【ばけばけ】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【ばけばけ】第9話をネタバレありでわかりやすく解説する

お見合いの破談という辛い経験を経て、叔父夫婦と二人きりで向き合うことになったトキ。彼女の出生の秘密がついに明かされるかと思われましたが、物語は予想外の展開を見せます。父の大きな決断、そして新たな出会いが、トキの運命を再び動かし始めます。

家族を見捨てない、トキの覚悟

部屋に一人残されたトキ（高石あかり）に、叔父の傳（堤真一）と叔母のタエ（北川景子）は、意外な提案をしました。借金を抱える松野家に婿をもらうのは難しい。いっそ、トキが他の家に嫁入りして、家族から離れ、自分の幸せだけを考えてはどうか、というのです。それは、彼女を思うがゆえの、苦渋の提案でした。

しかし、トキの答えは決まっていました。彼女は静かに、しかしはっきりとその提案を断ります。

みんなで幸せになって、初めて幸せなので。

自分一人が幸せになっても意味がない。家族を見捨てることはできない。そのやりとりを、戸の外で聞いていた父・司之介（岡部たかし）は、娘の深く、揺るぎない愛情に胸を打たれるのでした。

父の断髪、娘を幸せにする武士へ

そして、トキの二度目のお見合いの日がやってきます。その朝、家族の前に現れた司之介の姿に、誰もが息をのみました。彼の頭から、武士の魂とも言える髷（まげ）がなくなっていたのです。

悩んだけど、トキを幸せにする武士になろうと思った。

前回の、娘からの魂の叫びが、ついに頑固な父の心を動かしたのです。武士の誇りよりも、娘の幸せを選ぶ。それは、司之介にとって人生最大の決断であり、父親としての深い愛情の証でした。

運命のいたずら？今度の相手は…

しかし、運命とは皮肉なものです。今回のお見合い相手である山根家は、鳥取藩の元足軽の家柄。息子の銀二郎（寛一郎）もその父親も、なんと髷を結ったままの、武士の心を忘れない昔気質の親子だったのです。

まさかの展開に、司之介は「切るんじゃなかった」と呆然。重苦しくなりかけた空気を救ったのは、傳の「落ち武者」という冗談でした。その一言で場はなごみ、笑いが起きます。

「怖い」正直な心と、優しい申し出

ところが、お見合いが始まると、今度はトキに異変が起きます。お茶を運ぶ彼女の体はカチコチに固まり、その場に立ち尽くしてしまいました。

怖いのでございます。お顔を少し見ただけの人とこれから先、末永くすごしていくのだと思うと。

初めてのお見合いでは気丈に振る舞っていた彼女が、結婚という現実を前に、押しつぶされそうな恐怖を正直に吐露したのです。しかし、その正直な言葉を、相手の山根銀二郎は、静かに受け止めました。そして、驚くべき提案をします。

二人きりで一緒に話しませんか。

家同士の体面や形式ではなく、まずはお互いを知ることから始めたい。銀二郎のこの思慮深い一言は、トキの心を救う一筋の光のように感じられました。この出会いは、果たして吉と出るのでしょうか。

【ばけばけ】9話を観た感想（ネタバレあり）

今回は、登場人物それぞれの愛情の形が描かれた、非常に感動的な回でした。まず、トキちゃんの「みんなで幸せになって、初めて幸せなので」というセリフ。彼女の優しさと芯の強さには、本当に頭が下がります。自分の幸せより家族を選ぶ彼女の姿は、この物語のテーマそのものだと感じました。

そして、何と言っても司之介さんの断髪シーンです。これまでのダメ親父っぷりが嘘のような、父親としての覚悟に満ちた姿に、思わず涙ぐんでしまいました。「トキを幸せにする武士になる」、これ以上の愛の言葉があるでしょうか。岡部たかしさんの名演も相まって、今週最大の名場面だったと思います。

それだけに、次のお見合い相手が髷を結っていたという展開には、笑うしかありませんでした。まさに運命のいたずら。でも、傳さんの「落ち武者」というツッコミのおかげで、場が和やかになったのが良かったですね。

最後のトキの告白と、それに対する銀二郎さんの対応も素晴らしかったです。「怖い」と正直に言えるトキの素直さと、それを受け止めて「二人で話そう」と言える銀二郎さんの器の大きさ。この人は信頼できるかもしれない、と直感的に思いました。一度目の、家の体面ばかりを気にするお見合いとは全く違います。もしかしたら、この人こそが、トキを本当の意味で支えてくれる相手なのかもしれない。そんな希望を感じさせてくれる、素晴らしい引きでした。

【ばけばけ】9話のネタバレまとめ

• 叔父夫婦から、家族を捨てて嫁入りするよう提案されるが、トキは「みんなで幸せになりたい」と固辞する。
• 娘の覚悟と愛情に心を動かされた父・司之介は、武士の誇りである髷を切り落とし、娘の幸せを第一に考えることを決意する。
• しかし皮肉にも、二度目のお見合い相手である山根親子は、髷を結ったままの昔気質の武士だった。
• お見合いの席で、トキは結婚への恐怖を正直に吐露してしまうが、相手の山根銀二郎は優しくそれを受け止め、二人きりで話すことを提案する。

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コマさん（koma）

野生のライトノベル作家

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社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》