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【タコピーの原罪】第11話「日本縦断 しずかツアー」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第10話「東くんの救済」 兄の潤也くんに「お前が殺したんだろ」と問い詰められた東くん。絶望する東くんに、潤也くんは自身の弱さや過去を打ち明け、弟を思う真っ直ぐな気持ちを伝えます。その言葉に心を動かされた東くんは、ついに兄に全てを話す決意をする一方、しずかちゃんはタコピーと共に東京へ向かおうとするのでした。

【タコピーの原罪】第11話「日本縦断 しずかツアー」をネタバレありで解説する

前話では、兄・潤也の言葉によって、東がようやく本心を打ち明ける決意をするという変化が描かれました。一方、しずかはタコピーを連れて東京へ。第11話「日本縦断 しずかツアー」では、しずかとタコピーの東京での出来事、そして物語が衝撃的な転換点を迎える様子が描かれます。

チャッピーを求めて、いざ東京の父の元へ

物語は、「タコピーと しずかちゃんは 連れ去られた チャッピーと再会するため はるばる 東京 パパのところへ 向かうのであった」という、どこかコミカルなあらすじ紹介で始まります 。そして、しずかとタコピーは東京の錦糸町にある、しずかの父が住む高層マンションに到着します 。チャッピーとの再会を目前にし、しずかは期待に胸を膨らませます

インターホンを鳴らすと、出てきたのは驚いた表情の父でした。しずかは「私チャッピーに 会いに来たの」と告げますが、家の中からは「えりちゃん」という女性の声と赤ん坊の泣き声、そしてチャッピーとは違う犬の鳴き声が聞こえてきます。

父の新しい家族と、しずかの残酷な憶測

部屋から出てきたのは、チャッピーではない小型犬と、しずかの父を「お父さん」と呼ぶ幼い女の子・さつきでした 。父には新しい家族ができていたのです。状況が理解できないしずかは、「よくわからないなぁ・・・」「あの子供たちが チャッピーを 食べちゃったのかも」「胃の中を 調べれば わかるかな」と、タコピーに恐ろしい提案をします

しずかはタコピーに「人間をつかまえて 胃の中を 調べる道具 出して」と詰め寄りますが、タコピーは「そんな道具は ないっピ」と答えるしかありません 。しずかはタコピーの触手を掴み、「じゃあいいよ 私が考えるから」「バレずに 夜に忍びこめるし」と、自ら父の新しい家族に危害を加えようとするような言動を見せます

タコピーの願いと、しずかの絶望

しずかの常軌を逸した様子に、タコピーは「ぼくが頭が悪くて だめだめだっピから しずかちゃんが こんな ボロボロになるまで がんばらせちゃったっピ」「ごめんね」と謝罪し、「だからもう 帰ろうっビ」「ぼくはただ きみに 笑ってほしいっピ」と、元のしずかに戻ってほしいと心から願います

しかし、しずかは「ふん」「タコピーももう 助けてくれないんだ」「ずっと 一人だった あの時から ずっと」とタコピーを突き放します 。その時のしずかの虚無的な目に、タコピーは既視感を覚えます 。しずかは「じゃあもう いいや」と全てを諦めたかのように呟きます

タコピーの覚醒、そして運命の再会

その瞬間、タコピーの中で何かが変わります。「そうだ どうして 忘れてたん だろう」「ぼくは ハッピー星人! みんなを ハッピーに しちゃうっど!」と、地球に来た当初の目的を思い出したのです

そして、タコピーは目の前にいる少女に問いかけます。 「えーっと きみの 名前は・・・」 少女は答えます。

「…まりな」「雲母坂 まりな」

タコピーは、全ての始まりである、まりなとの最初の出会いの場面に戻っていたのでした。

まとめ【タコピーの原罪】第11話「日本縦断 しずかツアー」を読んだ感想

第11話「日本縦断 しずかツアー」は、物語の前提が覆るような、まさに衝撃的な展開の連続でした。しずかの父に新しい家族ができていたという事実は、彼女の行動原理や精神状態を理解する上で重要な要素であり、彼女の孤独と執着をより一層際立たせています。チャッピーがいなかったことに対するしずかの反応、特に「胃の中を調べれば」という発想は、彼女の思考が常軌を逸していることを明確に示しており、読者に強烈な不快感と恐怖を与えます。

タコピーがしずかの暴走を止めようとし、ただ彼女に笑ってほしいと願う姿は健気ですが、それがしずかには届かず、絶望を深めてしまう展開は非常にやるせないです。しずかの「ずっと一人だった」という言葉は、彼女の抱える闇の深さを物語っています。

そして何よりも衝撃的なのは、ラストでタコピーがまりなとの最初の出会っていたことです。「タコピーの原罪」というタイトルが、このループする悲劇そのものを指しているのかもしれないとさえ思えてきます。

タコピーが「みんなをハッピーにする」という初期の目的を思い出したことが、この繰り返される運命の中でどのような変化をもたらすのか、それとも再び同じ過ちを繰り返してしまうのか。まりなとの再会が、今度こそ二人にとって、そして周囲の人間にとって「ハッピー」な結果に繋がるのか、一縷の望みを託したい気持ちと、またしても絶望的な結末を迎えてしまうのではないかという不安が入り混じる、非常に引き込まれる終わり方でした。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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