【じゃああんたが作ってみろよ】17話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 第16話では、勝男(かつお)が友人の結婚式に出席し、自身の過去のモラハラ的な行動を友人たちに指摘され、深く反省しました 。
  • 実家に帰省した勝男は、母親の手料理を食べながら初めて労をねぎらい、感謝を伝えます 。
  • 父親との対話で、初めて家事分担について意見し、自身の変化を見せました。
  • 疎遠だったもう一人の兄・虎吉(とらきち)に連絡を取り、「ラクテンチ行こうぜ!」と誘われます 。
  • 虎吉は、幼い勝男に「疑ったり、自分で考えて判断していい」と教えてくれた、勝男にとって重要な存在でした 。

【じゃああんたが作ってみろよ】第17話をネタバレありでわかりやすく解説する

兄・虎吉からの突然の誘いで、地元の遊園地「ラクテンチ」へ行くことになった勝男。第17話は、虎吉とその家族との交流を通じて、勝男がさらに新しい価値観に触れ、家族について深く考える物語です。

ラクテンチでの再会 – 虎吉とその家族

ラクテンチで勝男を待っていたのは、兄・虎吉だけでなく、彼の妻・メグミと娘・**真鳥(まとり)**でした。勝男は、元カノ(鮎美)とだいぶ前に来たきりのラクテンチに、少し気まずさを感じます

虎吉一家の姿は、勝男の想像とは少し違っていました。 メグミは髪を刈り上げ、真鳥は男の子のような短髪にボーイッシュな服装 。勝男は「しかしこの家族 すごいイメチェン…!」と驚きますが、同時に「でも みんな髪形 似合ってる」とも感じます 。 メグミは、真鳥が短髪にしたがったので、自分もおそろいにしたと説明します

虎吉の悩み – 真鳥のこと

虎吉は勝男に「最近実家 帰ってないんやろ?」「母さんから 帰るよう説得しろ とか言われたんか?」と尋ねますが、勝男はそれを否定します 。 ラクテンチ名物のケーブルカーに乗り、景色を眺めていると、虎吉は「なんか あったの?」と勝男の悩みを聞き出そうとします 。勝男が口ごもっていると、話題は真鳥のことへ。

大吊り橋にやってくると、真鳥は「かつお ビビっちょんの?」「おとこのくせに!」と、勝男をからかいます 。 しかしメグミは、「男とか女とか 関係なく怖い人は怖いんよ」「真鳥だってそういうこと 言われたらやでしょ?」と娘を諭し、勝男に「かつおごめんね!」と謝ります 。 勝男は「べつに大丈夫だ!」と強がりますが、高所恐怖症の彼は内心怯えていました

元カノとの思い出と、現在の寂しさ

吊り橋を渡った先の休憩所で、勝男はかつて鮎美とここに来たことを思い出します 。 怖がる勝男を見て「意外でかわいくて!」とはしゃいでいた鮎美 。子供のようにはしゃぐ彼女がかわいかったこと 。あの頃は何の不安もなかったこと 。 「懐かしんでる 鮎美も」「寂しそうな 鮎美も」「全部が」愛おしかった。勝男は、再び鮎美への想いを募らせます。

そんな勝男の様子を見て、真鳥が「や ないてるの?」と心配します。勝男は慌てて否定しますが、真鳥は「うちがおとこのくせにとか いったからよね? ごめんね」と素直に謝ります 。そして、「だれかが いってたの マネしただけで ほんとの きもちじゃないよ」と付け加えます 。勝男は、子供ながらに他者を気遣う真鳥の優しさに触れます。

観覧車での告白 – 真鳥の性自認

次に一行は観覧車へ。高所恐怖症の勝男は及び腰ですが、「まあ これなら」と乗り込みます 。 しかし、観覧車に乗ったのは勝男と虎吉の二人だけでした 。 気まずい雰囲気の中、虎吉は「真鳥のこと どう思った?」と尋ねます。「えー 元気で良かったなって あと うーん 男の子みたい?」と答える勝男

すると虎吉は、真鳥がある日、「きょうから「ぼく」って いっていい?」と聞いてきたことを打ち明けます 。友達に「おんななのに「ぼく」は おかしい」と言われたけれど、「でも「わたし」って なんかちがうの」と 。 「それって真鳥は男の子に なりたいってこと?」と尋ねる勝男に、虎吉は「もしかしたらな」と答えます 。 「でも子供だし気の迷いかも」「もしかしたらな」「可能性はある

虎吉は続けます。「今だけかもしれないし それが本当の 真鳥かもしれない」「男でも女でも ないかもしれない。 そして、「真鳥は これから きっと たくさん 悩むと思う」と語り、親としての深い悩みを吐露します。 「真鳥に傷ついて ほしくないし 傷つけるような世の中で あってほしくないけど」「せめて身内が 傷つけるようなことは したくないんよ

鷹広への理解と、勝男への信頼

虎吉は、自分たちの両親(勝男たちの両親でもある)が「女の子はピンク 男の子は青って タイプだろ」と、古い固定観念を持っていることに触れ、「鷹広もさ」と、もう一人の兄の話を始めます 。 鷹広もまた、若干その気(古い価値観)があるけれど、最近は反省しているようだ、と 。そして、「それに今朝 メッセージ貰った時 もしかして 勝男なら わかってくれるかなっち 思ったんよ」と、勝男にこの話を打ち明けた理由を語ります 。 勝男は「そっか」と、兄からの信頼を感じます

虎吉は、「真鳥だって 今後とまどうことが 多いはずやから」「安心して 悩んだり 決断できるように できるだけ 先回りして 準備しておきたいんよ」と、親としての覚悟を語ります

虎吉夫妻の愛情弁当と、勝男の気づき

観覧車を降りると、メグミと真鳥が手作りのお弁当を広げて待っていました。 「遅くなっちゃったけど お昼にしよっか」。メニューはバインミー(ベトナム風サンドイッチ)。 勝男は「なんて ハイカラな弁当!」と驚きます

メグミは「いっぱい作りすぎたけん 勝男くん来て良かった〜」と勝男を歓迎します 。 勝男はパクチーが苦手なのですが、恐る恐る口にすると、「うまい!」「ピクルス?の 甘酸っぱさが レバー独特の風味を カバーしてるし」「パクチー苦手だけど 不思議とうまい!」と、その美味しさに感動します

虎吉が「つべこべ言わずに食えよ」と言うと、勝男は「いや 細かい感想を 伝えたほうが 喜びが伝わるかと」と反論 。メグミも「たしかに味の 感想はうれしいわー」と同意します 。 勝男は「そうなのか!!」「親父を反面教師に しすぎていたか…」と、父親の無愛想さとは逆の行動を取ろうとしていた自分に気づきます

父への誤解と、「気づくチャンス」

さらに勝男は、父親が母親の料理を細かく評価していたことを思い出します。「茄子の 食感が悪いし 色も汚い」「この煮物は 料亭の味に 近づいて来たな」など 。勝男はそれを「うざかった」と感じていましたが、虎吉の「つべこべ言わずに食えよ」という言葉や、メグミの「感想はうれしい」という言葉を聞いて、父の行動も不器用な愛情表現だったのかもしれない、と気づき始めます。 「作って もらったらまず 大きな感謝やろ!!」という虎吉の言葉に、勝男は「そっか…」と深く頷きます

勝男は、自分が無意識のうちに父親のマネをしていたこと、そしてそれが原因でフラれたのかもしれない、と自己分析します 。 「自分の家庭で 行われている ことが『常識』だと 思っていて 他人に 押しつけていたの かもしれない」 。 「もし誰かを傷つける 『常識』に まだ気づけて いなかったら?」

虎吉は勝男の葛藤を見抜き、「かつおは かつおだから」「だいじょうぶ」と優しく声をかけます 。そして、「気づけたら変われる チャンスやね」と、彼の成長を肯定するのでした

新たな決意 – 自分らしく

虎吉一家と別れ、一人帰り道を歩く勝男。 「やっぱり まだ会わせる 余裕ないんよな」と、虎吉が両親に真鳥のことを話せないでいる状況を思いやります 。 「でも寂しそうでは あったんよね」 。 「それに… どうにかしなきゃ とは思っている」 。勝男は、兄が一人で抱え込まず、自分を頼ってくれたことを嬉しく思っていました。

勝男は図書館に立ち寄り、ジェンダーに関する本を手に取ります 。兄のため、そして真鳥のために、自分も理解を深めようとしているのです。「俺も正直 わからないこと だらけだけど 真鳥に俺も」「自信満々に 大丈夫って言ってやりたい

その時、携帯に椿(つばき)からメッセージが。「?」と思って開くと、それは別の人への誤送信でした。「ロケなら即切ろう」。勝男は少し呆れつつも、彼女との奇妙な友情を思い返します。 しかし次の瞬間、後輩のあみなから衝撃的なメッセージが届きます。「フラれたんです 男なんてクソッタレです」「またフラれたああああああ もう男無理〜〜〜。 波乱の予感と共に、物語は幕を閉じます。


【じゃああんたが作ってみろよ】第17話を読んだ感想(ネタバレあり)

第17話、ラクテンチという懐かしい舞台で、勝男くんが兄・虎吉さんと深く心を通わせる、非常に感動的な回でした。 虎吉さん一家のキャラクターが魅力的! メグミさんのサバサバしたかっこよさと、真鳥ちゃんの天真爛漫さ、そしてその裏にあるかもしれない繊細さ。勝男くんも言っていましたが、本当に素敵な家族ですよね。

観覧車での虎吉さんの告白は、重いテーマでありながら、勝男くんへの信頼があればこそ打ち明けられたのだと感じ、胸が熱くなりました。「男でも女でもないかもしれない」「せめて身内が傷つけるようなことはしたくない」という言葉には、親としての深い愛情と葛藤が詰まっていて、涙なしには読めませんでした 。勝男くんが、その想いを受け止め、自分も学ぼうと図書館へ向かう姿にも、彼の成長を感じます

そして、バインミー! とても美味しそうでしたね(笑)。パクチーが苦手な勝男くんが「うまい!」と感動するシーンは、彼が食わず嫌いを克服し、新しい味覚の世界を広げていることを示していて、嬉しくなりました

さらに、父親への見方が変わるきっかけになったのも大きいです。料理への細かい評価が、不器用な愛情表現だったのかもしれない、という気づき。勝男くんが長年抱えてきた父親へのコンプレックスが、少しずつ解きほぐされていくのかもしれません。

虎吉さんの「気づけたら変われるチャンスやね」という言葉は、この物語全体のテーマを象徴しているようにも感じました 。勝男くんは、たくさんの「気づき」を経て、確実に変わり続けています。 最後のあみなちゃんのヤケクソメッセージには笑ってしまいましたが、彼女にも何かあったのでしょうか? 次回も波乱がありそうですね!


【じゃああんたが作ってみろよ】第17話のネタバレまとめ

  • 勝男は兄・虎吉(とらきち)とその家族(妻・メグミ、娘・真鳥)と共に、地元の遊園地「ラクテンチ」へ行きます 。
  • 勝男は、虎吉一家の個性的な髪形や服装に驚きつつも、その在り方を自然に受け止めます 。
  • 吊り橋で高所恐怖症を真鳥にからかわれるも、メグミにフォローされ、過去の鮎美との思い出が蘇ります 。
  • 観覧車の中で、虎吉は娘の真鳥が自身の性自認(「ぼく」という一人称を使いたい)について悩んでいる可能性を勝男に打ち明けます 。
  • 虎吉は、親として真鳥を支えたいという想いと、古い価値観を持つ両親や兄・鷹広への葛藤を語り、「勝男ならわかってくれるかなっち 思ったんよ」と、勝男への信頼を示します 。
  • 昼食にメグミが作ったバインミーを食べた勝男は、その美味しさに感動し、苦手なパクチーも克服します 。
  • 料理の感想を伝えることの大切さを学び、父親の料理評価も不器用な愛情表現だったのかもしれない、と父親への見方が変化します 。
  • 自分が無意識に父親の「常識」を他人に押し付けていた可能性に気づき、反省します 。
  • 虎吉から「気づけたら変われるチャンスやね」と励まされ、勝男は前向きな気持ちになります 。
  • 勝男は、真鳥のためにジェンダーに関する本を読み、理解を深めようとします 。
  • そこへ後輩のあみなから「フラれた 男なんてクソッタレです」という衝撃的なメッセージが届きます 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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