【みんな、ボドになった。】36話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

【みんな、ボドになった。】第36話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、沙織は自らの伯父であるクレープ屋の主人から、すべての真実を聞く覚悟を決めました。第36話では、伯父の口から、13年前に起きたすべての悲劇の、本当の始まりが語られます。それは、彼のほんの些細な好奇心から生まれた、あまりにも無責任な行動が引き金でした。そして、その告白は仲間内に新たな亀裂を生み、事態は最悪の局面を迎えます。
悲劇の引き金、伯父の軽率な好奇心
子供を操った無責任な扇動
伯父の告白は、衝撃的な内容でした。彼が村の密告者として働き始めた頃、村ではクリーンセンター計画を巡って推進派と反対派が対立。彼は「ボド祭り」で怪しい事が行われているという噂を耳にし、好奇心からその内情を探ろうと画策します 。
そのために彼が利用したのが、当時小学生だった清太郎でした。
「毎年 特別な人だけ集まって真夜中に何してると思う?」
「学校新聞の題材 そういうの調べたらウケるんじゃないか」
伯父は、常連客だった清太郎に「特別サービス」と称して豪華なクレープを渡し、巧みな言葉で彼の冒険心を煽ります。さらに、「えらい人(幸信)の息子が一緒なら見つかっても怒られないさ」と、子供たちを危険な祭りの夜へと無責任に誘導したのです 。
この、大人の軽率な好奇心と扇動こそが、子供たちが地獄を目撃し、沙織が父を手にかけ、清太郎が心を病むという、すべての悲劇の直接的な引き金だったのでした。
明かされる罪の連鎖
「あんたが余計な事をしなければ…!」――百一の怒り
すべての元凶が伯父であったことを知り、百一は激しく彼に掴みかかります。
「ふざけんな」
「情報欲しさに子供を操って祭りを探らせたのかよ…!」
「あんたが余計な事しなければ 僕達も清太郎も巻き込まれなかった…!」
伯父の身勝手な行動がなければ、誰も不幸にならなかった。その怒りと悲しみが、百一を突き動かします。
父を売った密告者
さらに、沙織はもう一つの残酷な真実に気づきます。伯父が集めていた村人たちの噂話や会話の記録。それこそが、村の意に沿わない人物を「不用品」として選別するために利用されていたのです。
村の制度に反抗した父も、しきたりに背いた者も、伯父の密告によって処刑のリストに加えられていた 。沙織の父は、実の兄によって、間接的に処刑台へと送られていたのでした。
知らなかった弟の真実と、拭えぬ後悔
伯父は、弟(沙織の父)が村の反対派に協力していたことは「本当に…知らなかった」と、深く頭を下げて謝罪します 。弟は、兄が村の密告者であることを知っていたからこそ、危険が及ばぬよう自分の身元を隠していたのです 。
祭りが終わった後、村人たちの噂話からすべてを知った伯父は、自分が弟の娘である沙織を、どれほどおぞましい運命に巻き込んでしまったのかを悟ったのでした 。
絶望の先の共闘、そして新たな敵
「私たちに力を貸して」――芽生えた絆
すべての告白を聞き終えた沙織。彼女は「伯父さんの事 許せないけど」としながらも、「私にも…人を責める資格はないから」と、自らの罪も受け入れます 。そして、憎しみを乗り越え、伯父にこう告げるのです。
「……もし 本当に清太郎や父に申し訳ないと思っているなら」
「…私たちに力を貸して」
伯父はその言葉を受け入れ、「準備を整えてまた戻る」と、村の闇と戦うための協力を約束してくれました 。
「全部バレてんだよ」――源吾の襲来
しかし、束の間の希望は、最悪の形で打ち砕かれます。伯父が去った直後、家の戸口に現れたのは、同級生の源吾でした。彼は、不気味な笑みを浮かべて言い放ちます。
「沙織よぉ 俺が何も気づかねーとでも思ってたのかよ」
「お前らが何を企んでんのか全部バレてんだよ」
仲間だと思っていた人物が、また一人、敵としてその本性を現したのです。
まとめ【みんな、ボドになった。】36話を読んだ感想(ネタバレあり)
すべての元凶は、伯父の些細な好奇心だった――。あまりにも衝撃的な真実が明かされ、読後はしばらく言葉が出ませんでした。彼の軽率な行動ひとつが、ドミノ倒しのように次々と悲劇を生み、多くの人々の運命を狂わせてしまった。この罪の連鎖の恐ろしさに、ただただ戦慄するばかりです。
しかし、そんな伯父を一方的な悪として描かないのが、この物語の深いところだと感じます。彼もまた、貧しさや孤独といった人間的な弱さを抱え、過ちを犯してしまった一人の人間。そして、その罪に今も苦しみ続けている。彼の姿は、誰しもが意図せずして巨大な悪の一部になりうるという、普遍的な恐怖を突きつけてくるようでした。
そんな絶望的な真実を前に、憎しみを乗り越えて伯父に協力を求めた沙織の姿には、彼女の確かな精神的成長を感じ、胸が熱くなりました。彼女はもう、守られるだけの少女ではありません。
しかし、ラストの源吾の登場。これには心底ゾッとしました。仲間だと思っていた人物が、実はすべてを知る敵だった。この底知れない絶望感は、まさに悪夢です。「全部バレてる」という彼の言葉が、沙織たちの反撃の計画が、いかに絶望的な状況に置かれているかを物語っています。一筋の光が見えたかと思った瞬間に、さらに深い闇へと突き落とす。この巧みなストーリーテリングに、次回を待つのがもどかしいような、怖いような、複雑な気持ちでいっぱいです。
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