【ひと夏の共犯者】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

ずっちー
前話のおさらい
  • 主人公は、目の前にいる少女が「推し」の片桐澪だと気づきながらも、彼女を安心させるために「知らない」と嘘をつく。
  • 澪は彼の家に上がり、二人のぎこちない時間が流れる。
  • 主人公は、過去のライブで澪が見せた、ファン向けの笑顔とは違う「特別な表情」を思い出し、二人の間に何かがあったことを匂わせる。

【ひと夏の共犯者】第3話をネタバレありでわかりやすく解説する

風呂上がりの無防備な姿と、彼女の悲痛な願い

お風呂から上がった澪が、主人公の前に姿を現します。 彼が貸したTシャツは彼女には大きく、ズボンはサイズが合わなかったため、Tシャツ一枚という無防備な格好です。 湯上がりでほんのり頬を染めた彼女の姿に、主人公は思わずドキッとして目を逸らしてしまいます。

しばしの沈黙の後、意を決したように澪が口を開きます。 そして次の瞬間、彼女は畳に正座し、深々と頭を下げました。

その口から紡がれたのは、悲痛な響きを帯びた、一つの願いでした。

お願いします」 「……私を 少しの間 ここに置いてくれませんか?

行くあてがなく、何かに追いつめられているかのような彼女の懇願。 それは、主人公の心を大きく揺さぶります。

究極の選択と、悲しい誤解

「どうして…?」と理由を尋ねる主人公に、澪は「今は言えません」と答えるばかり。 ただひたすらに「どうか…お願いできませんか」と繰り返す彼女の瞳には、涙が浮かんでいます。

主人公の頭の中は、大混乱に陥ります。

片桐澪と 一緒に生活するなんて そんなの――

それは、一人のファンとして到底受け入れられるはずのない、あまりにも非現実的な状況でした。

彼の戸惑いを、拒絶と受け取った澪。 「……わかりました」と呟くと、彼女は静かに立ち上がります。 そして、主人公の目の前で、おもむろに着ているTシャツの裾に手をかけました。

ここに置いてもらうことの 対価が必要なら……

……きちんと 支払いますから…

彼女は、自分をここに置いてもらうための「対価」として、自身の体を差し出そうとしたのです。 トップアイドルが、見ず知らず(と彼女は思っている)の男性に身を委ねようとするほど、精神的に追い詰められている。その事実に、主人公は言葉を失います。

「共犯者」になった日

この瞬間、物語冒頭の主人公のモノローグが、雷のように脳裏に響き渡ります。

――あの日 あのとき 俺が彼女の願いを 断っていれば

そう、彼が後悔し続けることになる「あの日」とは、まさにこの日のこと。そして、「彼女の願い」とは、「私をここに置いてほしい」という、この悲痛な叫びだったのです。 彼がこの願いを受け入れたことで、二人の運命は大きく動き出します。

俺たちには 違う未来があったかも しれないのに

後悔の言葉と共に映し出されるのは、一本のニュース速報。 そこには、衝撃的な見出しが躍っていました。

【人気アイドルAMELの片桐澪 行方不明と 所属事務所が発表】

彼女の願いを受け入れた瞬間、主人公はただのファンから、世間から姿を消したアイドルを匿う「共犯者」となったのです。 こうして、誰にも言えない、ひと夏の秘密が始まりました。

【ひと夏の共犯者】3話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は息をのむ展開の連続でした…。澪ちゃんの「ここに置いてください」というお願いも衝撃的でしたが、何よりも彼女が「対価」を支払おうとしたシーンは胸が締め付けられました。どれだけ追い詰められたら、あんな行動に出てしまうのか…。彼女が今、どれだけ孤独で、助けを求めているのかが痛いほど伝わってきて、切なくなりました。

そして、ついに判明した物語冒頭のモノローグの真実! あの後悔は、この日のこの選択のことだったんですね。主人公が彼女の願いを受け入れたことで、彼女は公式に「行方不明」になってしまった。つまり、彼は善意から彼女を助けたつもりが、結果的に彼女を社会的に追い詰める片棒を担いでしまったわけです。

「共犯者」というタイトルの意味が、一気に重みを増してきましたね。これは単なる芸能人とのドキドキ同居生活じゃない。一つの選択が、二人の人生を大きく変えてしまう、危険で切ない物語なんだと改めて思い知らされました。これから二人はどうなってしまうのか、そして澪ちゃんが逃げ出した本当の理由は何なのか、気になって仕方ありません!

【ひと夏の共犯者】3話のネタバレまとめ

  • お風呂から上がった澪は、主人公に「少しの間ここに置いてほしい」と涙ながらに懇願する。
  • 主人公が戸惑っていると、澪はそれを拒絶と誤解し、自分を匿ってもらう「対価」として体を差し出そうとする。
  • この澪の「願い」を主人公が受け入れた日が、彼が後悔し続ける運命の分岐点であったことが判明する。
  • 主人公が澪を匿ったことで、彼女は事務所から「行方不明」として公式に発表され、彼はアイドルの失踪の「共犯者」となった。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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