【はじまらない結婚】ネタバレ全話|星は最後どうなるの?あらすじから感想、結末まで解説

「もし、人生最高の日に全てを失ったら?」そんな絶望的な問いから物語は始まります。漫画「はじまらない結婚」は、結婚式当日に夫と親友の裏切りを知った主人公・陽(ひなた)が、底知れない悪意や夫の弱さと向き合い、悩み、傷つきながらも、最終的に自分自身の幸せの形を見つけ出していく、壮絶でリアルな再生の物語です。
この記事では、「はじまらない結婚」の結末や物語の全体像が知りたい、という方に向けて、最終話までのネタバレを含めて、物語の全貌を分かりやすくまとめました。話の展開が複雑で、登場人物たちの感情の揺れ動きを整理したいと思っている方にもおすすめです。
この記事を読めば、陽がたどった苦難の道のりと、彼女が下した最終的な決断の全てが分かります。ただし、初見で「はじまらない結婚」の物語を楽しみたい方にとっては、感動や驚きを損なう可能性がありますので、その点をご理解の上、読み進めてください。
漫画「はじまらない結婚」のネタバレ解説・あらすじまとめ
【はじまらない結婚】1話・2話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
主人公・陽は、長年の恋人・木(いつき)との結婚式当日、幸せの絶頂にいました。しかし、式の直前に、木が自分の幼なじみである星(あかり)と浮気していたという、信じがたい事実を知ってしまいます。ショックのあまり、陽は誓いの言葉を拒絶し、結婚式は中断。その後、病院で木から「絶対に幸せにするから産んでください」と涙ながらに懇願されますが、陽の心は固く閉ざされ、二人の関係は最悪の形で崩壊してしまいます。


【感想】 物語の冒頭から、幸せの頂点から地獄の底へ突き落とされる、あまりにも衝撃的な展開で一気に引き込まれました。特に、陽が日々の幸せを太陽のシールでカレンダーに記録していたという描写が、その後の悲劇をより一層際立たせています。木の裏切りはもちろん許せませんが、彼の弱さや後悔の表情にも何か事情があるのかと、単純な悪役として描かれていない点に、この物語の奥深さを感じさせます。
【はじまらない結婚】3話・4話・5話・6話・7話・8話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
物語は、陽と木の過去と、全ての元凶である星の異常な執着を深く掘り下げていきます。陽と木は、新生活の準備段階で価値観の違いから衝突しつつも、不器用な愛情を育んでいました。しかし、その裏で星はSNSを通じて陽に再会し、巧妙に木へと接近。三者対面の場で、星は中学時代から続く陽への凄まじい嫉妬と劣等感を爆発させます。彼女は、好きだった人が陽を好きだったという過去の出来事を逆恨みし、陽を不幸に陥れることだけが目的だったと告白。最後には、陽の目の前で木に無理やりキスをし、「もう呪いはかけたから」と不気味な言葉を残して去っていくのでした。






【感想】 この中盤の展開は、単なる痴情のもつれから、人間の心の闇を描くサイコサスペンスへと変貌を遂げます。星の動機は自己中心的で理不尽そのものですが、彼女が語る「陽が太陽で私たちはその他星くず」という言葉には、誰しもが抱きうる劣等感の痛みがリアルに表現されており、胸が苦しくなりました。善意のつもりの行動が、相手を深く傷つけることがある。人間関係の残酷さと複雑さを見事に描き切った、圧巻のパートです。
【はじまらない結婚】9話・10話のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
星の「呪い」によって、陽と木の関係は修復不可能な段階へと進みます。一度は木を激しく拒絶した陽ですが、彼女を心配する友人・住谷の献身的な支えと、彼からの「一緒に子供を産もう」という誠実な告白を受け、自分自身の心と向き合うことになります。そして、陽は「私が何を信じたいか」という答えにたどり着きます。彼女は、住谷の申し出を丁重に断り、過去との決別のため、星と木、両方の連絡先をブロック。お腹の子どもと共に、たった一人で生きていくという、孤独で、しかし力強い決断を下すのでした。


【感想】 このパートは、陽の精神的な成長が最も色濃く描かれた、感動的な展開でした。特に、住谷くんの存在が素晴らしいです。彼は、陽にとっての逃げ道ではなく、彼女が自分自身の価値や強さを再認識するための「鏡」のような役割を果たしました。そして、陽が自分の名前の由来である「太陽」のように、自分らしく真っすぐに生きたいと願い、過去の人間関係を自らの手で断ち切るシーンは、本作屈指の名場面だと思います。
【はじまらない結婚】11話・12話(最終話)のあらすじ・感想(ネタバレあり)はこちらから
一人で出産と育児の準備を進める陽の元に、木が再び現れ、「オレの全てが否定されても、陽と一緒に居たい」と償いを申し出ます。しかし、陽は「そんなことに何の意味があるの?」と、彼の自己満足な償いを一蹴。彼に離婚届を突きつけ、本当の意味で責任と向き合うことを迫ります。時は流れ、無事に出産した陽。最終的に、彼女と木は、二人で市役所を訪れ、離婚届を提出します。しかし、そこに悲壮感はなく、お互いを「子供の親」として尊重し合う、新しいパートナーシップの始まりを予感させる、穏やかな空気が流れていました。


【感想】 これ以上ないほど、美しく、そして現実的な着地点でした。安易な復縁や、別の男性との新しい恋といった結末ではなく、陽が「自分自身であること」を選び、木とは「共同養育者」という新しい関係を築く。この選択に、現代的な家族のあり方と、作者の強いメッセージを感じました。「はじまらない結婚」は、最終的に「はじまった、陽自身の人生の物語」として、清々しい読後感を残してくれたと思います。
星はどうなったのか考察してみる
作中では、星のその後の人生について、明確な描写はありません。彼女の物語は、陽と木に「呪い」をかけ、満足げに去っていく場面で事実上終わっています 。そして陽は、自分自身の人生を歩む決意を固めた際、星のSNSアカウントをブロックし、関係を完全に断ち切りました 。
ここからは、彼女の行動原理や性格を基にした考察となります。
考察1:目的を達成し、次のターゲットを探しにいった
星の行動原理は、中学時代から続く陽への強烈な嫉妬と劣等感でした 。彼女の目的は、自分を惨めな気持ちにさせる「太陽」である陽を、自分と同じか、それ以下の不幸な状況に引きずり下ろすことでした 。その観点から見れば、陽と木の結婚を破綻させ、二人の間に消えない不信感という「呪い」をかけた時点で 、彼女の目的は達成されたと言えます。
しかし、彼女の根本的な問題は「自分自身の不幸を他人のせいにする」という思考の歪みにあります。たとえ陽の幸せを破壊できたとしても、それによって星自身が幸福になれるわけではありません。一時的な満足感を得た後は、また新たな嫉妬の対象を見つけ、同じような破壊行動を繰り返す、という空虚な人生を歩み続けている可能性は高いのではないでしょうか。
考察2:「呪い」が解けたことで、存在意義を失った
もう一つの可能性として、星は陽という存在に固執しすぎるあまり、彼女を不幸にすることが自己目的化していた、という見方もできます。彼女の人生は、常に陽を意識し、彼女と比較することで成り立っていました。
しかし、物語の終盤、陽は星を「許す」のでも「憎み続ける」のでもなく、「自分の人生から切り離す」という選択をしました 。これは、星にとって最も計算外の出来事だったと考えられます。星の「呪い」は、陽が木との関係に苦しみ続ける限りにおいて有効なものでした。陽がその土俵から降り、星の存在そのものを「無」として扱った瞬間、星は最も効果的な攻撃対象と、自分自身の存在意義さえ失ってしまったのかもしれません。執着する相手を失った彼女が、その後どうなったのか。より深い虚無感に苛まれている可能性も否定できません。
結論:物語が描いた、本当の「決着」
最終的に、作者は星の末路をあえて描きませんでした。これは、この物語のテーマが「悪役の断罪」ではなく、「主人公の再生」にあるからだと考えられます。
星がどうなったかよりも、陽が彼女の呪縛から解き放たれ、「私は陽でやっていく」と自分自身の人生を歩み始めたこと こそが、この物語の本当の「決着」なのです。星のその後を描かないことで、「他人の不幸を願う人生の末路は、語るに値しないほど空虚である」という、より強いメッセージ性を読者に与えているのかもしれません。
【はじまらない結婚 ネタバレ 全話】の魅力を徹底解説!物語の見どころ総まとめ
- 結婚式当日に夫・木と幼なじみ・星の浮気が発覚
- 陽は神父の前で誓いの言葉を拒絶し、結婚式は破談となる
- 星が「陽は本当は結婚したくないと言っていた」という嘘で木を追い詰めていたことが判明
- 三者対面の場で、星は中学時代からの陽への激しい嫉妬と憎悪を告白する
- 星は陽の目の前で木にキスをし「呪い」の言葉を残して去っていく
- 星の呪いに蝕まれた陽は、木の弱さに激昂し、一度は関係が断絶する
- 友人・住谷が献身的に陽を支え、父親になることさえ申し出る
- 住谷の優しさをきっかけに、陽は自分自身の生き方を見つめ直す
- 陽は住谷の申し出を断り、星と木の連絡先をブロックし、自立を決意する
- 木は全てを捨てて償うと懇願するが、陽はその自己満足を「意味がない」と一蹴
- 陽は「許す」のではなく、自ら「手放す」ことで心の平穏を得る
- 無事に出産した後、陽と木は「子供の両親」として良好な関係を築く
- 二人は共に離婚届を提出し、法的な夫婦関係を解消する
- 過去を乗り越えた陽は、母として、一人の女性として、自分らしく生きていくことを誓う
- 「はじまらなかった結婚」は終わり、陽の新しい人生が「はじまる」ところで物語は幕を閉じる


