【バラバラ夫婦】1話をあらすじから結末までわかりやすくネタバレ解説!

ずっちー

【バラバラ夫婦】第1話をネタバレありで簡単に解説する

ここでは、一見するとすれ違っているように見えるけれど、実は深い愛情で結ばれた夫婦の物語「バラバラ夫婦」の第1話について、ネタバレを含みながら詳しく解説していきます。口数が少なく不器用な夫と、明るく世話好きな妻。そんな二人の心温まる日常と、愛の形を紐解いていきましょう。

30歳の妻・真弓と38歳の夫・一位の日常

物語は、ある夫婦の穏やかな夕食の風景から始まります。登場するのは30歳の妻・矢野目真弓(やのめ まゆみ)と、38歳の夫・一位(いちい)です 。この年齢差のある夫婦の、独特ながらも愛情に満ちた関係性が、この第1話で丁寧に描かれています。

心のこもった手料理「もやしラーメン」

キッチンに立つ妻の真弓が、夫の一位のために腕を振るっています。彼女が作っているのは、得意料理の『もやしラーメン』です 。湯気の立つ鍋とフライパンを手に、「おまたせ〜」 と食卓へ向かう彼女の表情は、とても嬉しそうです。そして、「あがりー☆」 という明るい声と共に、愛情たっぷりのラーメンがテーブルに置かれます。この一連の描写から、真弓が夫のために料理をすることに喜びを感じている様子が伝わってきます。

食卓での穏やかな会話

食卓に着いた二人ですが、その会話は少し変わっています。真弓が「熱いから〜 火傷しないでね〜」 と優しく気遣うのに対し、夫の一位からの返事は「ん」 という短い一言だけです。さらに、ラーメンを食べ始める一位に、真弓はまるで母親のように「麺ばっかり食べないよ〜」 、「麺と野菜 一緒に食べるんだよ〜」 と声をかけます。

このやり取りだけを見ると、コミュニケーションが一方通行のように感じるかもしれません。しかし、これは二人にとって当たり前の日常であり、確立された関係性の中での心地よいリズムのようにも見受けられます。

不器用な夫の愛情表現

口数が極端に少ない夫の一位ですが、彼なりの方法で妻への愛情を表現しています。言葉足らずなりの、彼の不器用な優しさが垣間見えるシーンです。

「ん」に込められた想い

何を話しかけても「ん」 としか返さない一位に、さすがの真弓も少し拗ねたように「『ん』ばっか〜」 とつぶやきます。すると、その言葉に応えるかのように、一位はポツリと「んまい」 と感想を口にしました。これは、彼からの最大限の感謝と愛情の表現なのでしょう。

この不器用ながらも素直な一言に、真弓の表情は一気に和らぎます。「しょうがないなぁ〜」 という彼女の言葉は、呆れというよりも、夫のそんな性格を深く理解し、愛おしんでいることの証です。

すれ違う感謝の言葉

その後、真弓は少し申し訳なさそうに「ごめんね もやしメニューばっかで」 と謝ります。おそらく、家計を気遣って節約メニューが続いていることを気にしているのでしょう。しかし、一位はきっぱりと「謝る意味がわからん んまいぞ」 と返します。

彼にとっては、妻が作ってくれる料理であれば、それが何であろうと美味しく、感謝こそすれ謝られる理由などないのです。この短い会話から、二人の間の根本的な信頼と愛情の深さが感じられます。「私たちは夫婦だ」 というモノローグが、二人の絆の強さを物語っています。

回想:二人の出会いは2年前の電車

物語は、二人が夫婦になるきっかけとなった、2年前の出来事の回想シーンへと移ります 。口下手な一位と、心優しい真弓。そんな二人がどのようにして出会ったのでしょうか。

痴漢に絡まれる真弓

2年前、真弓は電車の中で見知らぬ男たちに執拗に絡まれていました 。卑劣な言葉を投げかけられ 、恐怖から何も言い返せずにいると、男たちの言葉はさらにエスカレートしていきます 。周りの乗客も見て見ぬふりをする中、真弓はただ耐えるしかありませんでした。

勇気を振り絞った一位の行動

そのとき、同じ車両に乗り合わせていた一位が、静かに立ち上がります。彼はためらうことなく男たちの前に立つと、「おい!!」 と力強く制止しました。そして、「やめろよ!」 、「嫌がってるだろう!」 と、震える真弓を庇います。普段は感情を表に出さない彼が、正義感から勇気を振り絞った瞬間でした。

救出後のぎこちない時間

一位の毅然とした態度に男はすごみますが 、結局は捨て台詞を残して去っていきます。助けられた真弓は、深々と頭を下げて「ありがとうございます…」 と感謝を伝えました。しかし、助けたはずの一位はひどく動揺しています。彼はパニックになりながら、「ああいうの嫌い…だから…」 、「どうでもいい奴は助けない」 と、自分の行動理由を必死に言葉にしようとしました。

「俺もあいつと変わらないというか…」 。この言葉は、誰かのためというより「自分が許せなかったから」という自己中心的な動機で動いてしまったことへの自己嫌悪の現れかもしれません。それでも彼は最後に、顔を赤らめながらも、一番伝えたかったであろう本心を口にします。「君が無事でよかった」 。この出来事が、二人の運命的な馴れ初めとなったのです。

現在:互いの全てを愛おしむ夫婦

回想が明け、物語は現在の寝室のシーンに戻ります。2年前の出来事を経て夫婦となった二人は、今、お互いをどのように想っているのでしょうか。

愛情の確認

ベッドの中で、真弓は幸せをかみしめるように「一位さんのそゆとこ ほんと好き」 とつぶやきます。不器用で口下手だけれど、いざという時には誰よりも優しく、頼りになる。そんな夫の全てを愛しているという気持ちが伝わってきます。

「全部大好きだよ」

「一位さんの手 大好き」 という真弓の言葉に、一位は少し的外れな返答をしてしまいます 。真弓はそれを優しく「そうじゃなくて〜」 と否定すると、彼の体ひとつひとつを愛おしそうに指差しながら、こう続けました。

「手…だけじゃないもん」 。「足も」 、「目も鼻も口も」 、そして、少し困ったように垂れた「この下がり眉も」

最後に、彼の頬に手を添えて、最高の笑顔で伝えます。「全部大好きだよ」

この言葉は、彼の見た目や部分的な長所だけでなく、彼の存在そのものを丸ごと愛しているという、何よりも深い愛情の告白でした。二人は静かにキスを交わし、物語は幕を閉じます。

まとめ【バラバラ夫婦】1話を読んだ感想(ネタバレあり)

第1話を読んで、まず心に温かいものが広がりました。タイトルにある「バラバラ夫婦」という言葉から、最初はすれ違いや不和を描いた物語を想像するかもしれません。しかし、実際に描かれていたのは、言葉の少なさや表面的なコミュニケーション不足といった「ちぐはぐさ」の奥にある、確固たる信頼と深い愛情でした。

特に印象に残ったのは、夫・一位のキャラクターです。彼の極端なまでの口数の少なさは、社会生活では短所と見なされがちでしょう。ですが、彼の愛情は言葉ではなく、行動で示されます。妻の作るもやしラーメンを「んまい」と一言で絶賛する姿や、過去の回想で危険を顧みずに真弓を助ける姿は、彼の誠実さと優しさを何よりも雄弁に物語っていました。

そして、そんな一位を誰よりも理解し、その不器用さごと愛している妻・真弓の存在が、この物語を優しさで満たしています。最後の「全部大好きだよ」 というセリフは、まさにこの夫婦関係の核心をつく言葉だと感じます。人は誰しも長所と短所を持っていますが、その人の一部分ではなく、存在そのものを丸ごと受け入れ、愛おしむこと。それこそが、本当の愛や絆なのかもしれないと、改めて考えさせられました。

一見バラバラに見える二人が、実は誰よりも強く結びついている。この心温まるギャップこそが、本作最大の魅力なのではないでしょうか。二人の何気ない日常に、これからもたくさんの幸せが隠されているのだろうと期待させてくれる、素晴らしい幕開けでした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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