【みんな、ボドになった。】30話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

【みんな、ボドになった。】第30話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、自らが犯した「父殺し」という罪の記憶と向き合うことになった沙織。第30話では、罪悪感に苛まれる彼女と、それぞれの思惑を抱く仲間たちとの間で、物語が大きく動きます。そして、親友だと思っていた人物から、長年秘められていた激しい憎悪が突きつけられることになるのです。
罪の意識と、一筋の光
「私が殺されればよかった」
全てを思い出した沙織は、「全部…私のせいなの…」「友達も家族もみんな巻き込んで壊しちゃった」と、深い罪悪感に打ちひしがれます。そんな彼女を、百一は「もう大丈夫だから」と優しく抱きしめますが、その優しさが偽りであることを、読者(そしてウィリアム)は知っています。
友の言葉と再起への意志
百一の家である寺で体を休める沙織。彼女は風呂場にいたウィリアムに、助けてくれたことへの感謝を伝えます。そして、黒幕である百一のことを「根は悪い人じゃないの」「昔はすごく友達思いで、私の事もよく庇ってくれたんだ」と語り、自分のせいで彼らを変えてしまったのだと自らを責め続けます。
そんな彼女の姿に、ウィリアムは「違う」「君は悪くない……悪いのはすべてこの村だ」と力強く語りかけ、彼女の心を縛る罪の意識を、真っ向から否定するのでした。
親友の告白、その名は「嫉妬」
雨中の来訪者、秋穂
束の間の穏やかな時間も長くは続きません。玄関のドアを激しく叩く音。そこに立っていたのは、傘を差しながらも雨に濡れた、同級生の秋穂でした。
「ケガさせるつもりじゃ…」襲撃犯の正体
沙織は、昨夜の襲撃犯が秋穂ではないかと単刀直入に問い詰めます。すると秋穂は、あっさりとその事実を認めました。「違うの…あれはやりすぎだった」と。彼女こそが、あの小柄なボドの正体だったのです。
「沙織が悪いんだからね!」爆発する憎悪
しかし、彼女の口から続いたのは謝罪の言葉ではなく、沙織に対する積年の恨みでした。
「でも沙織が悪いんだからね!」
「あんたが村を嫌って…しきたりを破って東京なんかにでてったりするから…!」
沙織が村を捨てたせいで、村に残った自分たちがどれだけ迷惑を被り、村の大人たちから「あの厄介者の友達をなんとかしろ」と責められ続けたかを、秋穂は涙ながらに訴えるのでした。
歪んだ村の構造と、新たな脅威
百一が背負わされた「役目」
秋穂の告白によって、黒幕である百一の行動の背景も、少しずつ見えてきます。村の有力者一族である幸信や百一は、掟を破った沙織の「友人」として、特に厳しい立場に置かれていました。そして、表立って動けない幸信の代わりに、百一が様々な汚れ仕事をやらされていたというのです。彼が秋穂に協力を求めたのも、「祭りで戻ってきた沙織を村に留まらせる」という、村からの命令を遂行するためでした。
闇からの急襲
秋穂が「いつもみんな身勝手なあんたの事ばっかり」と、沙織への嫉妬と憎しみを爆発させた、まさにその時。一台の車のヘッドライトが、闇を切り裂いて二人を照らします。次の瞬間、車から降りてきた何者かが、秋穂を背後から力強く拘束しました。一体、誰が、何のために。新たな脅威の出現に、物語は再び混沌の渦へと飲み込まれていきます。
まとめ【みんな、ボドになった。】30話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、登場人物それぞれの苦悩や葛藤が深く描かれた、非常に人間ドラマの濃い回でした。特に、秋穂の告白には胸が締め付けられました。彼女の行動は決して許されるものではありませんが、村という閉鎖的なコミュニティの中で、異端者の友を持つことで受け続けたプレッシャーや、積もり積もった嫉妬心を思うと、一概に彼女だけを悪とは断じきれない、複雑な気持ちになります。この村では、誰もが被害者であり、加害者になりうるのだと改めて痛感させられました。
百一の行動原理も少しずつですが見えてきました。彼もまた、この村の歪んだシステムに利用され、苦しんでいた一人なのかもしれません。彼の狂気は、この村そのものが生み出した、一つの悲劇なのだと感じます。
そんな中で、唯一村の常識に染まらず、沙織に「君は悪くない」と寄り添い続けるウィリアムの存在が、大きな救いとなっています。彼の存在こそが、今後の反撃の鍵を握ることは間違いないでしょう。
ラストの新たな襲撃者の登場で、物語は全く予想のつかない方向へ。敵は百一や村の大人たちだけではなかったのか。息もつかせぬ展開に、次回が待ちきれません。
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