【わたしの好きな人は、】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【わたしの好きな人は、】第12話をネタバレありで解説する
「そんなに、その人と結婚がしたいんですか?」――。第11話で、咲村が投げかけた、あまりにも真っ直ぐな問い。第12話は、その問いに答えられなかった莉乃が、ついに自分自身の心、そして婚約者である裕人との関係の「真実」に直面する、物語の大きな転換点を描きます。これは、彼女が長年見て見ぬふりをしてきた問題と、決着をつけるまでの物語です。
答えられなかった「はい、そうです」
咲村の問いに、莉乃は何も答えられません。「そうだよ」と、ただ一言、肯定すればよかった。そうすれば、彼も諦めてくれたはずなのに。なぜ、その一言が言えなかったのか。莉乃は、自分の心の中にあったはずの「裕人と結婚したい」という気持ちが、すでに存在しないことを、この時、痛感させられるのでした。
最後の砦…「一緒にやろう」と言ってくれない婚約者
咲村への想いを振り払うように、婚約者である裕人の元へ帰った莉乃。しかし、そこで彼女を待ち受けていたのは、またしても彼の無神経な一言でした。山積みになった結婚式の招待状を前に、裕人は悪びれもなくこう言います。「いや俺の分も書いてもらおうと思って」。
深夜までかかりそうな作業を、手伝う素振りすら見せない。そんな彼に、莉乃は最後の望みをかけて問いかけます。
「…ヒロくんは一緒にやろうかって言ってくれないの?」
しかし、返ってきたのは「莉乃の方が字キレイだし」という、ただの言い訳。この瞬間、莉乃の中で、何かがぷつりと切れました。
「知っちゃったんだよね」本当のパートナーの姿
一人、黙々と招待状を書き進める莉乃。彼女は、これまでの自分を振り返ります。彼の後ろをついていくだけの方が楽だと、それが幸せだと信じていた。しかし、今は違います。
「だけど知っちゃったんだよね」「隣に並んで一緒に頑張りましょうと言ってくれた人がいたから」
仕事のミスを「一緒に乗り越えよう」と言ってくれた咲村の姿。彼の存在が、莉乃に「本当のパートナー」とはどういうものかを教えてくれていたのです。裕人との間にある決定的な違いに気づいてしまった彼女は、もう後戻りできませんでした。
「そろそろいい頃かなって」愛のないプロポールの真実
莉乃は、書く手を止めます。そして、眠そうな顔をする裕人に、ずっと聞けなかった質問を投げかけました。
「ヒロくんはどうして私と結婚しようと思ったの?」
それは、二人の関係の根幹を問う、最後の質問でした。それに対し、裕人は面倒くさそうに、こう答えます。
「付き合って結構経つし そろそろ籍いれてもいい頃かなって思って」
愛情でも、情熱でもない。ただ、「時間」と「タイミング」だけを理由に、彼は莉乃にプロポーズをした。その事実が、莉乃にすべての答えを教えました。彼女が求めていた「幸せ」は、ここにはなかったのです。
まとめ【わたしの好きな人は、】12話を読んだ感想
第12話は、莉乃の心が「壊れる」のではなく、「目覚める」瞬間を描いた、静かながらも非常にパワフルな回でした。特に、招待状の宛名書きという、結婚準備の中でも特に地味で現実的な作業が、二人の関係性を終わらせる最後の引き金になったという描写が、あまりにもリアルで秀逸だと感じました。
そして、裕人の「そろそろいい頃かなって」というセリフ。これは、多くの人が現実で経験したり、耳にしたりしたことがあるかもしれない、ある意味で「普通の」理由です。しかし、愛を求めている人間にとって、これほど残酷な言葉はありません。彼の中には、莉乃という個人への強い想いはなく、ただ「結婚」というイベントの相手役として彼女を置いていただけ。その事実が明らかになった瞬間、読者も莉乃と共に絶望的な気持ちになったはずです。
しかし、この絶望は、彼女にとっての「始まり」でもあります。咲村くんという存在によって「本物のパートナーシップ」を知ってしまった彼女は、もう偽りの幸せで自分を騙すことはできません。彼女がペンを置いたあの瞬間、それは裕人との関係にピリオドを打った瞬間でもありました。彼女がこれからどんな決断を下すのか、目が離せません。
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