【みんなは贅沢というけれど】8話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 渉が告げた「離婚してくれ」という言葉は、亜季を愛しているがゆえに、これ以上自分の暴力で彼女を傷つけたくないという苦渋の決断でした。
- 亜季は渉の真意を理解し、「大切な家族だから」と彼に寄り添い、二人は和解。渉は自身の辛い過去をすべて打ち明けました。
- 心を通わせた二人でしたが、今度は亜季が「私の両親の話」をすると切り出し、彼女自身も何かを抱えていることを示唆しました。
【みんなは贅沢というけれど】第8話をネタバレありでわかりやすく解説する
前回、自らの壮絶な過去を語り終えた亜季。第8話では、物語の視点は彼女の母・美冬へと移り、なぜ彼女が「無関心」を装って生きてきたのか、その衝撃的な過去が描かれます。それは、一人の卑劣な男によって人生を狂わされた、壮絶な復讐と忍耐の記録でした。
SIDE: 南野美冬 – 全ての始まり
酷い男、森影英治
物語は、美冬の夫であり、亜季の父である「森影英治(もりかげ えいじ)」の死顔を見つめる美冬のモノローグから始まります。「夫・英治は 本当に酷い男で」。彼の死はあまりにもあっけなく、しかしそれを見た美冬の心に湧き上がってきたのは、悲しみではなく怒りでした。
英治の実家・森影家は、代々政治家を輩出する町の名家。その権力は絶大で、「白」を「黒」に、「黒」を「白」にすることさえ可能だと言われるほどでした 。英治はその森影家の末弟でしたが、出来の良い兄や姉とは違い、早々にエリート街道から脱落。暴力沙汰や半グレとの付き合いが絶えず、そのたびに家の権力で揉み消されるという、手のつけられない厄介者だったのです 。
美冬の不運は、この英治に目をつけられたことから始まりました 。
運命を変えた出会い
高校生の夏、美冬は家の仕事の手伝いで、配達のために森影家を訪れます。そこで彼女は、英治と出会ってしまいました。美冬を見るなり「うわぁ かっわいい!!!!」と欲望を隠さない英治。彼は強引に美冬を自分の部屋に誘いますが、家の使用人が間に入り、その場は事なきを得ます。使用人は、去り際に「もうその子 連れて来ないで」と囁き、英治の危険性を暗に示唆していました。
しかし、この一度の出会いが、英治の歪んだ独占欲に火をつけました。彼は他県からわざわざ会いに来ては、美冬を口説くようになります。ただ、最初の頃の強引さはなく、断ればあっさりと引いていく。その態度に、美冬は「なんか思ったより 普通の人だね」と、少しずつ警戒心を解いてしまっていました 。大学進学で町を離れるまでの、あと数ヶ月の辛抱だ、と。
仕組まれた事故と絶望
その油断が、命取りとなりました。大学合格が決まった日、英治に声をかけられた美冬は、彼が差し出したコーヒーを、つい受け取ってしまいます。
次に彼女が目覚めた時、そこは病院のベッドの上でした。丸一日、意識を失っていたのです 。英治の運転する車で事故に遭ったこと、そして英治の友人たちの集まりで美冬が飲酒をしていた、という身に覚えのない事実を告げられます。
さらに追い打ちをかけるように、SNSには泥酔したかのような美冬の写真がアップされ、それが動かぬ証拠となってしまいました 。結果、美冬は高校を停学処分となり、勝ち取ったばかりの大学合格も取り消されてしまったのです 。
すべては、英治が仕組んだ卑劣な罠でした。彼は「責任を取る」という名目で、思考停止状態の美冬を言いくるめ、自分の元で生活をさせ始めます。そして、美冬の人生をさらに絶望の淵へと突き落とす事実が発覚します。彼女のお腹には、英治の子供が宿っていたのです 。
歪な「家族ごっこ」の始まり
復讐の契約
妊娠の事実を知ったことで、美冬の心に再び闘志が宿ります。彼女は英治と対峙し、一つの「取り決め」を交わすことにしました。
「私はあなたの望みどおり この子を成人するまで しっかり育てます」 「…だから 育児が終了したら…」「R大でなくてもいい 大学に行かせて」
人生をめちゃくちゃにされたことへの復讐。それは、子供を育て上げるという責任を果たした上で、奪われた未来を自らの手で取り戻す、という強い意志の表れでした。英治はこの条件を飲みますが、彼もまた「美冬がちゃんと 俺の『妻』をしてくれなきゃ」という条件を付け加えるのでした 。
娘・亜季の誕生
こうして生まれたのが、娘の亜季でした。意外なことに、あれほど自己中心的だった英治は、娘の誕生を涙を流して喜び、率先して育児に取り組む「子煩悩な父親」になったのです 。
しかし、それはあくまでも歪な「家族ごっこ」。12年の歳月が流れたある日、英治はあっけなくこの世を去り、美冬の長い復讐劇は突然の終焉を迎えます。そして物語は、亜季の前に現れたフリーライターの件で、美冬がそのライターに電話をかけるシーンで終わります。
娘を育てながら、美冬は常に葛藤していました。「『愛しい』と思うことなんて いくらでもあった」、「でも次の瞬間 すごい勢いで」、「愛しい…? あの男の遺伝子が 体の中にあるのに…?」。憎い男の血を引く娘への、あまりにも複雑な感情。それは、彼女だけが抱える、誰にも理解されない問題だったのです 。
【みんなは贅沢というけれど】第8話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、これまでとは全く違う視点から語られる、衝撃的なオリジンストーリーでした。亜季の母・美冬が、なぜあんなにも無表情で、感情を見せない人物だったのか。その理由が、あまりにも過酷で、胸が張り裂けそうになりました。権力者の道楽息子に人生をめちゃくちゃにされ、望まぬ妊娠をし、それでも屈せずに復讐を誓う。彼女の生き様は、壮絶としか言いようがありません。
特に印象的だったのは、娘・亜季に対する美冬の複雑な感情です。憎い男の子供でありながら、 undeniably愛しいと感じてしまう。その愛情と憎しみの間で揺れ動く彼女の葛藤は、非常にリアルで、読んでいて涙が出そうになりました。彼女が亜季と距離を置いていたのは、無関心なのではなく、愛しているからこそ、自分の憎しみをぶつけてしまわないようにするための、必死の防御策だったのかもしれません。
そして、この話で最も恐ろしかったのは、森影英治という男の卑劣さです。権力を笠に着て、一人の女性の人生をゲームのように弄ぶ。彼の行動は、到底許されるものではありません。彼が意外にも「子煩悩な父親」になったという描写が、逆に彼の異常性を際立たせていました。
この過去を知った上で、倉田渉と亜季の物語をもう一度読み返すと、全く違った景色が見えてくるはずです。親から受けた傷、歪な家族関係。二人が惹かれ合ったのは、偶然ではなかったのかもしれません。
【みんなは贅沢というけれど】第8話のネタバレまとめ
- 今回の物語は、亜季の母・美冬の視点から、彼女が亜季の父・英治と出会い、結婚に至るまでの壮絶な過去が描かれます。
- 英治は権力者の家の厄介者で、高校生だった美冬に目をつけ、周到な罠にはめて彼女の人生を支配下に置きました。
- 英治は交通事故を装い、SNSに偽の証拠をアップすることで、美冬の大学合格を取り消させ、彼女を孤立させます。
- 望まぬ妊娠をした美冬は、子供を成人まで育てる代わりに、その後大学へ行くことを英治に約束させ、歪な結婚生活を始めます。
- 娘・亜季が生まれた後、英治は意外にも子煩悩な父親になりますが、美冬は憎い男の血を引く娘に対し、愛情と憎しみの間で苦しみ続けることになります。
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