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【みいちゃんと山田さん】9話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【みいちゃんと山田さん】第9話をネタバレありで解説する

第9話のタイトルは「100万回の殴打」。物語は、読者の心を凍りつかせるような衝撃的なシーンから幕を開けます。主人公のみいちゃんが、顔中に痛々しい痣を作った姿で友人の前に現れるのです 。彼女の変わり果てた様子は、このエピソードで語られる壮絶な関係性の実態を、静かに予感させます。

衝撃の告白「彼氏に殴られた」

「その顔…どうしたの!?」という友人の心配をよそに、みいちゃんは「いっぱい殴られちゃった」と、まるで些細なことのように答えます 。そして、誰に殴られたのかという核心を突く質問に、彼女は少しもためらうことなく**「彼氏」**だと告白するのでした 。この一言が、彼女の日常に潜む深刻なドメスティック・バイオレンス(DV)の問題を、はっきりと浮かび上がらせます。

友人たちの間では「みいちゃんと付き合うとどんなに優しい男でもみんな暴力的になっちゃうんだって!」という、にわかには信じがたい噂が囁かれていました 。「ぶっちゃけ みいちゃんって殴りたくなる時あるじゃん?」という辛辣な言葉に、別の友人が「ちょっとわかる」と同意してしまう場面は、彼女が意図せずして相手の加害性を引き出してしまう、複雑な関係性を示唆しています

しかし、当の本人は、彼氏であるマオくんのどこが好きなのかと問われると、満面の笑みで「みいちゃんのこと 誰よりも理解してくれるところ!」と答えるのです

暴力と優しさが織りなす「共依存」の罠

回想シーンでは、みいちゃんとマオくんの異常な関係性がより具体的に描かれます。勉強を放り出して駄々をこねるみいちゃんに対し、マオくんは「みいちゃんはバカなんだから勉強しなきゃでしょ」と冷たく言い放ち、暴力を振るいます

ところが、その直後に彼は「ごめんね」と謝罪し、「みいちゃんみたいなダメな子の相手してくれるのは俺しかいないよ」と囁きながら、手慣れた様子で絆創膏を貼ってあげるのです 。この暴力(ムチ)と優しさ(アメ)を巧みに使い分ける行為こそが、みいちゃんを精神的に束縛し、彼から離れられなくさせている元凶でした。

彼女は友人たちの前で「マオくん 怪我の手当てしてくれて優しいの」と無邪気に自慢しますが、友人は「優しくて頭いい人は暴力しないと思うけど?」と冷静に現実を突きつけます 。友人たちは、この歪んだ関係を「共依存」だと見抜いているのでした

暴力の裏に隠された金銭問題

さらに、みいちゃんが殴られた理由は、単に勉強をしないからというだけではありませんでした。彼女は、「会ってもらう代」や「勉強教えてもらう代」としてマオくんにお金を払う約束があり、「お金が3万円くらい足りなくてお仕置きされちゃった」と告白します

この衝撃的な事実に、友人は「恐喝に暴力…これは完全にDVだわ」と断言します 。身体的な暴力だけでなく、恋人という立場を利用して経済的に相手を追い詰める行為もまた、紛れもないDVなのです。

救いの手を拒む心と断ち切れない鎖

友人は、DV被害者を支援する相談窓口へ行くよう強く勧めます 。しかし、みいちゃんの反応は「相談…?したらマオくん殴らなくなる?」「もっと仲良しになれるかな?」というものでした 。彼女は関係を終わらせるのではなく、改善することを望んでいるのです。警察に行き被害届を出すという提案も、「マオ君タイホされるの みいちゃんはいやだよ!?」と激しく拒絶します

そんな中、アルバイト先の店長からは、痛々しい顔を理由に出勤を断られてしまいます 。働けなければマオくんに払うお金が稼げず、また殴られてしまう。みいちゃんは、そんな出口のない絶望的なサイクルに完全に囚われてしまっていました。

結局、彼女の足が警察へ向かうことはありません 。彼女の心は、「殴られるのはやだけど マオ君に会えなくなるのはもっとやだ」という矛盾した感情に支配されています 。「みいちゃんがもっといい子になれば マオ君は殴らないし優しいもん」と、すべての原因が自分にあると思い込んでしまうのです

まとめ【みいちゃんと山田さん】9話を読んだ感想

今回のお話を読んで、まず感じたのは、胸が締め付けられるような痛みと、得体の知れない恐怖でした。冒頭で描かれるみいちゃんの痛々しい姿は、どんな言葉よりも雄弁に彼女のおかれた状況の過酷さを物語っています 。しかし、それ以上に恐ろしいと感じたのは、彼女自身がその異常な状況を「愛情」や「理解」の一環として受け入れてしまっている点です。

マオくんの行動は、典型的なDV加害者の手口そのものです 。暴力という「ムチ」の後に、優しさという「アメ」を与えることで、被害者の判断能力を奪い、精神的に支配していく 。作中で「共依存」という言葉が使われていましたが、まさにその沼にどっぷりと浸かってしまっている二人の姿が生々しく描かれていました

読んでいて最も苦しかったのは、みいちゃんが「悪いのはみいちゃんで…」「もっといい子になれば…」と自分を責めてしまう場面です 。どんな理由があろうとも、暴力は決して許されるものではありません。しかし、巧みなマインドコントロールによって、被害者であるはずの彼女が自分自身を悪者だと思い込まされてしまっているのです。

友人やアルバイト先の店長など、彼女を心配し、助けようとしてくれる人たちがいるのが唯一の救いです 。しかし、彼らの声も、マオくんへの歪んだ愛情と依存心に囚われたみいちゃんには、なかなか届きません。最後の「お金…お金稼がなきゃ!」というセリフは、彼女がまだ支配のサイクルから抜け出せていないことを示しており、読後には重たい余韻が残りました 。これは単なる漫画の物語ではなく、私たちの社会にも現実に存在する問題を鋭く切り取った、非常に考えさせられるエピソードだったと感じます。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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