?」

長兄・珉(ミン)の、心配と咎めるような響きが混じった声が、重苦しいリビングの静寂を破ります。ソファに座る月(タル)の白く細い腕には、まるで鋭い何かで乱暴に引っかかれたような、痛々しい傷跡が何本も走っていました。

月は大きな瞳に涙を溜めながら「みんなに迷惑をかけたくなかったの」と、か弱い声で答えます。その完璧に計算され尽くした健気な姿は、兄たちの保護欲をこれ以上なく刺激するには十分すぎるものでした。

そこへ、チャプサリの姿が見えないことに気づいた星が「チャプサリ見なかった?」と何気なく尋ねると、その一言が引き金となり、三兄・哲の顔が怒りで見る見るうちに歪みます。

「あのクソ犬を今更探してどうするつもりだ?月をこんな目に合わせたんだ、見つけたら二度と逆らえないように、きっちりしつけてやる」

その冷酷な言葉に、星の心臓は氷水に浸されたかのように凍りつきました。チャプサリは、決して人をむやみに傷つけるような犬ではありません。むしろ、星が家族の中で孤立し、一人涙を流す夜、その温もりで唯一寄り添ってくれた、かけがえのない家族でした。

変わってしまったものたち

「チャプサリが本気で人を噛むのを、お兄ちゃんは見たの?忘れたの?あの子は、お兄ちゃんが私にくれた大切なプレゼントでしょう」

星の必死の弁明にも、哲は鼻で笑い、冷たく言い放ちます。

「人間だって状況次第で簡単に変わるんだ。犬だって同じだろう」

その言葉は、まるでかつての優しさを捨て、星を冷たく突き放す自分たち兄弟の変貌ぶりを正当化するかのようでした。

(そうね、何もかも変わってしまったわ。チャプサリをこの家に連れてきたのは、寂しがる私を思ってくれたお兄ちゃんたち本人よ。この家で愛されないのは、どうやら犬だけじゃないみたいだけど)

星の心に浮かんだ思いには、自分自身のあまりにも惨めな境遇への、痛烈な皮肉が込められていました。 そして彼女は、兄たちに背を向け、揺るぎない決意を込めてはっきりと告げます。「そう。だから、見つけたら私が責任を持ってこの家から連れて出ていくわ」

ゴミ箱の中の悲劇

兄たちが月の手当てのために部屋を去った後、星は屋敷を飛び出し、必死でチャプサリを探し始めます。日が落ちて冷たい空気が肌を刺す暗い夜道を、彼女は息を切らしながら、ただひたすらに走り回るのでした。頼りになるのは、等間隔で立つ街灯の、頼りない薄明かりだけでした。

「チャプサリ…どこにいるの…チャプサリ…」 何度も名前を呼び続け、声は次第に掠れていきます。そして、星は住宅街の裏手にあるゴミ集積所の前で、不吉な予感に導かれるように足を止めます。

「あっ…!」 ゴミの山の中に、見慣れた白い毛玉が転がっていました。それは、無惨な姿で冷たく横たわるチャプサリでした。小さな体は完全に硬直し、もう二度と嬉しそうに尻尾を振ることはありません。星は崩れ落ちるようにその場にひざまずき、まだ微かに温もりが残るその亡骸を、震える手で胸に強く抱きしめました。

「私には…もう、あなたしかいないのに…」 堰を切ったように涙が溢れ、止まりません。家族に裏切られ、思い出も居場所もすべてを奪われた彼女にとって、チャプサリだけが最後の心の支えであり、無償の愛をくれる唯一の存在だったのです。

「私のプレゼント、気に入ってくれた?」悪魔の囁き

「ねえ、そんなに悲しまないで」 背後からかけられた、あまりにも場違いなほど優しげな声。白いハンカチが、そっと星の目の前に差し出されます。涙で濡れた顔を上げると、そこには心から心配しているかのような、悲しげな表情を浮かべた月が立っていました。

しかし、星がハンカチを受け取ろうとした次の瞬間、月は悪戯っぽく微笑むと、星の耳元にその顔を寄せ、まるで蜜を垂らすかのような甘い声で、悪魔のような囁きを漏らします。

「私のプレゼント、気に入ってくれた?」

その言葉の意味を理解した瞬間、星の中で、かろうじて保っていた理性の糸がぷつりと切れました。 「あんたなの?あんたがチャプサリを…!」 怒りと悲しみが制御不能な奔流となって爆発し、星は月に掴みかかります。しかし、そのタイミングを完璧に見計らったかのように背後から兄たちが現れ、月は一瞬にして怯える被害者の仮面を被るのでした。

完璧に仕組まれた罠

「どうしたんだ、騒がしい…チャプサリは見つかったのか?」

次兄・勛(フン)の問いかけに、星は憎悪に震える声で訴えます。

「お兄ちゃん…こいつが…こいつがチャプサリを殺したの!」

しかし、月はさらに涙を浮かべながら、か細い声で反論します。

「ひどい…何言ってるの?なんで何でもかんでも私のせいにするの?」

そして彼女は、まるでマジシャンが切り札を見せるように、おもむろにバッグの中から、小さな薬瓶がいくつも詰まったポーチを取り出しました。

「これはあんたの部屋のベッドの下にあったものでしょ?」

星の顔が急速に青ざめていきます。全く見覚えのない薬瓶。しかし、月は畳み掛けるように続けます。「あんたがチャプサリに、この毒を少しずつ飲ませていたのね。なんて残酷なことを…」

「何で私がそんなことする必要があるのよ!」 星の必死の否定も虚しく、月は勝ち誇ったように、そして心の底から軽蔑したような瞳で言い放ちます。「じゃあ、なんでこの毒薬が、あんたの部屋から出てくるわけ?自作自演までして、私に濡れ衣を着せようってわけ?」

信じてもらえない絶望

「濡れ衣?本当か、南宮星」

兄たちの冷たく、疑いに満ちた眼差しが、何本もの鋭い矢のように星に突き刺さります。

「私じゃない!本当に私じゃないの!ねえ、お願いだから信じてよ、お兄ちゃん!」

しかし、三兄・哲の返答は、彼女の最後の希望を打ち砕くには十分すぎるほど冷たいものでした。「なんにせよ、飼い主であるお前の管理責任だ。そんなに欲しけりゃ、新しいのを買ってやる。もう遅いから家に戻ろう」 そのあまりにも無神経な言葉に、星は魂が抜けたように、静かに呟きます。

「私に、戻る場所なんてどこにもない」

最後の味方さえも

兄たちが冷たく背を向けて去った後、極度の精神的ストレスから、星は持病の喘息の発作に襲われます。胸を強く押さえ、苦しそうに浅い呼吸を繰り返す彼女。散らばった自分の荷物の中から、必死で吸入器を探しますが、パニックでなかなか見つかりません。

そこへ、忘れ物でも取りに来たかのように、月が一人で戻ってきました。彼女は地面に転がっている吸入器を見つけると、それを拾い上げるどころか、憎悪に満ちた表情で無情にもハイヒールの踵で踏みつけ、粉々に破壊しました。

「あんたには、吸う酸素さえもったいないわ」

氷のように冷たい言葉と共に、月は満足げに部屋を後にします。酸素が脳に行き渡らず、意識が遠のいていく中、星の脳裏に浮かんだのはチャプサリの姿でした。

(チャプサリ…ちょっとだけ、待ってて。今すぐ、私もそっちに行くから…)

一方、リビングでは兄たちが、戻ってこない星の不在をいぶかしげに気にかけていました。

「星はまだ帰ってこないのか」「哲、お前、なんで星を叩いたんだ。昔はあんなに甘やかしてたくせに」「兄さん、だってあいつが先に――」

兄弟が言い争いを始めた、まさにその時。窓の外で、何かが地面に強く打ち付けられるような鈍い音がしました。三兄弟が慌てて庭に駆けつけると、そこには意識を完全に失い、冷たい地面に倒れている星の姿があったのです。

【さよならお兄ちゃん】7話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、これまでも数々の試練に耐えてきた星から、最後の心の支えであるチャプサリまでもが奪われる、あまりにも残酷で救いのない回でした。チャプサリの死は、単なるペットの死という枠を遥かに超えています。

家族というコミュニティから完全に見捨てられた星にとって、唯一無条件の愛を注いでくれた存在、自身のアイデンティティの一部でもあった存在の喪失です。 月の悪意は、もはや常軌を逸しており、サイコパスと呼ぶに相応しいレベルに達しています。

罪のない子犬を惨殺し、その罪を星本人に着せ、さらには持病の喘息で苦しむ彼女から最後の命綱である吸入器まで奪う。これはもはや、単なる嫌がらせではなく、明確な殺意を持った殺人未遂と言っても過言ではありません。

それなのに、社会的地位も知性もあるはずの兄たちが、月の稚拙ともいえる演技に騙され続け、目の前にある真実から頑なに目を背けている姿は、もどかしさを通り越して憤りを感じます。

特に印象的だったのは、星が兄たちに向けた「この家で愛されないのは犬だけじゃないみたいだけど」という心の声です。自分自身も、愛玩動物であるチャプサリと同じように、この家では不要な存在として扱われているという、彼女の悲痛な叫びが込められており、胸が締め付けられました。

最後に倒れた星を、兄たちは今度こそ助けるのでしょうか。それとも、またしても月の巧妙な演技に騙されて見捨てるのでしょうか。星の「チャプサリ、今すぐそっちに行くから」という言葉が、単なる意識朦朧の中での呟きではなく、取り返しのつかない現実にならないことを祈るばかりです。

【さよならお兄ちゃん】7話のネタバレまとめ

  • 月が腕に自らつけた傷を見せ、チャプサリに襲われたと嘘の訴えをする。それを信じた兄たちは激怒し、チャプサリへの憎悪を募らせる。
  • 星はゴミ集積所の中で、何者かによって毒殺されたチャプサリの冷たい亡骸を発見し、絶望のあまり泣き崩れる。
  • 月は星の耳元で「私のプレゼント、気に入った?」と囁き、自分がチャプサリを殺した犯人であることを暗に認め、星を挑発する。
  • しかし月は、星の部屋に毒薬を隠すなど巧妙に証拠を捏造し、星がチャプサリを殺した犯人であるかのように見せかけることに成功する。
  • 精神的ショックから喘息の発作で苦しむ星から、月は唯一の命綱である吸入器を奪い、目の前で踏みつけて破壊する。
  • 助けを求めることもできず意識を失った星が、庭で倒れているところを、異変に気づいた兄たちが発見する。

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コマさん(koma)
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野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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