【ひと夏の共犯者】第21話をネタバレありでわかりやすく解説する

ずっちー
前話のおさらい
  • 物語は愛衣那の過去の回想シーンへと移り、彼女が「澪ちゃんが私を救ってくれた」と語り始めた。
  • パトロンを失い絶望した愛衣那は、生きるためにAMELのオーディションを受けるが、そこで出会った片桐澪の純粋さに強烈な嫌悪感を抱く。
  • 愛衣那は、アイドル活動もファンもメンバーも、全てを「馬鹿みたい」だと見下していた。

【ひと夏の共犯者】第21話をネタバレありでわかりやすく解説する

「その足の傷」――見抜かれた心の痛み

「――馬鹿みたい?」。 愛衣那の冷めきった独白は、一人の少女の声によって打ち破られます。声の主は、片桐澪。彼女は、愛衣那が心の中で見下していた、その張本人でした。 そして、澪は静かに、しかし真っ直ぐに、愛衣那の足にある自傷行為の痕を指し示します。

「説教でも始めんのかよ」。 愛衣那は、いつものように心に壁を作り、面倒くさそうに悪態をつきます。どうせ「自分を傷つけてはだめだ」という、ありきたりな言葉が返ってくるだけだと。

「頑張ったのね」――初めての肯定

しかし、澪の口から出たのは、愛衣那の予想を遥かに超えた、たった一言でした。 「頑張ったのね」。 それは、非難でも同情でもない、ただ彼女が生きてきた闘いを認め、肯定する言葉でした。

初めて向けられた純粋な理解と受容に、愛衣那の心の壁は、音を立てて崩れ始めます。「人の心の中にずかずか入り込もうとすんなよ」と虚勢を張りますが、その瞳は激しく揺れていました。

孤立と絶望、そして決別

その日を境に、愛衣那を取り巻く環境はさらに悪化します。彼女のパトロンの噂はメンバー内に広まり、彼女は完全に孤立。そんな中、事務所に彼女の実の父親が逮捕されたという事実がマスコミからリークされ、マネージャーに激しく詰問されます。

「言う必要ないし 調べなかった事務所の責任でしょ」。 そう言い放った彼女は、アイドルの衣装を叩きつけ、「もう辞めるから」と、自らその居場所を捨て去ろうとしました。

たった一人の味方

しかし、事務所を出た彼女を待っていたのは、下卑た笑みを浮かべる週刊誌の記者でした。父親の事件について、心ない言葉を浴びせられます。怒りで我を忘れ、思わず「うっざいなー」と叫びそうになった、その瞬間。

…ッ!お前は…」。 記者の前に立ちはだかったのは、片桐澪でした。 彼女は、震える愛衣那を背中にかばい、記者に毅然と言い放ちます。

このことも記事にして大丈夫ですよ

でもそのときはあなたがアイドルにしつこく付きまとったこともきちんと書いてくださいね?

世界中が敵になったその日に、たった一人、彼女の隣に立ち、守ってくれた存在。それが、片桐澪でした。

【ひと夏の共犯者】21話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、涙なしには読めない、あまりにも切なく、そして美しい回でした。ついに明かされた、愛衣那が「澪ちゃんに救われた」と語る理由。それは、想像していたよりもずっと、シンプルで、だからこそ心に深く突き刺さるものでした。

自傷の痕を見ても説教ひとつせず、ただ「頑張ったのね」と、彼女の痛みを丸ごと受け入れた澪ちゃん。この一言が、どれだけ愛衣那の心を溶かしたことか。誰にも理解されず、世界を呪っていた彼女にとって、初めて差し伸べられた、本物の優しさだったんですね。

そして、最後の記者との対峙シーン。事務所からも見放され、まさに四面楚歌の状況で、たった一人、自分のために盾になってくれた澪ちゃんの姿は、愛衣那にとってまさしく「救いの女神」に見えたことでしょう。彼女の澪への異常なまでの執着は、この原体験から来ていたんですね。初めて自分を救ってくれた、唯一無二の存在。だからこそ、誰にも渡したくないし、自分以外の誰かに救われることすら許せない。その歪んだ愛情の根源が、痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられました。

【ひと夏の共犯者】21話のネタバレまとめ

  • 回想シーンは続き、澪は愛衣那の足にある自傷の痕に気づく。
  • しかし、澪はそれを咎めるのではなく、「頑張ったのね」と、彼女の苦しみを肯定する言葉をかけた。
  • その後、愛衣那は父親の逮捕歴が事務所に発覚し、メンバーからも孤立。自らグループを辞めることを決意する。
  • 事務所を去ろうとした矢先、週刊誌の記者に囲まれるが、そこへ澪が割って入り、愛衣那を守るために毅然と記者と対峙した。
  • これが、愛衣那が澪に「救われた」と語る理由だった。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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