【ひと夏の共犯者】第20話をネタバレありでわかりやすく解説する

- 天瀬愛衣那は、巧巳の留守中に隠れ家を突き止め、澪と再会した 。
- 愛衣那は影武者を使い、自身を尾行していた警察を完全に出し抜いていたことが判明する 。
- 澪が巧巳に匿われていたことを知った愛衣那は激しく嫉妬し、裏切られたという感情から、澪に強引にキスをするのだ
【ひと夏の共犯者】第20話をネタバレありでわかりやすく解説する
「救ってくれたのは澪ちゃん」――明かされる愛衣那の過去
縁側で並んで座る、澪と愛衣那。物語は、愛衣那の静かな語りから始まります。
「澪ちゃん 覚えてる?」 「愛衣那を救ってくれたのは 澪ちゃんなんだよ」
その言葉を皮切りに、これまで謎に包まれていた愛衣那の壮絶な過去が、回想によって明かされていきます。
生きるための「正しいトレード」
回想シーンに映し出されるのは、裕福な年上の男性、通称「パパ」と共に暮らす若き日の愛衣那 。彼女は大学の費用などを援助してもらう見返りに、彼と共に夜を過ごしていました 。
彼女にとって、それは「生きていくための正しいトレード」であり、「なんの文句もない当たり前の生き方」だったのです 。
絶望の淵とアイドルの光
しかし、その安定した生活は、パトロンである「パパ」が会社の金を横領した容疑で逮捕されたことで、あっけなく崩壊します 。家財は差し押さえられ、周囲からは好奇と侮蔑の視線を向けられる日々 。唯一の「金づる」を失った彼女は、やり場のない怒りと憎しみに支配され、「みんな死ね」と世界を呪うほどの絶望の淵にいました 。
そんな彼女が最後の希望として掴んだのが、アイドルグループ「AMEL」のオーディションでした。そして、彼女は見事合格を果たします 。
反吐が出るほどの純粋さと、見下した世界
オーディション合格後、メンバーとして初めて顔を合わせた日。一人の少女が、屈託のない笑顔で彼女に話しかけます 。それが、片桐澪でした。
しかし、そのあまりにも純粋な笑顔を前にして、愛衣那が感じたのは、感謝や喜びではありませんでした。
「あ―― 反吐が出る」
汚れきった自分とは対極にいる存在への、強烈な嫌悪感でした。
彼女にとって、アイドル活動は「夢なんてない」ものでした 。ただ、「今の自分を高値で換金できるのがこれだったってだけ」 。
ステージで作り笑顔を振りまく自分も、それを妄信する客も、無邪気に未来を語るメンバーも、彼女の目には等しく「馬鹿みたい」に映っていたのです 。
【ひと夏の共犯者】20話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、これまで謎めいていた愛衣那の過去が明かされ、彼女の複雑なキャラクターの根源に触れる、非常に重い回でした。パトロンとの関係を「正しいトレード」と割り切って生きてきた彼女の姿は、あまりにも痛々しく、読んでいて胸が苦しくなりました。彼女が世界を呪うほどの絶望を味わったことを思うと、その後の歪んだ性格形成にも納得せざるを得ません。
そんな彼女が、澪の純粋無垢な笑顔を見て「反吐が出る」と感じたシーンは、強烈でしたね。自分とはあまりにも違う、光の中にいる存在に対する、嫉妬や嫌悪、そしてほんの少しの憧れが入り混じった、複雑な感情の表れだったのではないでしょうか。
そして何より気になるのが、冒頭の「愛衣那を救ってくれたのは澪ちゃんなんだよ」というセリフです。今回の回想では、澪に対して強烈な嫌悪感を抱いたところで終わっています。あれほどまでに見下していたはずの澪が、一体どのようにして彼女を「救った」というのでしょうか。この大きな矛盾が、次なる物語の鍵を握っていることは間違いありません。二人の過去に、まだ我々の知らない重大な出来事が隠されている。そう確信させる、見事な引きでした。
【ひと夏の共犯者】20話のネタバレまとめ
- 物語は愛衣那の過去の回想シーンへと移り、彼女が「澪ちゃんが私を救ってくれた」と語り始める 。
- 若き日の愛衣那は、裕福なパトロンの援助を受ける見返りに関係を持つという、割り切った生活を送っていた 。
- しかし、そのパトロンが横領で逮捕され、彼女は全てを失い絶望の淵に立たされる 。
- 生きるためにAMELのオーディションを受けて合格するが、そこで出会った片桐澪の純粋さに強烈な嫌悪感を抱く 。
- 愛衣那は、アイドル活動もファンもメンバーも、全てを「馬鹿みたい」だと見下していた 。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから



