【じゃああんたが作ってみろよ】4話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 第3話では、勝男の会社の後輩・南川あみな(みなみかわ あみな)が登場しました。
  • あみなの「結婚願望なし」「コークハイともつ焼きが大好き」という価値観は、勝男の古い「偏見」と激しく衝突します。
  • しかし勝男は、「やってみないとわからない」と自らもつ焼き屋を訪れ、「コークハイともつ焼き」の組み合わせを初体験。その美味しさを知り、自らの食わず嫌いを克服しました。
  • 勝男は、店で遭遇したあみなに「幸せも 人それぞれ」と語り、自身の成長を見せます。
  • あみなも、過去に「自分のために変わってくれなかった」彼氏との辛い経験を打ち明けました。
  • 互いに理解が芽生え始めた矢先、勝男は店に入ってきた元恋人・鮎美が、別の男性と一緒にいる衝撃的な場面に遭遇してしまいます。

【じゃああんたが作ってみろよ】第4話をネタバレありでわかりやすく解説する

第3話の衝撃的なラストシーン。なぜ鮎美はあの場所にいたのでしょうか。 第4話は、物語の視点が初めて**鮎美(あゆみ)**に移り、彼女が別れを決意するに至った「あの日」の出来事が、本人の視点から詳細に描かれます。

完璧だったはずの記念日

物語は、第1話で勝男との別れに繋がった「あの日」の回想から始まります 。 その日は、二人が付き合って6回目の記念日でした 。 鮎美は「勝男さんの 大好きなおかずを いっぱい作って・・・」 と、勝男のために料理の準備をしています。 そこに、勝男から「外食しよう!」というメッセージが届きます 。 「えっでも」と戸惑う鮎美 。しかし、勝男からの「今日しかないんだ」 という言葉を見て、彼女は「プロポーズかな」と、期待に胸を膨らませていたのです

運命を変えた美容室

場面は、その記念日の少し前、鮎美が美容室を訪れたシーンに移ります。 彼女にはお気に入りの美容師・竹崎(たけざき)がいました 。 しかしその日、竹崎は「出勤後に急に 体調が悪くなった」とのことで、早退してしまいます 。 鮎美は、竹崎を「話しやすくて 良かったんだけどな」 と評価しています。

なぜなら、彼は鮎美の「かわいさ」を完璧に理解していたからです 。 彼は、**「男の狩猟本能を くすぐる」**ツヤツヤの黒髪と揺れるカール 、そして、あえて整えすぎないことで「隙(すき)」を見せる「野暮ったい眉」 こそが、鮎美を最も魅力的に見せると理解していました。 この、男性に「モテる」ために完璧に作り上げられた姿こそが、「山岸鮎美」という彼女のアイデンティティだったのです

「あなたの普通」と「私の好き」

竹崎が早退したため、鮎美は代わりの美容師を担当されることになります 。 彼女の前に現れたのは、シルバーグリーンの派手な髪色をした 、「渚(なぎさ)」と名乗る女性でした 。 渚は「声でかっ」 「不思議ちゃん?」 と鮎美が感じるタイプで、同性が苦手な鮎美は「無理だよ〜」 と強烈な拒否感を覚えます。

鮎美が「私は普通で」 とオーダーすると、渚は「普通とは?と問いかけます。 そして、なんの前触れもなく、渚はこう質問しました。 「鮎メロって 好きな料理何?突然の質問と「鮎メロ」というあだ名に、鮎美は「はい?」と固まってしまいます

この質問こそが、鮎美の運命を決定づけるものとなります。 鮎美は答えに詰まり、「えーっと」 と考え込みます。 彼女が絞り出した答えは、「筑前煮・・・は」 というものでした。 しかし、彼女はすぐにその言葉を訂正します。 「ん〜 彼が好きだからよく作ります渚に「鮎メロの!」「好きな食べ物!」 と問いただされても、鮎美は自分の「好き」を答えることができませんでした。

「モテ」のために消した自分

なぜ鮎美は答えられなかったのでしょうか。 彼女の過去の回想で、その理由が明らかになります。 鮎美の夢は「恋愛の先にある 結婚そして家庭」「安定した人生」でした 。 彼女の母親は「かわいいだけじゃ ダメなの」 そのままの自分を 愛してもらおう なんて全然ダメと教えていました。 その教えの通り、鮎美は「友達なんて いらない!」 私はモテに 全ベットする!と決意します。

彼女はファッション誌を読み込み 、「お酒が強い 女子はNG!」 といった男性の好みを徹底的に研究しました。 その結果、鮎美のアイデンティティは「私は男の人や 勝男さんの 好きなもので できているという、他者の評価だけで作られたものになっていたのです。 彼女自身が「好きな食べ物」も「好きな色」も「好きな服」も、そこには存在しませんでした

一方、渚は「ありすぎて決められないや!」 と、小籠包、ホタテ、きゅうりの糠漬け、カレー塩、そして「もつ焼きも最高!と、自分の「好き」を生き生きと語ります。 鮎美が「くさいしあれの どこがいいんですか」 と顔をしかめても、渚は「でも私はそこが大好きなんだ!」 と笑い飛ばすのでした。

運命を狂わせた「あの夜」

渚に髪を切ってもらいながら、鮎美は自分の完璧な黒髪を見て、「なぜだろう 今私は猛烈に この黒髪を」「宇宙人色に 染めてみたいという衝動に駆られます。 それは、「モテ」のために抑え込んでいた彼女自身の「自我」が芽生えた瞬間でした。 渚は「鮎メロ!」「今度さあ 飲みに 行こうよ! 私の好きな 食べ物紹介するよ!」と彼女を誘います

鮎美は、この渚との出会いが「私の世界を 変えてしまうなんてと振り返ります。 そして、「あの夜」 、鮎美は渚と飲みに出かけました 。 これが第1話のラストでクラブにいた姿、第3話で居酒屋にいた姿に繋がります。 鮎美は、そこで出会った「彼」(第3話で勝男が目撃した男性)を思い浮かべ、「そして彼に 私の運命を 狂わされたというモノローグで、第4話は幕を閉じます。


【じゃああんたが作ってみろよ】第4話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、鮎美の視点から描かれる、非常に重く、そして切ない回でした。 第1話で勝男に別れを告げた鮎美。彼女がただ冷めてしまっただけではなかったことが、痛いほど伝わってきます。 彼女の人生は、「安定した結婚」という夢のために、「モテ」という鎧で自分を固め、自分自身の「好き」をすべて消し去ることで成り立っていたのですね。

そんな彼女が、自分とは対極の「好き」だけで生きているような美容師・渚に出会ってしまった。 渚からの「好きな料理何?」という、何気ない質問 。 これほどまでにシンプルで、これほどまでに残酷な問いかけがあるでしょうか。 「筑前煮」と答えかけ、それが「彼が好きだから」 だと気づくシーンは、彼女が自分自身を見失っていることを象徴しており、読んでいて胸が苦しくなりました。

そして、何よりも皮肉なのは、この出来事が「6回目の記念日」 、勝男がプロポーズしようとした「あの日」 に起こったことです。 もし、竹崎が早退していなければ 。 もし、渚に出会わなければ 。 鮎美は勝男のプロポーズを受け入れ、「夢を叶えていた」 のかもしれません。

勝男が第2話、第3話でようやく「偏見」を捨て、変わろうと一歩を踏み出したその裏で、鮎美は自分探しのカオスな渦に飛び込んでいた。 二人のすれ違いが、あまりにも残酷です。 最後に示唆された「彼」 は、鮎美にとっての救世主なのか、それとも…。彼女の運命がどうなってしまうのか、続きが気になります。


【じゃああんたが作ってみろよ】第4話のネタバレまとめ

  • 第4話は鮎美の視点で、勝男との別れを決意した日の出来事が描かれます 。
  • その日は二人の6回目の記念日で、鮎美は勝男からのプロポーズを期待していました 。
  • しかし、美容室で担当の美容師が早退し、代わりに来た派手な髪色の美容師・渚(なぎさ)と出会います 。
  • 鮎美は「安定した結婚」という夢のため、「モテ」を最優先し、自分自身の好みをすべて消して生きてきたことが判明します 。
  • 渚から「好きな料理何?」と聞かれた鮎美は、それが「彼(勝男)の好きなもの」でしかないことに気づき、答えられません 。
  • 自分の「好き」(もつ焼きなど)を熱く語る渚に触発され、鮎美の心に「変わりたい」という衝動が芽生えます 。
  • 渚に飲みに誘われたことが「あの夜」(第1話や第3話のシーン)に繋がり 、そこで出会った「彼」 が、彼女の運命を狂わせたことが示唆されます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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