【じゃああんたが作ってみろよ】5話をあらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 第4話は鮎美(あゆみ)の視点で、勝男(かつお)との別れに至るまでの経緯が描かれました 。
  • 鮎美は「安定した結婚」という夢のため、「モテ」を最優先し、自分自身の「好き」を押し殺して生きてきたことが明らかになります 。
  • 勝男との6回目の記念日、プロポーズを期待していた日に訪れた美容室で、型破りな美容師・渚(なぎさ)と出会います 。
  • 渚から「好きな料理何?」と問われ、それが「彼(勝男)の好きなもの」でしかないことに気づき、自分自身のアイデンティティが揺らぎ始めます 。
  • 渚に触発された鮎美は、勝男に別れを告げた後(第1話)、渚と飲みに行き(「あの夜」)、そこで出会った「彼」によって運命が狂わされたことが示唆されました 。

【じゃああんたが作ってみろよ】第5話をネタバレありでわかりやすく解説する

第4話で価値観が揺らいだ鮎美が、ついに「自分らしさ」を探すため、未知の世界へと足を踏み入れます。

「自分らしさ」の迷宮

物語は、鮎美が書店で「自分らしくいこう!」、「自分を好きになるカラダ作り」といった自己啓発本を眺めるシーンから始まります。 かつては「モテだ男子ウケだ」という価値観が主流だったのに、世の中は「自分らしく」という言葉で溢れています。 しかし、「モテ」のために自分を消してきた鮎美にとって、「みんなそれがなんなのか 知ってるの?と、その答えは分かりません。

宇宙人・渚とのハシゴ酒

答えを求めて、鮎美は「この宇宙人」こと、美容師の渚を訪ねます。 鮎美の悩みを聞いた(であろう)渚は、「今日はお気に入り紹介 ハシゴ酒だよ!と、彼女を未知の世界へ連れ出します。

1軒目は、おじさん客ばかりの、お世辞にもきれいとは言えない居酒屋「赤だるま」。 渚はこの店で「餃子と瓶ビール!」と、鮎美がこれまで「モテ厳禁」として避けてきた「にんにく」を使ったメニューを注文します。 「女の子同士で こういうお店 行くもんじゃ?」と尋ねる鮎美に、渚は「鮎メロは いつもそうなの?」と、彼女の凝り固まった価値観に疑問を投げかけます。

「モテ厳禁」の味

恐る恐る餃子を口にした鮎美は、「べらぼーにうまくない!?と、その美味しさに衝撃を受けます。 「くさいって思ってたけど 逆にそれがいい!」、「ビールが進むでしょ」と笑う渚。 一行は、安い立ち飲み屋 、そしてもつ焼き屋 と、鮎美がこれまで足を踏み入れたことのない世界を巡ります。

「私らしさ」の問いと渚の夫

もつ焼き屋で、渚の夫・太平(たいへい)が合流します 。 「宇宙人に夫?」と驚く鮎美に、渚は「なーんか おもしろいから 友達になりかけてる!」と無邪気に笑います。 美容師とバーテンダーという「チャラいもの同士」に見える二人に、鮎美はまたも偏見を抱きかけます。

太平の前で、鮎美は無意識に声色を変えて「ぶりっこ」のような態度をとってしまいます 。 渚は「男の前で態度変える系?」と指摘しつつも、「私の前では 素出しちゃってる ってことじゃーんと、鮎美が自分に心を開いている証拠だと喜びます。 混乱した鮎美は「ねえ 私らしさって 何かわかる!?と渚にすがるように尋ねますが、「そんなん会ったばっか だからわからん!」と一蹴されてしまいました。

チャラい店とテキーラの洗礼

一行は、太平がバーテンダーとして働く、音楽が大音量で流れるバー(クラブ)へと向かいます 。 鮎美は「チャラい店!!」、「ナンパ目的で男女が集まる 『クラブ』ですか!?」と、完全に偏見の目で警戒します。 そこで渚は「鮎メロもテキーラ飲む?」と誘います。鮎美にとって、それは「チャラいイメージNo.1のお酒・・・でした。

鮎美は、自分とは正反対に、自然体で「自分らしさ」を知り 、友達も多く 、好きな男と結婚している 渚を「うらやましいと感じます。 そして、彼女は勇気を出し、「私もテキーラ くださいと注文しました。

太平が出したのは、「アネホ」という1年以上樽で熟成させた高級なテキーラでした 。 それを飲んだ鮎美は、「あれ テキーラ おいしい・・・」と驚きます。 「トロッと甘くて いい香り」、「奥が深くて おいしいお酒なんだ〜と、テキーラに対する偏見も覆るのでした。

「楽しい」が「自分らしさ」

これまで「飲みすぎは 男子に引かれる」と我慢してきた鮎美。 しかし、美味しいお酒と音楽に身を任せ、ついに「踊る!」と体を動かし始めます。 「楽しい!」「この音楽も 気持ちいい!! 心から解放された鮎美の姿を見て、渚は言います。 「そうやって 楽しいって 感じたことが 「自分らしさ」 なんじゃない?

決意の家出と衝撃の再会

その言葉に、鮎美は「私はこれだって 感じる!」と光を見出します。 しかしその夜、勝男が迎えに来て二人で帰る途中、彼女は勝男との穏やかな日常を思い出します 。 作り置きの夕飯 、味付けや季節感についての平凡な会話 。 鮎美は「これ楽しいのかな?」「これが 一生続くの?という、決定的な疑問を抱いてしまいます。

クラブでの高揚感と、勝男との安定した日常。 「私らしさ」とは何か 。 悩んだ末、鮎美は「とんでもなく バカなこと してない?」と自問しながらも、スーツケースを持って家を出ます 。 そして、会うのが3回目にもかかわらず、渚の家に「泊めてえっ」と押しかけました

こうして、渚と太平の家での居候生活が始まります 。 仕事にはウィッグを被っていくことにし 、「『自分らしさ』 見つかるかな?」と、新しい生活に期待を寄せます。 そんなある日、渚が「忘れ物したから 先行っててー」と、どこかへ向かいました。

場面は、第3話のラストで勝男とあみながいた、もつ焼き屋「七文屋」へ。 そこで、鮎美は勝男と鉢合わせてしまいます。 「勝男さん・・・」「こんなに早く 再会するとは・・・そして、勝男の隣にいるあみなの姿を見て、鮎美は「しかも もう新しい彼女!?と、最悪の誤解をしてしまうのでした。


【じゃああんたが作ってみろよ】第5話を読んだ感想(ネタバレあり)

第5話は、鮎美の「自分らしさ」探しの第一歩が描かれた、非常に濃密な回でした。 「モテ」という鎧を脱ぎ捨てようとする彼女の戸惑いや不安、そして新しい世界に触れた時の衝撃が、ハシゴ酒という形でテンポよく描かれていて、読んでいてこちらもワクワクしました。

特に印象的だったのは、やはり渚の「楽しいって 感じたことが 「自分らしさ」 なんじゃない?」というセリフです 。 「自分らしさ」というと難しく考えてしまいがちですが、まずは自分の「楽しい」という純粋な感情を肯定することから始まる、というメッセージにハッとさせられました。 餃子、もつ焼き、テキーラと、鮎美が「モテ厳禁」として避けてきたものたちが、実は彼女の世界を広げる「楽しい」ものだったという皮肉も効いています。

しかし、その「楽しさ」が、勝男との「穏やかな日常」への疑問(「これ楽しいのかな?」)に繋がってしまうのが、本当に切ないです。 安定も欲しい、でも楽しさも知ってしまった。その葛藤の末の「家出」は、衝動的に見えて、彼女にとっては必然だったのかもしれません。

そして、ラストの再会シーン。 勝男も第3話で「コークハイともつ焼き」の偏見を克服したばかり。あみなは、勝男にとっては「新しい価値観を教えてくれた後輩」ですが、鮎美から見れば「新しい彼女」にしか見えない 。 変わり始めた二人が、最悪の誤解からスタートしてしまうという展開に、胸が締め付けられます。


【じゃああんたが作ってみろよ】第5話のネタバレまとめ

  • 鮎美は「自分らしさ」が分からず悩み、美容師の渚を訪ねます 。
  • 渚に「ハシゴ酒」に連れ出され、餃子、もつ焼き、テキーラなど、これまで「モテない」と避けてきた食文化に触れ、その美味しさに目覚めます 。
  • 渚の夫・太平とも出会い、彼らの自由な生き方に触れます 。
  • クラブで踊り、心から「楽しい」と感じた鮎美は、渚から「楽しいって 感じたことが 「自分らしさ」 なんじゃない?」とアドバイスされます 。
  • この経験から、勝男との穏やかだが変化のない日常に「これ楽しいのかな?」と疑問を抱き、家出を決意します 。
  • 渚の家に居候を始めたある日、渚が向かったもつ焼き屋で、勝男と後輩のあみなが一緒にいるところに遭遇してしまいます 。
  • 鮎美は、あみなを勝男の「新しい彼女」だと誤解してしまいます 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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