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よくある令嬢転生だと思ったのに5話ネタバレ
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つらい現実を受け止めるエディット
エディットは、大回廊から見えた光景――夫であるキリアンがリゼとクリフとともに楽しげにお茶をしている姿――を見ても、表情を変えることなく歩き続ける。結婚したばかりの夫が、別の女性と親しげに過ごしている。それは本来ならば屈辱的な場面であるはずだった。
しかし、彼女はすでにキリアンからの好意を期待していない。今の目的は、公爵家で生き残ること。余計な感情を抱くことは無意味だと、冷静に自分に言い聞かせる。
そんなエディットの態度に、案内役のリナン・フィルチ男爵は困惑する。普通なら、嫉妬や動揺を見せるはずなのに、彼女は何事もなかったかのように振る舞っていた。
リナンの報告――エディットの印象は変わるのか?
その後、リナンは公爵にエディットを案内した際の様子を報告する。
「噂とは違い、品のある女性でした」
それ以外にも、館の美しさに感動していたこと。ひとつひとつ大切に眺めていたこと。礼儀もわきまえており、派手で傲慢な女性ではなかったこと。
リゲルホフ伯爵家の娘と言えば、贅沢で自己中心的な令嬢だというのが一般的な評価だった。しかし、実際のエディットは違った。その事実に、公爵は少し興味を持つ。
さらにリナンは、大回廊でエディットがキリアンたちを見た際のことも報告した。普通ならば、夫が別の女性と仲睦まじく過ごしている様子を見れば、不満や嫉妬を露わにするもの。しかし、エディットは何も言わず、感情を一切表に出さなかった。
「エディット嬢の反応は少し意外だった」とリナンは続ける。
これを聞いた公爵は、キリアンに怒りを覚えながらも、エディットという人物に対して少し興味を抱き始めるのだった。
エディットの新たな考察――リゼの攻略方法
エディットは、リゼという存在について改めて考える。
リゼはこの世界の「主人公」とも言える存在であり、周囲から愛され、運も味方につけている。彼女の人生は、どんな困難にも負けることなく、最終的には成功へと導かれるようにできている。
リゼは、もともと伯爵家の私生児だった。そのため冷遇され、辛い生活を送っていたが、ある日、公爵夫人が馬から落ちそうになったところを助けたことで、公爵家に引き取られることになった。そして、そこから彼女の運命は好転し、貴族社会の中で特別な存在となっていく。
「結末だけ見ると、この世界で最強の運を持ったキャラクター」
一方で、エディットが転生する前の百合子は、不幸な人生を歩んできた。リゼと同じく虐げられた過去を持ちながら、最後は階段から突き落とされて人生を終えてしまった。この違いは、まさに「運の強さ」の違いだった。
エディットは、リゼが主人公である以上、彼女を敵に回すのは得策ではないと考える。そして、リゼとうまく関係を築く方法を模索しようとするのだった。
「エディットは人質」――キリアンの冷たい認識
エディットは、リゼと話をする機会を探していた。しかし、その前にキリアンがやってきてしまう。彼の存在に気づいたエディットは、その場を離れることにした。
一方、キリアンの本音が語られる。
「どうせすぐにいなくなる人質だろう?」
彼にとって、エディットは妻ではなく、ただの政治的な駒でしかなかった。リゲルホフ伯爵家と婚姻関係を結ぶことになったのは、伯爵がレンストン大公側につかないようにするため。そのための「道具」として、エディットは公爵家に送られたに過ぎない。
だからこそ、キリアンは彼女を大切にする気はなく、むしろ軽蔑すらしている。
シンクレア伯爵家で語られるエディットとキリアンの結婚
シンクレア伯爵家では、エディットとキリアンの結婚について議論が交わされていた。特に末娘のレイラ・シンクレアは、この結婚に強い不満を抱いている。
「よりによってなんであの女なのよ!」
怒りを抑えきれないレイラは、持っていたティーカップを床に叩きつけ、粉々に砕け散る。その表情は怒りと困惑に満ちており、まるで許しがたい裏切りを目の当たりにしたかのようだった。
レイラにとって、エディットはキリアンの伴侶としてふさわしくない存在。公爵家の未来を担う相手が、あのリゲルホフ家のよりによってエディットであることが許せなかったのだ。
そんな妹の激しい怒りをよそに、シンクレア家の長男であるダミアン・シンクレアが部屋に入ってくる。
「ふむ……ルドウィック公爵家は、つまらない女を集める趣味でもあるのかね」
そう言って、ダミアンは含み笑いを浮かべる。その言葉には、エディットだけでなく、リゼ・シンクレアのことも指しているのは明白だった。
しかし、彼の表情に浮かぶ笑みは単なる嘲笑ではなかった。
その奥には、何か別の思惑が隠されている。
ダミアンの目は冷徹に光り、何かを企んでいることが伺える。シンクレア伯爵家がエディットの結婚をどう受け止めているのか、そしてこれが今後どのような影響を及ぼすのか――それはまだ誰にもわからない。
彼の計画が動き出せば、エディットの立場はさらに危ういものになるかもしれない。
まとめ【よくある令嬢転生だと思ったのに】5話ネタバレ
- エディットはキリアンがリゼたちとお茶をしているのを見ても動じなかった
- キリアンに期待せず、公爵家で生き残ることを最優先に考えている
- リナン・フィルチ男爵は、エディットの品位ある振る舞いを公爵に報告
- 公爵はエディットの行動を聞いて少し興味を持ち始める
- リナンはエディットがキリアンたちを見ても何も言わなかったことも報告
- 公爵はキリアンの態度に怒りを覚えつつ、エディットを観察しようと考える
- エディットはリゼを敵に回さない方が得策だと判断
- リゼは過去に公爵夫人を助けたことで公爵家に引き取られた
- リゼは運の強い存在であり、最終的に成功する立場にある
- 転生前の百合子は不幸な境遇で、リゼとは正反対の運命を持っていた
- キリアンはエディットを「どうせすぐにいなくなる人質」と見なしている
- この結婚は伯爵家がレンストン大公側につかないための戦略的手段
- キリアンはエディットを道具として扱い、大切にする気がない
- シンクレア伯爵家ではエディットとキリアンの結婚が話題になる
- ダミアンは公爵家が「つまらない女ばかり集める」と皮肉を言う
- しかし、ダミアンの言葉の裏には何か企みが隠されている