【人間関係アディクション】30話をあらすじから結末まで簡単にネタバレ解説!

ずっちー

【人間関係アディクション】第30話をネタバレありで簡単に解説する

第29話では、スギョンが絶対的な支配者である先輩「ヘンシ」と出会い、彼女の「妹分」となることで、この歪んだ世界に足を踏み入れた衝撃の過去が描かれました。第30話は、読者の予想を裏切る、まったく別の衝撃的な事件から幕を開けます。そして、再び過去の回想へと戻り、スギョンが体験するさらなる屈辱と、彼女を取り巻く冷酷な人間関係が描かれる、息の詰まるような回です。

冒頭の衝撃、老婆に迫る不穏な影

物語は、一人の白髪の老婆が、路地裏で一匹の猫に優しく餌を与えている、穏やかな光景から始まります 。しかし、その平穏は次の瞬間、突然打ち破られます。老婆が家に入ろうとしたその時、家から逃げるようにして出てきたボミに、無慈悲にも突き飛ばされてしまうのです 。

ボミは「ヤバいヤバいヤバいヤバい…」と焦ったようにつぶやきながら、その場から猛スピードで走り去っていきます 。

なすすべもなく地面に倒れて頭を強打した老婆と、割れてしまった餌の器 。その一部始終を、近くの建物の屋根の上から一匹の猫が、ただ静かに見下ろしていました 。この不気味な冒頭シーンは、彼女たちの日常に潜む暴力がいかに無差別で、予測不能なものであるかを読者に強く印象付けます。

場面は変わり、後輩たちの冷酷な会話

衝撃的な事件の後、場面は路地裏へと移ります。

そこにいたのは、ボミとその仲間たちでした。ボミは、昨日の件で、ヘンシに殴られたことへの不満を「私が殴られるようなことじゃないのに… あのバカ女がちゃんとやらないから」と、まるでスギョンのせいだとでも言うように愚痴をこぼしています 。

仲間たちは「聞こえるわよ」と冷ややかに返し、ボミは「自分の話なのかも気づかないくらいバカだから」と、スギョンに対する悪口が聞こえていないであろうを嘲笑うのでした 。この短い会話からも、このグループ内の歪んだ力関係と、お互いへの不満が渦巻いている様子がうかがえます。

パシリにされるスギョン、偽りの賞賛と孤独

ライターがつかずにさらにイライラが募るボミ。離れたところにいたスギョンに対して「スギョン! こっちに来て!」と呼びかけました 。彼女はスギョンにライターを持っているか尋ね、持っていないと答えた後、スギョンが「買ってこようか?」と申し出ると、ボミは「そうしてくれるとうれしいな!!!!」と満面の笑みを見せます 。

そして、「やっぱりスギョンは最高ね〜」と褒め称えますが、その言葉にはどこかスギョンを都合のいい道具としてしか見ていない、冷たさが感じられます 。スギョンは「五分以内に買ってくるね!」と言って、一人走り出しました 。

しかし、スギョンが走り去った後、ボミは「私だって生きのびなきゃならないんだから」と、冷たく呟きタバコを投げ捨てます 。

そんな歪んだやりとりを終えた後、「退屈だしカラオケ行く?」という話題に。スギョンの「私も一緒に…」という言葉はじゃれあう仲間たちには届かず弱々しく霧散していきます。「スギョン!私たちカラオケ行くから」「今日はありがとね! じゃあまた明日!」というボミの一方的な言葉を背に、スギョンは再び一人取り残されてしまうのでした 。

新たな出会いと絶対的支配者の登場

一人取り残されたスギョンは、「家にはまだ帰りたくないし…」と、ヘンシに連絡を取ろうと考えます 。そして、彼女に教えてもらった細長いアパートへと向かいました 。

アパートの前には、ヘンシとその仲間たちがいました。スギョンは「私を出迎えてくれたのかな?」と淡い期待を抱きますが、その期待はすぐに打ち砕かれます 。ヘンシの仲間の一人、黒い服を着た少女(後のラン?)が、スギョンの前を通り過ぎる際に「どけ」と冷たく言い放ったのです 。

ヘンシは、その少女を「うちの学校の一年生よ」と紹介し、「…そのうち性根を叩きなおしてやらなきゃね」と不気味に笑います 。そして、スギョンをアパートの部屋へと招き入れました。部屋の中には、すでに他の仲間たちが集まっており、異様な空気が漂っています。ヘンシは、その輪の中心で、スギョンにこう告げるのでした。

挨拶しな

この一言は、スギョンがこの歪んだ世界の新たな一員として認められた瞬間であり、絶対的な支配者ヘンシによる、新たな支配関係の始まりを告げる合図でもありました。

まとめ【人間関係アディクション】30話を読んだ感想(ネタバレあり)

第30話は、スギョンの過去にこれほどの屈辱があったのかと、読んでいて胸が締め付けられるような、非常に重く、そして重要な回でした。彼女の現在の冷酷さが、どのような経験から形成されたのか、その原点が痛々しいほどリアルに描かれています。

まず衝撃的だったのは、冒頭で老婆を突き飛ばした犯人がボミだったという事実です。彼女もまた、この歪んだ世界の被害者でありながら、自分より弱い者には容赦なく暴力を振るう加害者の一面を持っている。この世界の暴力の連鎖がいかに根深いものであるかを、まざまざと見せつけられました。

そして、ボミたちに良いように利用され、パシリにされた挙句、あっさりと見捨てられるスギョンの姿には、言葉もありません。特に、カラオケに行きたいという彼女の小さな声が、仲間たちの騒ぎ声にかき消されてしまうシーンは、彼女の深い孤独と絶望を象徴しているようで、本当に胸が痛みました。この壮絶な屈辱こそが、後のスギョンによる三年越しの復讐の、原動力となっていたのですね。

そんな彼女の前に現れたヘンシという存在は、当時のスギョンにとって、まさに暗闇に差し込んだ一筋の光に見えたことでしょう。しかし、その光は彼女を救うと同時に、より深く、戻ることのできない修羅の道へと誘うものでした。ラストの「挨拶しな」という一言は、スギョンが過去の弱い自分と決別し、新たな世界の住人となることを決意させられた、運命の瞬間だったのかもしれません。この過去を知ることで、物語の登場人物たちが抱える闇の深さに、改めて戦慄させられました。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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