【みんな、ボドになった。】35話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

【みんな、ボドになった。】第35話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、衝撃の事実が明かされました。沙織を助けてくれたクレープ屋の主人は、彼女がその手で殺めてしまった父・隆文の兄、つまり沙織自身の「伯父」だったのです。第35話では、その伯父の口から、沙織の両親の出会い、そして彼自身が村の闇に加担してしまった、悲しくおぞましい過去が語られます。
語られる過去、両親の馴れ初めと村の罠
よそ者だった父、村人だった母
沙織、そして傷ついた幸信と百一を前に、伯父は静かに過去を語り始めます。かつて彼は、弟である隆文(沙織の父)、そして年老いた母と共に、鬼夜沢の町で貧しい暮らしを送っていました 。怠け者だった自分とは対照的に、弟の隆文は生真面目で人柄も良く、誰からも好かれる好青年だったといいます 。
そんな隆文が結婚相手として連れてきたのが、会社の後輩であり、鬼夜沢村から通っていた帰村井敦子――沙織の母でした 。しかし、結婚には先立つものが必要。貧しい兄弟には、その資金がありませんでした。そんな時、隆文は希望に満ちた顔で語ります。
「彼女の村ってすごく裕福なんだ」
「移住すれば 家や仕事 生活資金まで 必要なものはすべて村が用意してくれるんだ」
弟の幸せを願う伯父は、そのあまりに都合のいい話を疑うことなく受け入れてしまいます。そして隆文は、村の甘い誘いに乗り、姓を「帰村井」に変え、鬼夜沢村の一員となったのです 。
弟を売った代償、伯父が背負った罪
「聞く」だけでいい――密告者への道
弟が村へ去った後、町に残った伯父はクレープ屋を始め、細々と暮らしていました 。そんな彼の店に、ある日、村の有力者らしき男が訪れます。男はクレープを絶賛し、村での出張販売を依頼。その際、法外とも思える多額の礼金を渡してきました 。
そして、男は伯父に、ある「仕事」を持ちかけます。
「『聞く』だけでいいんです」
伯父に課せられた役目、それは、村に出入りする外部の人間として、村人たちのあらゆる会話――家族の他愛ない話から、知人同士の愚痴や悪口まで――に常に聞き耳を立て、その内容を記録し、村の上役に報告する**「密告者」**となることでした 。
罪の償いと、消えない十字架
「やっぱり雇われてたんですね…密告者として」と幸信に指摘され、伯父は力なく頷きます。しかし、彼は「…今は違う」と続けました 。
「村にマークされそうな人間に忠告したり 身を守るために手を貸している」
現在は、かつて自らが犯した罪を償うかのように、村の犠牲になりそうな人々を陰で助けていたのです。しかし、彼の表情は晴れません。「…そんな事をしても罪は消えないが…」と、その言葉には、決して消えることのない深い後悔と苦悩が滲んでいました 。
「それでも聞くかい?」――覚悟を問う最後の言葉
仲間たちが知らない、最後の真実
「罪って…?」と尋ねる沙織に、伯父は、これから話すことが「君達でさえ知らない事だ」と告げます 。それは、沙織を今以上に苦しめてしまうかもしれない、あまりにも重い真実 。幸信は「待って下さい」「彼女に何を話すつもりですか…!?」と、沙織を庇うように止めに入ります 。
「ちゃんと向き合えるから」沙織の決意
伯父は、沙織に最後の選択を迫ります。
「それでも聞くかい……?」
幸信も「お前は無理に聞かなくてもいい」と彼女を気遣いますが、沙織の決意は揺らぎませんでした 。
「大丈夫」
「どんな事でも全部知りたい ちゃんと向き合えるから…!」
その強い瞳を見て、伯父は「…わかった…」と静かに頷き、最後の告白を始めるため、固く沙織の手を握るのでした 。
まとめ【みんな、ボドになった。】35話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、物語の背景が深く、そして切なく描かれた回でした。沙織の両親の馴れ初め、そして伯父が村の闇に加担してしまった経緯は、人間の弱さや、貧しさという状況が生み出す悲劇をまざまざと見せつけられたようで、胸が締め付けられました。弟の幸せを願う気持ちが、結果的に彼を地獄へ送る手助けになってしまった伯父の葛藤を思うと、言葉もありません。
また、村が外部の人間を「密告者」として巧みに利用し、情報を徹底的に管理するシステムの狡猾さには、改めて背筋が凍りました。金と引き換えに魂を売ることを強いる、その悪魔的な手口は、この村の闇がいかに根深いかを物語っています。
そんな重い過去が明かされる中で、ひときわ輝いて見えたのが、ラストの沙織の姿です。次々と明かされる絶望的な真実に打ちのめされながらも、すべてを知り、向き合おうとする彼女の強さ。その覚悟を決めた瞳には、もはやかつての怯えた少女の面影はなく、物語の主人公としての確かな成長を感じ、心を打たれました。
伯父がこれから語る「最後の真実」とは一体何なのか。幸信や百一でさえ知らないというその秘密が、この物語をどのような結末に導くのか。息をのむような緊張感とともに、次回を待ちたいと思います。
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